新AI時代にフリーランスのあなたはどう生きるか
※本エントリーは、トップフリーランスコミュニティSollectiveが主催のアドベントカレンダーの記事です。
この記事は長いです。飛ばし飛ばし読んでください。
自己紹介
こんにちは。マーケターのKen(@kennoid)です。
普段はパラレルワーカーとしてマーケティングをベースとしたビジネスサイドへのサービスの提供をしています。
IT、エネルギーが得意で、現場で一緒に汗を流して目標を達成することが好きです。
今は、複数の会社でマーケティングのメンバーからCMOをやりつつ、衰退する日本の産業を救うべく開発したラグジュアリーブランドApoptosisの代表取締役などをしています。
僕がどんな風にフリーランスとして働いているか、何を思ってパラレルワークをしているか、キャリア構築をどう考えているかなどはこちらの対談記事をどうぞ。
日本においてフリーランスはどうなってきたか
フリーランスという言葉は、意味にすごくグラデーションがあり、印象は人それぞれかと思います。
集合意識としての現在地をちょっと調べてみました。
検索数で見てみるフリーランス
フリーランスという言葉の検索ボリュームを調べてみると、緩やかに右肩あがりでした。現在に至るまで、年々検索数が増えていることを指します。
検索数が多いということは、社会的に関心が高くなっているのだと仮定できます。
ただ、ほとんどの物事は一方の見方だけでは真実が見えない。別の情報を入れてみます。
フリーランスとフリーターの言葉の検索ボリュームを比較してみると、一定の時期を境に反比例しているような気もしますよね。
どうやら、フリーランスに対する社会的な関心が高いから伸びてるのかというと、フリーターという言葉がフリーランスに変わっているようにも思えます。
もう少し情報が欲しいところ。データを探ってみます。
フリーランスのデータではフリーランス協会さんが毎年フリーランス白書というリサーチ結果を出しています。
事業者増と非正規労働者減っぽい
細かい定量データは個々人でレポートを見ていただくことして、人がどういう言葉の定義や感覚でそういう言葉を検索しているのかについて見てみました。
フリーランス協会さん曰く、フリーランスは事業者でフリーターは非正規労働者。但しながら、グラデーションがかっていて曖昧な状態だそうです。
フリーランスが増えてフリーターが減るということは、非正規労働を増やす文化から、専門性ある事業者を採用するという文化への移り変わりとも考えられます。
労働者にとっては、フリーランス労働者層の総数が増えてスキルも多様化していく分、コモディティ化された競争が発生すると思われます。
生き残るために競合を正しく把握する
僕のいるマーケティング業界では、運用広告、SNSに特化したコンサル、情報商材屋、アフィリエイター、ハイパーメディアクリエイターな人まで、幅広い層がいます。
「マーケティング業務」には、0→1を生み出す開発系マーケターと1→10のオペレーションを行うオペレーター系マーケターがいるのですが、企業側に知見がなかったりするのでこの人ら全員を「マーケター」として採用していました。
ただ、最近は事業会社でもマーケティングを重視する企業が増え、結果採用に求める人物が多様化していると感じます。
ゴールが多様化されていると、キャリア構築がしやすい。
自分の得意分野を考えて中長期で集中して伸ばし、競合とどう差別化していくかのイメージもつけられそうですよね。
ただ、最近、競合がどうやら人間だけじゃないかも?という状況が訪れています。
フリーランスの競合は人か、AIか?
さて、11月末ごろからSNS上でも、ネットニュースでも、AIが頻繁に登場して話題になっています。
「どうやら最近のAIが結構強いらしい」ということであります。
最近のAIがどうすごいのかの実例
システムのQAをしてバグを見つけるAI
DB設計するAI
TwitterっぽいWebアプリケーションを作っちゃうAI
テキストで音楽を作っちゃうAI
美術コンテストで優勝しちゃうAI
SEOに必要な要素を説明するAI
なお、マーケティングに詳しいトドは僕が作ったテストアカウントですが、アカウントの名前以外、アイコンやヘッダー、説明テキスト、つぶやきなど、全てAIで作りました。(ふざけた名前で本当にすみません。直前にサンシャイン水族館に行って癒されていたので。)
このほかにもいくつかアカウントを作って、他の媒体でもテストをしたのですが、AIで作ってもエンゲージメントが取れることを確認しています。
フリーランスの競合としてのAIは十分あり得る
これだけ様々なアウトプットを見せつけられると、フリーランスの競合はどうやら人間だけじゃないかも?というのがわかりますよね。
AIを使って高いアウトプットを出せる人、AIとチームが組める人、AI自身。
そういう相手を意識して、キャリア戦略を立てなければいけなそうです。
なぜなら我々はbotなども積極的に楽しんできた文化があり、対話している相手が人間でなくてもそんなに問題ないことをすでに証明しているからです。
ちなみに、本記事のキービジュアルである画像は、AIに「あんたは人間の仕事を奪うのか?」と聞いてみた内容と回答になります。
本人曰く、奪わないらしいですが、怪しいですよね。
戦略は相手を理解するところから
戦略を立てるためにも相手を知る必要があります。ハイレベルのすごい人って言われるとなんとなくイメージがつきますが、AIまで入ってくると想像に限界があります。
そのため、AIに、AIが得意なことの人間が得意なことの違いについて聞いてみました。
どうやらAIは特定分野を繰り返し行うことが得意、人は感性や経験を活かして新しいアイディアやアプローチを生み出すことが得意と言いたいようです。
「特化型AIはAIの方が精度が高く、汎用型AIはまだまだ人の方が強い」と言いたいのだと思います。
でも、僕が会話している彼はすでに、英語も日本語も書け、コーディングができ、音楽や絵画にも素養を見せていて、特定仕事に対して高い専門性もありそうです。
人間の脳は、生理的なプロセスによって学習や思考を行います。
対してAIは、提示された正解に対して、正解を見つけるまでノイズを排除し続けることで学習します。
同じように見えるかもしれませんが、学習プロセスが逆なのです。人は学習から正解を経験で捉え、AIは正解がないと学習ができません。
ただし、AIの方が失敗から再度学び実行することをリアルタイムでスピーディに繰り返しているので、ある人にとっては、人智よりも高い精度のアウトプットを出せてしまっているし、今のアウトプットに人間はちょっと満足しているという状況のように考えられます。
正解があるものを提供するサービスは陳腐化する
この状況を絶望的に捉えると、「人間がどれだけ頑張って正解が決められていることを勉強をしても、AIの学習スピードには追いつかれてしまうので、AIのいう新しいアイディアやアプローチにはならない」とも捉えられます。
例えば、貿易実務、文字起こしからの文脈略文ライター、意訳抜きの翻訳、雰囲気だけそれっぽいデザインや画像の撮影、運用マーケ、再現性が必要なコーディング、法律が決まってる弁護、A/Bテストを繰り返すタイプの医療、動画作成や字幕付け、補助金や助成金申請、中間管理職、政治関連全般などは、AIのスピードに勝てない可能性が高い気がします。
特に、弁護や政治、中間管理職など、正解やルールがあり、人が介在することでコトがより悪化する可能性がある分野とは相性が良さそうに感じます。
ただ、ポジティブに考えると、AIに何度聞いても心から安心できることを言ってはくれず、マジレスしかしてくれないので「相手の味方をする仕事」というのは安堵かもしれません。
また、マジレスしてるということなのであれば、AIがいうように「正解がないことを生み出す仕事」というのは少しの間は安堵そうです。
聞いたことしか返してくれない点もポイントです。
例えば、コーディングしてほしいという言葉を打ち込まないとコーディングをしてくれないので、人がどれだけ語彙力豊かに指示命令できるかでアウトプットのレベルが変わります。
また、アウトプットからノイズを排除しなければいけないので、「どれが正解だったか」という品質を判定してあげないといけません。
つまり、人が正解を提示する能力を有していることが必要です。
やっと理解できました。少し光が見えますね。
新時代にフリーランスのあるべき姿勢
AI時代のキャリア戦略では、語彙力とAIとの共生、ポジションが重要
これまでを見てみると、「正解がある特殊スキル」というものを学んでも追い抜かれる可能性が非常に高く、お金を稼ぐことに意味を見出す人にとっては、社会的に正解がある勉強はあまりお金にならない可能性が高いです。
ただ、語彙力自体を増やし、AIに命令することによって、自分でも良い絵、動画、音楽、ライティングなど、多くのアウトプットを生み出すコトができます。ビジネスに置き換えてみると、どういう姿勢で仕事や勉強に臨めばいいかわかります。
新時代にフリーランスのあるべき姿勢
どういう姿勢で生きると良さそうかをざっとまとめてみました。
クライアントに共感して最大限に味方をする知識が価値
アンチは生まれてしまうと捉える
語彙力が最大化するところまで幅広く興味を持って勉強する
AIは敵じゃなくて仲間
興味がない分野の勉強はあまり意味がない
競合とも手を取れる人脈や人としての広がり、深みを作る
社会最適に不誠実な判断が淘汰されるのは時間の問題と心得る
「正解がない小さな苦しみ」に目を向け、自分にできることを投入してみて正解を見つける
苦手なものはAIに教えてもらい、AIを評価できるレベルまで自分の得意を伸ばす
いきなり職を失っても耐える金銭を持ちながら、正解がない別のサービスを生み出していく
箇条書きにすると難しそうですが、つまりは、「謙虚になって好奇心を閉じず、みんなの幸せに対して自分の強みを最適化する」というのが良さそうという結論と捉えて良さそうです。
僕たちが頭の中で思い描く「あるべき理想の姿像」や「誠実な人とはこういう人像」と考えると、今までとあまり変わらなそうですよね。
我々は今、そういう過渡期に生きているのです。
あなたはどう生きるか
僕はどう生きようと思っているか
僕は、最初から世界にまたがって露出し、様々なお問合せの声に対して全て答え、例えお金にならなくとも社会的にネガティブではなかったらサポートし、一緒にお金を生み出すことをやっています。
プロボノというわけではなく、「一緒にお金を生み出す」という部分にこだわり、成果が出たら報酬をもらいます。
なぜなら、お金を生み出せないと文化として定着せず、文化にならなければ痛みを恒久的に解決できないからです。
この生き方は儲かりません。
ただ、専門性を持った新しい仲間がたくさん集まったり、新しい知識を持った問い合わせも増え、競合とも手を取ることができます。
僕は、社会最適に対して誠実に自分の形を変えることが、中長期で一番儲かると理解し、ある種の打算性も持ってやっています。運が良いことに、個人的な思考性もマッチしていました。
そのため、フリーランスとしては、目の前の安定した案件の数は多くはないのですが、それぞれのクライアントとは、正社員と変わらないようなお付き合いをしつつ、普通のフリーランスが入れないようなハイレイヤーな意思決定にも積極的に参加できています。
また、勉強はずっと行ってはいますが、相手を心からリスペクトし、得意分野では圧倒的なポートフォリオを作りながら、苦手分野では、語彙力を増やす勉強を行うことを意識しています。
物事の良し悪しを自分の頭で検証しつつ、陰謀論などではなく、社会最適に必要な知識で暗い案を個人最適化していくことが重要と考えています。
マーケティングは戦略や手法などのサイクルを通して誰かを救うことです。
儲からないことをやると自分の生活において苦しいタイミングもでるかもしれませんが、誰かの痛みを拭い去ってあげられることは間違ってないと確信してやり続けることが必要だと考えています。
あなたはどう生きますか?
ちなみに、本記事はフリーランスコミュニティでのアドベントカレンダー企画のために書いたのでフリーランスを対象にしていますが、おそらく従来的な集合意識としての正社員の方が取り替えが早くなると考えています。
そんな時代であなたはどう生きますか?
ぜひコメントやSNSなどで教えてください。