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小説集です
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#小説

Track 07.『とある魔法』/オオヤケアキヒロ

暑い夏の夕方、空が真っ赤に焼けていた。
蝉の声と肌を剥がしにかかるような暑さにうんざりしていた。
夏生まれだからか体に刺さる灼熱は嫌いではない。
が、生理的に疲れて来るのはしょうがない。
とはいえ、まだ少しだけ家路に強く香る夏の息吹を愉しむ余裕はあったが、それでも帰ってすぐにシャワーを浴びてニプシー・ハッスルを聴きたかったし、実際にそうした。

そう言えば、俺がニプシーを聴くようになったのは、彼が

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Track 06.『Endless Humiliation』/虫田痼痾

自分の中に何かがいる。そんな奇妙な感覚を覚える。しかしそれを文字通りに捉えられては困る。多重人格だの分裂症だのといったクールなものじゃない。端的に言えばただ"決められない"のだ。"すべきこと"と"やりたいこと"は生活において必ずしも一致しない。しかしそこは折り合いを付けねばならないことであり、それがポリス的動物というものである。しかし今の私にとってその舵取りは困難を極める。自分の中のいるある面は"

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Track 04.『社会復帰』/虫田痼痾

今日も体が動かない。
理由。そんなものは知らない。何につけてもやる気が起きない。上体を起こし、褥から背中を引き剥がすのさえ一苦労だ。腹の調子も良くない。内臓にも怠惰が充満しているのだろうか。息が苦しい気がする。肺が膨らまない。深く吸い込んだはずの空気さえ、気道の途中で外へとそそくさと引き返していく。脳ももちろんのことだ。正気ではないのだろう。脳は人間の中枢だ。その脳が体を指揮することを放棄している

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Track 03.『雲から一歩』/オオヤケアキヒロ

Yeah,yeah.初めに言葉ありき。メロディ、ラップ、スクリーム、すべては等しく音に合わせて話すのが始まり。初めて歌うかい?なら、上手い下手や小手先のメロディを追いかけない。始めて惚れた子の肢体を求めるが如く激しい愛は隠さない、しかし同時にダンスを踊る様に優雅にマナーを持って揺れるが良い、さすれば喉は開かれん、違うかい?

 …急速に、だが意図した通りにGigi Masinの『Clouds』が解

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Track 02.『少年の詩』 虫田痼痾

心の靄が晴れない。
日々の苛立ちはどうしようもないほどに些細なことだ。しかし指先に刺さった棘がやがては肉を腐らすように、瑣末な悩みが心を腐らせていく。
目下、私を悩ませているのは蝿だ。本格的な暑さも過ぎ去ったから大丈夫だろうと油断した。気がつけば台所を、あの鬱陶しい小虫どもが飛び回っていた。台所に、といえばいかにも平気そうに聞こえるが、ワンルームの一室においてはそこはリビングでもあり寝室でもある。

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Track 01.『落雷』/オオヤケアキヒロ

 しとしとと霧のような雨が降る、寒い寒い冬の日だった。どうしようもなく煮詰まって、逃げ込む様に部屋へと戻ってきた。
謂われのない罵声と叱責ばかりを突き付けられ、それをポーズだけの仕事しか出来ない馬鹿が陰で笑っているよ、とまた別の馬鹿からありがた迷惑なチクりを押しつけられ、やりたい事とやるべき事のギャップが埋まらない日々を
「もっと真面目にやれよ」
 なんて言うふうに頭ごなしに罵倒された、夜勤明けの

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