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#純文学
Bonus Track.『Friends&Me』/オオヤケアキヒロ
“久しぶり、本当に久しぶりだな。いつ帰ってきたんだよ?
積もる話もあるけどまずは一杯やろうぜ。
みんなお前に会いたがってたよ、今何してるのかずっと気にしてるよ。
たまにはグループに一言入れてやれよ。
・・・こうやってグラスが鳴るとさ、静かに何か始まったような気がするよな。俺だけ?
それで今お前、仕事何してるの?
・・・へぇ、いいじゃんいいじゃん、頑張ってるじゃん。
ああ、俺?俺は大し
Track 08.『Dry Ice』/オオヤケアキヒロ
森の中に壁が数片残っているだけの、もはや廃墟とも言えないような空間にある地下室の隠し扉を降りた先に不思議な空間がある。
噂だとここはホテルだったらしいが、特に曰く付きという話を聞いたこともない。
しかし、今、僕が椅子に座っている地下室は何度来ても妙だ。
意外なほどに天井が高く、真ん中に長めの食卓が設置されたこの空間は、左の壁には古い書物が本棚がびっしり、反対側にはワインラックと食器棚が置かれ、奥に
Track 07.『とある魔法』/オオヤケアキヒロ
暑い夏の夕方、空が真っ赤に焼けていた。
蝉の声と肌を剥がしにかかるような暑さにうんざりしていた。
夏生まれだからか体に刺さる灼熱は嫌いではない。
が、生理的に疲れて来るのはしょうがない。
とはいえ、まだ少しだけ家路に強く香る夏の息吹を愉しむ余裕はあったが、それでも帰ってすぐにシャワーを浴びてニプシー・ハッスルを聴きたかったし、実際にそうした。
そう言えば、俺がニプシーを聴くようになったのは、彼が