066 若者は転職して当たり前
離職率の実態
若者は転職して当たり前であり、それは今も昔も変わらない
世間が言うほど「最近の若者はすぐに辞めてしまう」わけでもないし、「昔は転職市場が整っていないので辞める人は少なかった」わけでもない
上記統計の要点は次のとおり
「働き方改革(R1~)」「Z世代(H9-H24生→R1卒~)」の影響は見られない。つまり言うほど最近の若者が辞めやすいわけじゃない
「バブル期(S61-H3)」「リーマンショック(H20)前後」に離職率は下がっている。つまり離職率は景気に左右される。
続けて「新規高卒就職者の産業別就職後3年以内の離職率」も見てもらいたい
この統計の要点は次のとおり
労働集約的な産業は離職率が高く、インフラを役割とするユーティリティ産業の離職率は低い。その差は5倍近くある
この二つの統計から次の結論が出せる
離職率と世代は関係ない。辞めやすい会社とそうでない会社があるだけ。
なぜ若者は辞めるのか?
どうやら「辞めやすい会社」というものがあるみたいだけど、それはどういう会社なのだろう
先程の統計を手がかりにすれば、労働集約型産業に多いことがヒントになりそうだ
これは経験則だけど、労働集約型産業には次のような会社が多い
社長以外全員兵隊で、理念のない労働があるだけ。
労働集約産業の一番大きなコストは人件費なわけだから、できるだけ安い賃金で、できるだけ多く働かせるのは当然の成り行き
加えて、コミュニケーションコストも最低限に抑えるようになったら、もはやブラック企業である
決まってヒトもカネも自転車操業である
そんな会社を若者たちが見限るのは当然だと思う
今の働き手の意識
誰だって、若い時は将来に対する「夢」とか「野心」があり、できるだけ自分の将来につながる仕事をしたがるもの
とくに今の若者たちは以下の環境の中で生きていくために、より強く自分の将来を考える
社会保障が期待できない。にも関わらず100歳まで生きる可能性あるので、80歳くらいまで働く覚悟を持っている
会社の寿命、下手したら産業の寿命より自分の働く期間の方が長い。従って何度も転職する覚悟を持っている
これら環境適応の結果、結婚、家持ち、自動車所有などのストック意欲より、変化適応というフロー意欲(タイパなど)の方が強い
つまり、これら変化に適応できた会社に人が集まるのに対して、そうじゃない会社には誰も寄り付かない二極化が進んでいると感じる
会社はどう変化したらいいのか?
この時代の要請に企業側が対処するとしたら、次のやり方を参考にしたらどうだろう
独裁型のマネジメントを諦める。ミッション・ビジョン・バリューをつくり、それを社長より上位の概念として位置づける
組織のチーム化を図る。例えば中長期の方針や単年度の計画を社員を巻き込み作成する
コミュニケーションの仕組みをつくる。例えばコーチングやファシリテーションの技術を取り入れる
要するに自律型組織への転換である