MMTの政策提言「JGP」を数理モデルで検証したい(低レベルな定性的比較静学分析)
さてさて、MMTから経済学にハマってしまって、もうすぐで一年になります。
こんなに長いこと時間もお金もかけてやってる趣味なんて人生で初めてかも……(趣味が経済学勉強することってキモイけどね)
てーことで!今回はですね。
今の自分のレベルでJGPの経済的効果を数理モデルを使いながら検証します
いやぁ我ながら大それたことしてるな…
今のところ自分はまだカレツキアンの成長モデルまではやってないので、企業の成長や利潤と実質賃金といった所得分配に関してはまだ論じれないです。
価格決定や労働市場といった部分は色々かじったので、それを使いたくて今回この記事を書いています。(だから題名に低レベってかいてる)
本題行ってみよう!!
JGPは就業保証制度ともいわれる、いわば「はたきたい人に仕事を必ず与える」というものです。
じゃあ働きたくない人は?って思うかもしれないですが、それは今まで通り失業補償やらなんやらでどうにかできます。
そもそも「JGP」の対象となる人々というのは「社会的に弱い立場になりやすい人々」「セカンダリー市場に属する労働者(二重労働市場仮説)」といった人々です。
だから失業者を何でもかんでも雇って万事解決みたいな政策ではないことに注意ですね!
検証の詳細
検証するうえでJGPの影響を「短期」「中期」「長期」に分けたいと思います。
また、分析する範囲は「実質賃金」「価格」「雇用量」「総需要」の四つです。
使用するモデルは「45度線モデル(物量限定)」「カレツキアン労働市場モデル」「カレツキアンAD=ASモデル」「マルクスの基本定理(めちゃ単純化したやつ)」の四つです。
1⃣価格と賃金
価格決定の理論はいくつかあるのですが、僕はマークアッププライジングで行きます。
あと、面倒なので総コストマークアップで価格が決まる単純なモデルにします。
ただ可変費用の一部である原材料費を、ここでは「労働価値説」をもって賃金に集約します。
置塩の集積論の二部門モデルをさらに単純化して、一財一種労働にします。
a=商品1単位の生産に必要な商品の割合
τ=商品1単位の生産に必要な労働の量
w=貨幣賃金
θ=マークアップ率
p=価格
C=その他コスト(利払いを含む広義の間接費)
すると価格はこのようになります。
でも、価格の式に求めたい価格が入ってるのは邪魔なので取り出します。
純生産可能条件 0<a<1 より
これにて、原材料コストは累積した間接労働費用とみなすことができます。
では、マークアップ率への注意を少し書いておきましょう。
マークアップ率は長期的には「固定的」。「短期」では可変的と考えます。
これは、短期的にコストの上昇があってもそれはマークアップ率の低下によって吸収され価格は変わらないという事です。
理由はいくつかあります。
まず変化したコストを一瞬で知るのは不可能という事、次に法律的にすでに販売している商品の価格はそうそう変えられないという事、加えて価格を上げ下げするのは経営学的にも愚策だという事、まあ色々あります。
このモデルでの「賃金と実質賃金の関係」はこのようになります。
y軸に実質賃金・x軸に貨幣賃金
青い線が短期の関係性を表し、オレンジの線は長期の関係性を表します。(黒い線は現在の貨幣賃金)
この時の人件費率(wτ/p)は約25%です。
このモデルからわかるのは貨幣賃金を増加させた場合、短期的には実質賃金が上昇します。(図では二倍にした)
しかし、長期的に企業はマークアップ率を戻すので価格の上昇が起きます。
すると……
このようになります。
実質賃金は下がったとはいえ、初期よりも上昇してるのがわかりますね。
では、次に行きましょう(後々このモデルたちは使います)
45度線モデル・短期労働市場・短期AD=AAモデル
まず最初に総需要モデルを導出しましょう。
単純化したカレツキーの方程式
C=消費
I=投資
W=総貨幣賃金
R=利潤
より,総需要は
N=労働者数、a=自律的支出(物量)
総供給は
y=労働生産性(q/N)
AD=ASで式を結び、価格「p」で式を解き、総需要の式を導出します。
q=商品の量(供給)
途中式はめんどいので載せないけど、みんなわかるでしょ。
これにてy軸に価格、x軸に物量のグラフを作れます。
赤が需要曲線、青が供給ですね。
ここで、わかると思いますがカレツキアンのAD=ASモデルは主流派と同じ右下がりの曲線となります。
しかし、これは「価格の低下が実質賃金を上昇させ、有効需要が増える」という条件の元に成り立っているのであり、主流派とはロジックが違います。(あと、価格の低下が貨幣賃金に影響を及ぼさないという仮定が入っているせいでもある)
ASが直線なのは、限界費用が完全操業水準まで一定という定量的事実からです。(ただ今回は貨幣賃金の変化の検証のためにちょっと違う価格の定義使ったけどね)
労働需要の式
労働需要の式は先ほどのAD=ASの式を労働者で解きます。すると…
このようになります。
y軸を実質賃金率、x軸を労働者数とすると
こんな感じのx軸に切片を持った凸型のグラフができます。
ここに労働供給を加えましょう。(ここでは単純な線形の供給線を想定、本来は逆C型の供給曲線になるはず)
すると交点が二つあるのがわかりますね。
低い方が「低位完全雇用」
高い方が「高位完全雇用」です。
このモデルにおける失業はこのように表現されます。
数値は全部テキトーに設定してるので気にしないでください。
この時の失業率は23.6%になります。
このモデルの特徴たる「低位・高位完全雇用」とはいったいどのような状態なんでしょうか?
見りゃわかりますが、低位完全雇用時の就業者数は他のどの不完全雇用時のそれと比べても一番低いです。
しかし、完全雇用ではある。
これが意味するのは「労働にそもそも参入していない層がいる」という事です。
わかりやすくするため、経済における「総労働可能人口」をグラフに入れてみましょう。
黒い直線が総労働可能人口で、塗りつぶされてるのはそれ以上の雇用は不可能だからです。
「働くことが可能な人」がいるにも関わらず、賃金率が低いゆえに労働市場への参入を見送っている層がいる。このような状態の経済は「低圧力」な状態にあり、賃金インフレーションの可能性は限りなく低いでしょう。(原材料からくるインフレの可能性はある)所得格差は開いているといえます。
あと、この低位完全雇用は「発展途上国」にてよく見られる状態のようです
では高位完全雇用は?
先ほどのグラフ内では高位完全雇用の均衡点は黒の範囲にあって達成不可能でしたよね。しかし、これは「実質賃金を上げるだけでは不可能」という意味で投資が増えれば別です。(今回は閉鎖体系なので…)(ただ、この場合投資の増加が100%労働需要の増加につながると仮定)
投資(自律的支出)が増えたとき、労働需要曲線は右にシフトします。結果的に失業は減り、雇用量も増えます。加えて「低位・高位完全雇用」の位置も変化します。
高位完全雇用の特徴として「高圧力な経済」「賃金インフレーション」「所得格差が比較的小さい」が挙げられます。
短期45度線モデル(物量)
では、最後に最も基礎的な45度モデルをやっておきましょう。
よく教科書で出てくる45度モデルは「支出=所得」で結ぶものですね。
今回は「物量(供給)=物量(需要)」の45度線です。
さっきと同じようにAD=ASで結んだ式を価格「p」で割ります。
そしてNy=qより、式をこのように書き換えれます。
この時左辺にあるqは需要で、右辺のqは供給です。
なので、y軸に物量(需要)x軸に物量(供給)を取ったグラフはこのようにまります。
はい、よく見る45度線ですね。
これは短期の45度線です。どういうことかというと、短期的に「供給」と「就労者数」は一定と考えることができます。だから、供給線(青)が垂直なんです。
またyは定数なので、総需要(物量)は実質賃金率と物量(供給)の正の関数という事がわかります。
均衡点より下は「在庫投資」の積み上がりを意味します、逆に上は在庫投資の減少ですね。
さて、物はそろったぞ!
今回使ってゆくモデルを全部紹介したところで、やっと本題のJGPの比較静学分析やっていきましょう。
★分析の流れ
1⃣短期:JGPによる貨幣賃金の引き上げ=実質賃金の上昇より、総需要(物量)の変化+労働市場への影響への考察。
2⃣中期:実質賃金の低下の影響による需要の変化+労働市場の均衡点の変動の考察。+AD=ASモデルで大まかな流れを図示。
3⃣長期:労働市場とAD=ASモデルに労働者と利潤獲得層(資本家)の貯蓄性向を導入。長期的所得分配の変化とJGPの「経済政策」としての特性を考察。+α
以上でやっていきたいと思います。
1⃣短期的影響
JGPの目的及びやる事は最低賃金を「living wage」まで引き上げ、政府支出による直接雇用(中抜きのない経済政策)にて格差を是正すること+安定的なインフレなき雇用(完全雇用)の達成です。
(インフレってのは継続的価格上昇を意味する。ってのはみんなわかってるよね?)
インフレは価格上昇であるための「十分条件」
価格上昇はインフレであるための「必要条件」
1⃣貨幣賃金水準の上昇(=実質賃金の上昇)
JGPによって経済全体の「床」が設置されることにより、大幅な実質賃金の上昇が見込めるでしょう。
これは、短期45度モデルでは傾きの上昇と表現できます。
注意してほしいのは「JGPによる政府支出の経済的効果」を入れてない状態でこれだけ変化が出るという事です。
また、均衡点が供給をこえていますので「在庫投資」の減少でこの不均衡は釣り合うでしょう。(在庫の減少は生産ではないので供給線の移動として描かない)
(数値は適当だけど、66%くらい貨幣賃金を増やしてみた、まあ最低賃金1000円と考えてそれの1.66倍増やすって妥当な量ちゃう?)
労働市場では…
このように、実質賃金の上昇(1→2)により有効需要が増え雇用が増加+労働市場への参入者数も増ます。(今回は結果的に有効需要の増加による雇用枠の上昇が供給量の上昇に負けたせいで失業率が悪化してるけど…)
ただ、JGPはただの賃上げ政策ではありません。
この労働市場の需要:供給の差分、そのすべてが政府によって直接雇用されるJGP人口となります。(JGPと民間雇用の流動性が高いと仮定)
これはすなわち変数「a(自律的支出)」の増加として表現できます。すると需要曲線は右シフトを引き起こし…
(相変わらず数値が適当なのは気にしないで)
このようになります。
加えて、今回は実質賃金を「曲線の中心」よりも上に設定したので「高位完全雇用になっていますね!(中心より下になれば低位完全雇用がいきなり達成される)
この時の莫大な支出効果は財市場にも影響し、これは先ほどの45度線の切片の増加として表現できます。
(いや、えらいことなってるやん)(グラフは全部視覚的にわかりやすきするための参考なので…ゆるちて)
このように「さらなる需要の増加」が”JGP自体”によって引き起こされます。
そして、これはMMTer達もわかっているようでミッチェルとかは「莫大なJGPの支出効果で価格上昇が最初は起きるかも」と述べています。(これは原材料不足になる。とか、キャパシティーを超えて稼働率が上がって費用が膨れ上がっちゃったから。という意味での価格上昇であって、賃金による価格上昇とは別)
当然これだけ大きな不均衡を「在庫投資の減少」だけでは対処できないので「売り切れ」とか「販売中止」みたいなことが起きるでしょうね。
(ちな価格の上昇はない。と個人的に思う。だってさ、任天堂スイッチも品薄だからって価格上がんなかったでしょ?(転売ヤーは別)そもそも価格上昇なんて今時そうそう起きないってわけよ。需要が増えた程度ではって意味ね…)
ではほっとけば高位完全雇用のまま、供給が落ち着いてきて、ちゃんちゃん!となるでしょうか?
いや、そういうわけにはいかんよね…
2⃣中期的な変化と影響
仮定通り、企業が賃金上昇を価格に転嫁したとしましょう。(実際日本みたいな国ではそうなるだろうから妥当な仮定でしょうね)
モデル紹介で使った画像を流用しましょう。
貨幣賃金(x軸)の上昇から、実質賃金(y軸)が上昇し…
価格に転嫁され実質賃金が下がる。
すると45度モデルの需要線の傾きが下がり…
需要が下がる。
またこのころには供給も需要に合わせて右にシフトを始めるでしょうから。妥当なイメージは…
こんなところでしょうな。
また、忘れてはいけないのが「労働市場への影響」です。
実質賃金の低下(図:2→3)は雇用量の低下を引き起こします(自律的支出が固定的なら)
そして、その実質賃金が低下して引き起こされた失業はJGPによって吸収されるので……(aの増加、今回は最初ほど大きくはない)
このようになります。(今回は供給と需要線が一点で交わるとする)
また完全雇用にも関わらず、総就業者数は先ほどよりも減っている事に注意です。
ここまでの流れをAD=ASモデルで軽く通し見しましょう。
実質賃金が上昇することで、ADの位置は変わらないが曲線が緩くなるので…
ここにJGP政府支出が加わり…ADが全体的にめちゃくちゃ右シフト。
(めっちゃシフトするやん……当たり前やけど)
そして賃金が価格に転嫁され、上昇するので…
てな感じですね。
要約すると「JGPにより大きな雇用の改善+所得格差の改善+莫大&巨大な需要の増加が最初に引き起こされ、それと共に供給不足の発生。しかし時間と共に価格の上昇等でだんだんと落ち着いてくるが、JGPの効果を消滅させるほどではなく、経済全体が新たな均衡点へと向かってゆく。」
みたいな?
はい、見た感じJGPっていいこと尽くめやんってなると思うんです。所得格差は床ができることで大幅に改善し、社会における労働の定義も大きく変化するでしょう。(より気楽で、より自由に安心できる社会)
ただこれはまだ「中期」であることに注意です。
3⃣長期的な考察
ここで、モデル達を拡張しましょう。
ここからは労働市場のモデルしか扱いません。(ていうか、シンプルに僕の技量不足)
☆貯蓄性向込みの式
労働者+資本家ともに貯蓄すると考え。式を再構築。
労働者の貯蓄性向=Sn
資本家=Sc
AD=ASより
労働者「N」で解いて
となります。
では、考察行ってみよう!!
中期的に、労働市場の需要と供給は一点で交わることになり、賃金が総じて底上げされたことにより、大きな所得改善効果が起きます。そして、結果的に経済全体が新たな均衡点へと到達する。という流れです。
ただ、この「新たな均衡点」へ到達した後。当然に労働者の所得、特に下層に属する人々の所得が改善されたことにより。中間層に属する人々が増えることになるでしょう。(高度経済成長期のころみたいにね)
所得が増えれば増えるほど、貯蓄もしやすくなりますし、景気が安定するほど(労働者の安定的な所得量によって)資本家はリスクをとれるようになります。
このようなシチュエーションは「労働者の貯蓄性向の上昇」と「資本家の貯蓄性向の減少」として表現できます。
賃金、価格ともに変化しないと仮定
このように均衡している際。安定的な労働者の所得と、その上昇に伴って貯蓄性向が上昇。
グラフは上にシフトする。
そして、これはJGPに吸収されるので
となる。
さらに、ADの式を見るとわかるが「労働者の貯蓄」というのは資本家にとっての資金になります。
よって投資家はより安定的にリスクが取れると判断し、貯蓄性向を落とします。
そしてそれはグラフの右シフトを引き起こし…
需要過多の供給不足となる。
ではMMTerの言う通りJGPの労働バッファーストックとしての機能がちゃんと動くと仮定しましょう。
企業は賃上げをしてJGPから人を引き上げるとする=政府支出の減少
ただしマクロ集計レベルの実質賃金率には影響がないと仮定
すると需要曲線は左シフトするので…
となる。
この一連の流れからわかるのは
1⃣労働者が貯蓄を増やす=需要線は上方にシフト
2⃣不均衡の発生
3⃣投資家は労働者の貯蓄をもってさらなるリスクテイク
4⃣結果的に景気は過熱し=JGP人口の減少が引きおこる=民間雇用の増加
5⃣再度均衡に戻る
そして、このサイクルが進むたびに
「低位完全雇用と高位完全雇用の差が広がってゆく」
また、皆さん気づいていると思いますが………
JGPは低位完全雇用にしかならない(高い確率で)
何回か上記のサイクルが続いた世界を想像してみましょう。
グラフにすればこんな感じ…
見事に「低位完全雇用」
そして、低位完全雇用の特徴。覚えてますか?
低いインフレリスク・所得格差・低い労働参加率
ですね。
では、ここで幾人かは「じゃあJGP の賃金上げれば?」と思うでしょう。
しかしそれはインフレに高確率でつながります。
実質賃金と貨幣賃金のグラフを見てましょう。
賃金を伸ばすほど、実質賃金率の上昇量は減少し続けます。
つまり、価格の上昇率が増えているという事です。(ただ、これはその他の費用が一切増えていない仮定なので、かなり非現実的)
結果的に最初ほどの効果をJGPは発揮できないでしょう。
というか、そうやって闇雲にJGPの賃率を上げることはデマンドプル+コストプッシュインフレーションの同時発生を引き起こす最悪の事態となりえます。(スタグフレーションでないだけまだましだが…)+(雇用可能量にも限界があるからね)
ただそれはMMTerもわかってる事で、JGPの賃金は長期的にも固定的になるでしょう。
だがちょっとまて…
JGPの謳う「インフレなき完全雇用」は「低位完全雇用」だからこそ達成できるのです。
だから高位完全雇用とJGPの相性は最悪。
しかああああああああし!それはダメというわけではないんです。
JGPこそ現代の経済政策
JGPのその景気循環的な性格と低位完全雇用という特性は「二重労働市場仮説」における「セカンダリー市場」と非常に相性が良いです。
セカンダリー市場の特徴は「低い賃金、生産性、安価な監視コスト+トレーニングコスト、企業の恣意的な賃金+労働環境の決定能力」
当然導き出せる、その他の特性としては「景気変動に対して非常に敏感+転職を推奨しがち」といったものです。
つまり
JGPはこのセカンダリー市場の一番大きな問題点ともいえる「企業の恣意的な賃金+労働環境の決定能力」をJGPが労働環境+賃金の基準として動作することで、消し去ることができます。
ただ、それは同時に所得格差を容認し、労働参加率を低下させる可能性も否めない。
しかし、上記のモデルは労働市場を一つとしてる点が問題です。
上記のモデルでは「高位完全雇用の方が望ましい」という結論がおのずと導き出されますが(実際そう)
それは「プライマリー市場だけの方がよい」と言ってるようなものです。
たしかに、プライマリー市場の特性は
高い賃金・生産性・トレーニング+マネジメントコスト・組織性
といったもので、例を挙げるなら、比較的に高い学歴、強い労働組合、良いスキル育成の環境、監視が難しい(仕事が複雑)といった感じです。
またこれらの特徴から当然いえるであろう、この労働市場の特性として「景気変化に対して比較的固定的な雇用量、労働者による貨幣賃金設定能力、年功序列」が挙げられます。
しかし、これってまんま「昔のよかった時代」「過去の安定していたといわれている時代」を指してますよね。
そのプライマリー市場のみの構造が、複雑な要因によって破壊されたからこそ二分したわけです。(そして、プライマリー市場の欠点も明らかになったでしょう?)
じゃあ、セカンダリー市場だけの場合は??
当然よろしいわけがない。
一種類しか労働がない状態で、低位と高位完全雇用があります!つっても、どちらも両極端な世界にしかならないわけですよ。
高位なら全部プライマリー
低位なら全部セカンダリー
いやいや、現実はそのミックスでしょ?という事を忘れてはいけない。
だからそもそもの「低位完全雇用に対する評価」を変える必要があるし、それを適切に評価できるor表現できるトイモデルの開発が必要ですね。
結論
JGPは短期中期的にMMTerが言う通りの経済的効果を引き出すだろう。ただ、長期的にはJGPの経済政策的な特性がMMTerのいうほど機能的で安定的である可能性は低い。
安定性を経済に与えるが故の不安定性の加速と、JGPの自己修復的機能のどちらが強いかは未知数である。
がしかし、JGPの欠点として挙げられた点は「労働市場を一つ」とするモデルから出されたものであり。二重労働市場仮説的な立場から見るに、セカンダリー市場との親和性+プライマリー市場への橋渡し的役割を考慮すれば、そこまでネガティブに評価するのは妥当でないと言えるでしょう。
よってJGPは行われるべき経済政策といえる。
というのがラヴォアの教科書「Post-keynesian: New Foundaitons」とMMTの教科書「Macroeconomics」をかじって、自分なりに再度モデルを作って考察してみた結論です。
追記1⃣(割と大事)
自分で見返してて、ちょっと誤解を生みそうな部分があったので書いておきます。
まず、各主体の貯蓄性向を定義していないのは「マイナス」と「プラス」の両方があり得るからです。
資本家も労働者もマイナスの貯蓄性向を持つという事は「負債」を発行している可能性が高いという事です。
それによる労働曲線の右シフトと自動調整機能による左シフトは「JGP」の床から経済全体が離れて行ってるという事を意味し、経済が不安定になっている事の証拠でもあるわけです。
そんな景気の加速は、より賃金を高給にするでしょう(民間の給料)ただJGPが、この時マクロ集計レベルの貨幣賃金or実質賃金のアンカーになりえるかは正直未知数です。(今回はアンカーになると想定してるけど…)
アンカーになってもならなくても、JGPが低位完全雇用である限り「所得格差」は広がることになる。
加えて、むしろセカンダリー市場を安定化させすぎてしまい。プライマリー市場への労働ストックとしての役割はうまく果たせない可能性の方が高いと個人的には思っている。
追記2⃣:JGPの別の特性
個人的に特筆すべきと感じるJGPの特徴があります。
というかそれを見せるためにわざわざ置塩のマルクスの基本定理まで出したのに……忘れてた。
それはJGPが「労働の搾取がない労働」という事です。
商品一単位の生産に間接・直接にかかる労働量を「t」とした時、価格は
と表せます。(右辺は費用のみだから不等号)
一様「t」も載せておく
ほんで、最初の式を価格で割ったら
つまり
「製品一個の生産には、労働者の受け取り分(実質賃金)のために必要な労働よりも多くの労働が必要だ」=「労働の搾取」
こう読み取ることもできます。
労働者が得る物品の量(w/p)に必要な労働の量は1より小さい。=自分が受け取るために必要な労働以上を提供している
なので
は利潤を表します。
しかし、これは一部門の一種労働というあまりにも単純化されすぎたモデルなのであまり説明には役立ちません。
ただ、置塩のマルクスの基本定理からわかるのは「利潤の獲得と労働の搾取は同時」ですよね。いかなる価格でも「利潤」が稼げるなら「労働の搾取が存在する」そして「労働の搾取が存在する」=「利潤が存在する」と逆も言えるわけです。
よって「労働を投入して生産される営利目的の製品すべてに労働の搾取がある」
じゃあ、最初から何も生産しないなら??
生産の無い+営利目的でない事(でも社会に必要なもの)を直接の政府雇用でやらせる事に労働の搾取は存在しない
労働者は自分のためだけに労働を提供し、だれにも搾取されず報酬を受け取ることができる。
この意義は大きいんじゃないかなって思います。
あとがき
いま大学が休み期間でちょっと暇だったので挑戦してみました。
(暇じゃねぇけど)
前々からツイッター上の経済系のツイートのお粗末さに色々感じることがあって「少しくらい定性的なモデルとか出して議論しろよ」って思ってたんです。
だって演繹的な手法とその定性的分析が経済学の面白いところなのに、言葉で殴り合ってるだけじゃ何の意味もないじゃん。
あーあ、宿題終わってねぇ~しかも明日から学校じゃん……やだな
ニュージーランドはもうじき冬に突入するんです。だから朝がつらくて…
大学は楽しいんですけどね、忙しいね。
Godley & crippsのMacroeconomicsもNZ国民図書館から取り寄せたのに全然読めてない……5月には返さないといけないのに……はぁ
あ、質問や間違いがあったらコメント欄にオナシャス。
ではでは!