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男前好きレキジョは共感してくれるはず!|読んだ本『沙中の回廊』

曹操、孔明、項羽が日本で人気のある中国史の人物TOP3だそうな。
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/20819836/

2021年の記事だから『キングダム』は十分に人気だったはずだけど、始皇帝はさすがにランキングには入らないらしい。

三国志や楚漢戦争をはじめ、日本でも名が知られた中国史上の人物はたくさんいる。
その中でこの物語の主人公・士会は、一応日本語のWikipediaにも載っているけど地味な存在だと思う。

実在の人物としては地味かもしれないけど、物語の中の士会はかっこいい。

『三国志演義』→趙子龍
『グイン・サーガ』→グインとスカール
『アルスラーン戦記』→ダリューン

私の好きなキャラクターを並べるとこうなる。これを見て、「あー」と共感してくださる方は士会のことも好きだと思う。

『沙中の回廊』の舞台は古代中国・春秋時代。
西暦で表すと紀元前7世紀ごろ。
晋の公子の一人だった文公が17年の亡命生活のすえ覇者になるあたりから物語は始まる。

士会はその文公に仕え、最終的には宰相にまで上りつめる。

『春秋左氏伝』には2年間しかその地位にいなかったにもかかわらず「晋の歴史上最高の宰相」と書かれているらしいけど、宰相としての事績は小説にはほとんど書かれていない。

小説では士会の容貌についても特に触れられている箇所はない。特徴のある外見(めっちゃ背が高くていかつい←孔子、とか)なら書かれるはずだから眉目秀麗というほどではなかったんだろう。

つまり士会の男前なところはそういう外見の問題ではない。
当時の宰相を批判して隣国の秦に亡命する、筋の通った批判精神と行動力が男前なところだ。

さらに、一兵士としても将軍としても有能で、部下や家族を大事にして、晩年には法律の改正も行うほど勉強家でもある。

宮城谷昌光作品には春秋戦国時代が舞台のものが多く、それぞれの主人公同士が血縁関係にあったり時期が重なった別の国の人だったりする。

そのせいで一つの作品を読むとつながる別の作品も読みたくなる。

例えば晋を中心にした作品をだいたい時代順に並べると並べると、『重耳』→『介子推』→『沙中の回廊』→『孟夏の太陽』となる。
これを順番に読み直すことを私は「小ループ」と呼んでいる。

対して、他の国が舞台の作品まで含めて読み直すことを「大ループ」と呼んでいる。

何度も読み返しているから「ループ」なんだけど、何度繰り返しても飽きない。
さすがに大まかなストーリーは覚えている。それでも好きな場面が出てくるたびに「そうそう!」と楽しんでいる。

ただ、ストーリーは把握できていても、今読んでいる作品の舞台になっていない国のできごとがどうなっていたのかはよくわからないことが多い。

なので最近は読みながら年表を作ることにした。
具体的な年代が書かれている箇所は少ないのでなかなか進んでいないけど、ループを繰り返していく中で少しずつ埋めていくつもり。

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