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七五三の思い出

娘を産んで、今がいちばん幸福な時間だと感じている。

子どもがなかなか授からなくて、不妊治療クリニックへ行き、序盤のタイミング法や人工授精では授からず、いわゆる顕微授精という形で子どもを授かった。試験管ベイビーってやつ。

無事にお腹に来て、もうすぐ産まれる日ですよ〜ってなっても、予定日にはなかなか出てこず、誘発分娩になり、それでも出てこなくて、むしろ薬で胎児心拍も下がったりして、不安ばかりだった。
結局お腹をガンガン押されて吸引されて…やっと出てきたと思ったら胎盤が剥がれなくて、出血も酷くて入院中はずっと鉄剤を注射されてたな…。

交通事故に遭うレベルの身体的損傷を受けてもなお、育児は続いていく。
なんていうか、全ての苦行をクリアしてきてここまで来ている感じがする。
妊娠出産って命懸けだなって、本当に思う。

どの瞬間を切り取っても、「つらい」としか言いようがない日々。
病院にかかる赤ちゃんや産まれたばかりの友人の子を抱っこすると、ふわふわで柔らかくて癒されるし、どこを見ているのかわからないブルーな瞳に見つめられると、少し涙が出るくらい赤ちゃんは尊いんだけれども、やっぱり私は、もうひとり子どもを産んで育てるのはいいかなーって思ってしまうんだ。
2人目、3人目、さらにはもっと産んで育てている方って本当にすごいなと尊敬する。

わたしは、いま、娘ひとりを全力で愛しているから、いいかな、って思う。
私には、何人もいっぺんに同じ分だけ愛すことなんてできない。




そんな娘は2月の末に4歳になった。


4歳児は天使だって聞いてたんだけれども、本当に天使すぎて毎日狂おしいほど愛おしい。
毎日何度も何度も「おかあさん、だいすきだよ」って言って手で作ったハート越しに見つめてくる君に、わたしも毎日「だいすきだよ」って答える。

夜寝る前に、「おかあさん、朝起きてもずっといてね」って言う君に、「ずっと隣にいるよ」って言うんだけれども、朝の忙しさから出てこれず、毎回ベッドに戻る頃には起きていて、「あのね、さみしかったの」ってシクシクしている。
「ごめんね」っていう気持ちと「泣かなくても…」という気持ちと…色々でごちゃごちゃになる。
朝起きてから、眠りにつくまでだけではなく、眠っている間もずっとずっと「おかあさんだいすき」を全身全霊で伝えてくる娘。


必要とされない存在だと思っていたのに、こんなにも必要としてくれる人がいるだなんて、
すごくすごく幸福だなって感じる。

孤独なときほど、誰かに何かを奪われている気がして、
もっと一人にしてくれと願う。
落ちても、落ちても底が見えずに、
ぼくは、もうすべてをきみにあげるから、
他の誰も何もぼくから奪うなと叫んだ。
愛しているという言葉はそうやってぼくの喉奥から現れる。
嘘は、美しい。月は自分を燃やして光っている。
ぼくはきみが好きだよ。

『落雷はすべてキス』/最果タヒ

人間関係を途中で諦めてしまったり、手放しがちな私。
必要とされなくなると、なんとなく自分の役割は終わったのかなと思って、もうひとりで良いかと殻に篭ったりする。

けれども、めげずに連絡をくれたり会ってくれて、存在を認めてくれる相手がいるから曲がりなりにも周りの大人みたいに生きてこられたなーと思っている。大人一年生みたいな大人を何周もやっているんだけれども。


誰かに、ものでも時間でも、何かを捧げなければ得られない愛情なんて偽りだなって思っていたこともある。すり減らされる一方で疲れてしまって、空虚になった。

でも、何かが欲しくて与えているわけではなく、ただ費やして与えてこその愛もあるんだと分かる。
孤独を埋めるため、幸せになりたいがために愛を与えるわけじゃない。
どうか、笑顔で過ごして欲しいと見守るだけなのかも。

少し大人になったということなのかもしれない。

5月上旬、天気は晴れで、風が少し強い日。

前々日は大雨で、前日は晴天。今日まで桜持つかな?と言っていたら、ギリギリ間に合って、なんとか撮影することができた。

「娘ちゃんの撮影の日って、本当にお天気に恵まれてるよね!」

毎度毎度の記念日には、幼稚園時代からの幼馴染のスタジオで撮影してもらっている。


女の子だから5歳の七五三は、本当は撮らなくても良いし、撮るつもりなかったんだけれども…何となく残しておきたい時期だったので、ほとんど無理くり撮影を入れてもらった感じだ。
しかも、前回着崩れし放題で撮りきれなかったので、リベンジ撮影。
2日間も予定を組んでくれて、本当にありがたい。


走っても走っても追いかけて撮ってくれて、1番の笑顔を撮ってくれる。

「今回の写真、止まってる写真一枚も無くて笑ったわ!」なんて言ってたくらい、撮影中ほとんど走っていた。
広い公園に行くと、後ろを振り向かずにどんどん走って見えなくなる所まで行っちゃうし、少し小高い丘にもずんずん登って、1人で転がって降りてくる。
怖くて、本気でGPSの購入を考えた春だった。


そんな活発な娘なんだけれども、その一瞬一瞬を確実に捉えて撮ってくれる、娘の良い顔を引き出してくれて信頼できるカメラマンさんに巡り会えて良かったなーと思っている。


下駄が脱げても走り続ける娘


桜がたくさん咲いている、1番好きな場所で、いちばん大切な娘の写真を撮ってもらえて、最高に幸せだった日。


あまりにも走るので運動靴に変えた


桜吹雪の中、魔法をかけてくれて、可愛く可愛く撮れました◎
(静止画では伝わらないかもしれないけれども、風船をぶんぶん振り回してくるくる回転してた)


もう、こんな可愛い時期来ないかな?
次はどんな可愛い時間に巡り会えるのかな?ってこれからが寂しいような不安なような…



子どもの1番可愛い時期って、いつなのかな?

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