自由が丘の古刹 九品仏浄真寺と不思議ねこ
自由が丘から徒歩10分ほどに、九品仏浄真寺があります。いつの間にか紅葉の時期になると、人で埋まるようになった場所。以前はそんなことは無かったのですが。今日、久しぶりに浄真寺へと行った。数ヶ月前に水をがぶ飲みするねこを見かけ、あのねこはどうしているのかと思ったので、夕方に散歩へと向かう。コロナ禍より浄真寺は夕方30分ほど早く閉門してしまうようになり、急いで歩いた。
門を入ると、もうすぐ閉門だというのに、人で賑わっている。いつも人も少ないこの広い浄真寺が好きなのに、いつの間にか人に知れて、混雑するのがあまり好きでは無いのだなあ。
ねこがいると子ども達が騒いでいるので、ふと左を見ると、木の根付近にねこがいた。あの水飲みねこがそこにいる。元気そうで何よりだなと思いながら見ていると、境内の奥の方を見て、そしてこちらを見た。
なにやら神妙な面持ち。どうしたのだろうか。ねこは立ち上がりこちらに来ては、また境内の奥の方を向いた。写真を取って、まあ元気ならいいかと、僕は寺の本堂に向かう。その時だった。前方を歩いていた老夫婦。右に曲がった瞬間。老婦人の方が突然に倒れた。
老婦人は足が引っかかったように見えず、気を失ったのでは無いかと思い、僕は前方に急ぎ駆けつける。
老夫婦の旦那の方は、呆然と立ったまま。こういう時、人は動けなくなってしまうことが多い。これはいけないと、倒れた老婦人の方の状態を確認した。「大丈夫ですか?」と話しかけると、
「痛い、痛い。」と頭をみると右側にひどいコブが出来ている。出血は無い。内部で出血があるやもしれず、救急車を呼びましょうと言い、寺のガードマンに救急車の誘導をお願いした。
老婦人は目が徐々に見えるようになり、「タクシーで病院に行けば良いです。」と言う。「いや、ここは救急車で病院へ行かれて下さい。」と、近所にある救急対応出来る病院を教えた。救急車の隊員へ話すといいですと伝える。
ふと視線を横にやると、先程の不思議ねこがいる。何を心配したのか、この老夫婦の近くにきて、じっとしていた。
やがて救急車が来て、老婦人の救出が始まると、不思議ねこはこちらを見て、去っていく。
今思うと、門をくぐったあたりで、その不思議ねこは、境内の奥を見て、これから起こる出来事で、僕に助けろと指示してきたようだった。
ねこは老婦人が助かることがわかるとその場を去っていったのだろう。
ねこの霊力を見た気がしています。