本当に好きってこういうこと。 ~ 世にも奇妙な君物語 ~
タララララン タララララン タララララッタ タララララン〜
子供の頃、この「世にも奇妙な物語」のテーマ曲が流れると、不安になると同時にワクワクしたことを覚えている。
たぶん私が小学生の頃からやっているから、もうすでに30年以上経過しているのだが、今だに年に2回ほどスペシャルでやっているので、それぐらいファンが多いってことだろう。
ちなみに中学生になる娘も小学3年生ぐらいのときにはじめて「世にも奇妙な物語」を手で顔を覆いながら指の隙間から眺めていたがすっかり、あのテーマ曲の虜となり、今では一緒にみている。
ちなみに妻はあのテーマ曲を聞くだけで「不安と恐怖」が入り混じった感覚に襲われるというので、あの曲の持つ力は本当にすごいと思う。
さて、今回紹介する本、「世にも奇妙な君物語」は本家「世にも奇妙な話」の大ファンであるという朝井リョウが本家の脚本を書く気持ちで書いた小説であるが、ちゃんと「世にも奇妙な物語」であることにびっくりする。
その話の構成や落ちまでも、本家ファンなら映像とともにしっかりと読むことができるだろう。
私も長年のファンではあるが、自分で「世にも奇妙な物語」を書いてみようと思ったことは一度もない。
本当に好きっていうのはこういうことなんだろう。
たしかに「世にも奇妙な物語」はある程度のプロットがある。
物語の不安や怖さもあるが、オチへの信頼や安心も同時に存在するからこそ、その絶妙なバランスが奇妙であり、面白みに繋がってると思う。
30年以上の月日が流れ、人が抱える不安や怖さの種類もどんどん変わってきているが、話が変わらず面白いのはどんな時代、どんな種類の怖さであってもこのプロットに乗せれば「奇妙な物語」として成立してしまう点がすごい。
「奇妙」という絶妙のバランスが「怖さ」や「不安」だけじゃないく、「救い」や「コミカル」さも内包することができ、物語の幅が広く、飽きないのだと思う。
朝井リョウの書く「世にも奇妙な君物語」もしっかりとこの「幅」を生かしており、切り口の違う全5話の話は飽きることなく、読み進めることができる。
中でも「脇役バトルロワイヤル」は実在の俳優さんをそのままイメージすることができ、その声色や息遣い、表情まで読み取ることができる。
本家のファンはオチがわかってしまうこともあるだろうけど、それはドラマを見ていても同様であり、ドラマを見ているときと同じ感覚を味わうことができるだろう。
ぜひ読み進めながらタモリさんを登場させてもらいたい。
「世にも奇妙な物語」ファンはぜひ手にとってもらいたい本である。
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