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運動のこと。 Vol.3 ~ 筋肉を鍛えること ~

糖尿病、高血圧、高脂血症、メタボリックシンドローム・・・生活習慣病と呼ばれるものを治療・予防するためには必ずといって運動が勧められます。

なぜこんなにも運動が大切なのか、それは私たちの身体の機能を維持するためには運動が必須であり、とりわけ運動によって活動する「筋肉」がとても重要になります。

最近の大規模横断研究や観察研究では生活習慣病と筋肉が関連していることが報告されています。

今日は健康と「筋肉」について少し掘り下げていきたいと思います。

生活習慣病との関連

筋肉を構成する主な成分はタンパク質と血液であり、一般的にタンパク質は筋肉の骨格を作る物質で食事から供給されます。

一方で血液には栄養素や酸素が含まれており、筋肉は呼吸によって酸素の供給を受けており、睡眠とも深く関わってきます。

筋肉は交感神経の支配を受けており、ストレスや運動習慣によって強く影響を受けます。

このことからも筋肉が私たちの生活と密接に関わっていることがわかります。

筋肉は多量のグルコース(糖質)を利用できる組織であり、消費を上回るエネルギーはインスリンの作用で中性脂肪となり、身体に溜め込まれます。

このことは以前「脂肪の摂り方」の話でも触れました。

筋肉が発達していなければ基礎代謝も低く、呼吸に関わるミトコンドリアの数も働きも低下するため、身体で消費するエネルギーが減ってしまいます。

更にはインスリンが過剰に分泌されてしまうようになり、この状態が長く続くことでインスリン抵抗性を生じて、結果的に糖尿病の原因となります。

しかし、運動によって別の伝達機構を介して糖輸送を活性化することができるため、筋肉トレーニングをすることにより筋タンパク量あたりの糖輸送担体(GULT4)が増加します。

さらに筋重量が増えることで糖代謝容量も増えてインスリン抵抗性が改善する可能性があります。

一方で、一過性のレジスタンス運動(筋抵抗訓練)は脂質酸化、血清グリセロール量、更には総エネルギー消費を増加させ、脂質分解を促す成長ホルモンを増加させるため、脂質代謝にも影響を及ぼすことが知られています。

実際、筋力トレーニングは内臓脂肪を減少させ、血中脂質成分であるLDLコルステロールを改善すること、さらにカテコラミン誘導脂質分解の感受性を増加させることも報告されており、高脂血症などの脂質分解には筋肉トレーニングは重要といえます。

さらに、血管の硬さ(血管抵抗性)は心血管系疾患のリスクを高めることが知られており、持続的な筋肉トレーニングによって血管の硬さの増加を抑制することも報告されています。

その反面、高強度のトレーニングは血管の硬さを増加させることも知られており、運動のしかたを間違えると逆効果になるため注意が必要です。

このように、筋肉量や筋力は生活習慣病の原因となると糖代謝、脂質代謝、血管抵抗性に多大な影響を与えており、筋肉の量や質を健全に保つことは「健康的な生活」のためには欠かせません。


筋肉の質を保つための生活週間

良好な筋肉の量と質を維持するために毎日ジムに通ったり、プロテインを摂取したり、高強度の運動をすることは必ずしも必要ではありません。

持続(習慣化)できる適度な運動(最大酸素摂取量の50%強度程度)や軽い筋トレ、早歩きなどの運動を生活の中に取り入れることが大切です。

ちょっと余力があれば軽いランニングや水泳などは血圧を上げずに、筋肉に適度な負荷を与えることのできる運動なのでオススメです。

また自分の自重を使ってゆっくり動かす、低負荷スロー運動も筋肥大には有効であり、特にスクワットなどは誰でもどこでもできて、お尻や大腿部の大きな筋肉を動かし、増やすことができるのでリハビリにおいても重宝しています。

スクワットは簡単ですが、姿勢を意識して正しくやる必要があります。
私がいつも指導しているのは、壁に手をついて、両足のつま先を壁につけて、そのまま膝を曲げて、太ももが床と平行になるまで腰を落とす方法を教えています。

膝はつま先より前に出てはいけないため、壁が自然にそれを防御してくれるとともに、正しくない姿勢だと後ろに倒れそうになるため、倒れないようにすると勝手に良い姿勢にフィードバックしてくれますので、ぜひ一度やってみてください。

食事では豆類や肉、乳製品の摂取によってタンパク質の摂取を毎日意識することが大切です。

たんぱく質の摂取方法についてはこちらの記事も参考にしてみてください。

筋疲労を感じるときにはぬるめのお風呂に入って、軽くストレッチやマッサージをして血流を促すこと、睡眠は少なくとも成長ホルモンが一番分泌される23-1時までには布団に入り、リラックスしてゆっくりとした呼吸(腹式呼吸)をするようにすることなどを心がけるだけで、質のよい筋肉を維持することができます。

まとめ

筋肉量と質を良好に保つことは生活習慣病の予防になる。

筋肉は生活習慣と睡眠、ストレスの影響を受けるため、これらの適切にコントロールしながら、適度な負荷をかけることで筋肉の量と質を維持することができる。

筋肉は低負荷・低頻度も運動でも正しく負荷を与えれば、増やすことでき、習慣化することで、性別、年齢関係なく筋肉量を維持することができる。

筋肉という名の衣服を日々の努力で縫い上げていく

ロニー・コールマン(ボディビルダー)

最後までお読みいただきありがとうございました。


筋トレのモチベーションを上げるための読書

#運動 #健康 #筋トレ #スロトレ  

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