量子科学がもたらす世界 ~ 死は存在しない 最先端量子化学が示す新たな仮説を読んで ~
「死は存在しない」
なかなかインパクトのあるタイトルであるが、著者である田坂広志氏は立派な科学者である。
「死」という生物にとって必然な帰結。
その存在は哲学にとっても科学にとっても未だ深淵なテーマの1つであり、どんなに科学が発展しようとも仮説の域は絶対に出ないものでもある。
科学者にとって「死」は無であり、生物としての終焉を迎えるだけのことである。
魂の存在証明もない。
しかしながら、世の中には科学では証明しきれない不思議なこともたくさんある。
まるで「生まれ変わり」のような過去の他人の記憶を持つ人。
自分の存在を空中から見下ろすような幽体離脱体験。
死の淵に彷徨った際に訪れた三途の川や死んだ家族との再開。
このような話は世の中にありふれており、その存在もまた科学では完全に否定することはできない。
こうした世界に数多ある死に関する思想、哲学、科学、経験、これらを結びつけ、包括できる考え方はあるのだろうか。
その問に答えたのが本書「死は存在しない」である。
詳細は本書を読んでいただきたいが、簡単に言えば私たちがすべて物質だと思っているものは量子の世界ではすべて波動エネルギーとして存在しているものとなり、更に物質として形のない私達の「想い」や「意識」なども波動エネルギーとして捉えることができるということ。
そうした全地球上の波動情報が「ゼロ・ポイント・フィールド」という宇宙の始まりの場所、量子真空上にホログラム原理を用いて記録されているということだ。
出てきた言葉をそれぞれ理解するにはそれこそ物理科学を1から勉強し直さなければならないぐらい膨大な時間と量が必要となるが、荒唐無稽な話ではなさそうである。
しかし、私の興味はこの仮説が正しいかどうかよりも「想い」や「意識」も波動エネルギーとなるという点であった。
私もこれまでに引き寄せの法則やイメージする未来について、自身での経験がある。
自分が思い描く通りに事が進んだり、必要な特に不思議と関連するモノや人に出会ったり、これまでの人生で幾度となく経験してきた。
つまり私の「思い」や「イメージ」のエネルギーが波動となって何かに伝わったり、影響したりしていたのだろうか。
想いの強さもまた関係するのだろうか。
これが科学的に「正しい」とか「存在する」とかはもうあまり関係がないのかもしれない。
「想い」の強さこそ、人生を切り開く鍵なのだ。
そう思っていれば、自ずと人生は変わっていくだろう。
先日、部活でテニスをしている娘がサーブが入らないと嘆いていた。
「打つ前に絶対入ると思って、その形をイメージしてごらん。そうすれば絶対入るから。もしイメージができないなら、まだまだ練習が足りないってことだ」
なんてアドバイスをしてみた。
後日、これがうまくいったみたいで、相当腑に落ちたらしく、娘は「量子論サーブ」って名付けて(笑)、友達と共有しているらしい。
スポーツの世界では最後は「気持ちが強いほうが勝つ」なんて言われるけど、あながち間違いではないのかもしれない。
それは根性論とか精神論とかではなく、れっきとした科学論として。
そんなことを想いながら本書を閉じた。
#推薦図書 #読了 #読書 #田坂広志 #死は存在しない #日記