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ノーモア ヒバクシャ そしてピカソのゲルニカに思いを馳せる

ニホンヒダンキョウ
ヒロシマ
ナガサキ
ヒバクシャ

ノーベル平和賞に「日本被団協」が選ばれた。
発表の際、聞き覚えのある日本語に、選考委員の被団協への敬意を感じた。

選考理由について選考委員は下記のように評価している。

日本被団協は“ヒバクシャ”として知られる広島と長崎の被爆者たちによる草の根の運動で、核兵器のない世界を実現するために努力し、核兵器が二度と使われてはならないと証言を行ってきた

そして受賞についての選考委員の言葉。

「1945年8月に原爆の攻撃を受けて、核兵器を使うと壊滅的な結果になるという認識を広げるため、精力的に活動する世界的な運動が生まれた。核兵器の使用は道徳的に受け入れられるものではないとする強力な国際的な規範が形づくられ、「核のタブー」として知られるようになった。この中で広島と長崎の被爆者の証言は、唯一無二のものだ」
「被爆者たちは個人の体験を語り、キャンペーンを作り出し、核兵器の拡散と使用に関して緊急の警告を発することで、世界中で反対する声を広めそれを強化するのに貢献してきた。被爆者は筆舌に尽くしがたいことを言い表し、考えることさえできないようなことを考え、核兵器によって引き起こされた計り知れない痛みと苦しみを何とか理解してもらうのに貢献している」

小学生の頃、私は祖母の被爆体験を聞いた。

私の隣に座る祖母の声が、涙が、息遣いが、その時の空気が、目を閉じると蘇える。ただ聞いた、と言うのとは違う。
被爆体験とは、涙を流しながら、命を削る思いでしか話せないものだから。

日本被団協の方々は、そんな辛い思いを、自ら何度も繰り返すことで、核なき世界と平和を願って活動をされている。

その事を今、私たちは正面から受け取めなければならない。
自分の命を削ってまで訴える平和。
それがどれだけ過酷で大変なことであるのか。

しかし
今年1月時点での世界の核弾頭の推計総数

1万2121発(昨年比391発減)

国別
▽ロシア 5580発
▽アメリカ 5044発
この2か国だけで世界のおよそ9割を占める

▽中国 500発(昨年比90発増)
▽北朝鮮 50発(昨年比20発増)
を保有しているとみられる

実戦配備済みの状態のもの 3904発(昨年比60発増)
ロシアや中国で、ミサイルなどへの搭載が進んでいるとみられる

ストックホルム国際平和研究所の報告書より

この数字を見て、愕然とする。
私は悲しい。恐ろしい。
そして憤りを感じる。

戦争・内戦・紛争の殆どが、領地・資源・政権争い。全てが利権や権力に関わるもの。
私には、自分が欲しいものを力づくで手に入れようとしているようにしかみえない。

私たち人間は何のために言葉を持っているのか。言葉とは自分の思いや考えを伝える事ができるもの。そして同時に、相手の思いや考えを知ることができる方法。

自分が「こうしたい」と考える時には、相手も同じように「こうしたい」と言う考えがあるはず、と思い至らなければならない。
お互いのことを伝え、納得のいかない事があれば、折り合いがつくまで話し合う。
時にはぶつかる事もある。でも、お互いが譲歩し、歩み寄るべきもの。

私はこの言葉の持つ力を信じたい。


ピカソはスペイン政府からパリ万博スペイン館の壁画製作を依頼され『ゲルニカ』を描いた。
当時内戦下にあったスペイン。
ドイツ空軍の助力を得たフランコの反乱軍が、バスク地方の街「ゲルニカ」を無差別爆撃し、一般市民を多数殺害したことを知り、ピカソはこの作品を描いた。

こんな逸話がある
ピカソはドイツ将校から「ゲルニカを描いたのはあなたか」と聞かれ
「いいえ、あなたたちだ」と答えた。


戦争や紛争がなければ
ゲルニカは生まれなかった
ヒバクシャは生まれなかった

この世には生まれない方がいいものもある。
でも、生まれてしまったものは育てる必要がある。

祖母の戦争体験をどのように育てていくのか。

今回の日本被団協ノーベル平和賞受賞を機に改めて考えている。

ノーモア ウォー
ノーモア ヒバクシャ


そらさんが映画『私は憎まない』についての記事を書かれていました。

映画『私は憎まない』
平和と人間の尊厳を追求するガザ出身医師の誓い

ガザ地区の貧困地域、ジャバリア難民キャンプ出身の医師で、パレスチナ人としてイスラエルの病院で働く初の医師となったイゼルディン・アブラエーシュ博士のドキュメンタリー。
3人の愛娘を殺されてもなお共存の可能性を信じ、ヒューマニティに基づき行動する。

『私は憎まない』公式HPより 抜粋編集

今も続くパレスチナとイスラエルの争い。
医師として、父として、人間として。
アブラエーシュ博士の人間性、懐の深さを感じる。

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