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読書感想文コンクール3連覇はできなかった男が書いちゃった読書感想文の書き方。

1 芦田愛菜の読書感想文はどこがダメなのか。


 のっけから国民的大女優になる予定の国民的子役にケンカを売っているようで申し訳ない。お前誰だよ、という問いの答えは大人の読書感想文コンクールを連覇した事がある元チャンピオンです(ドヤァ)。ネットに上げた文章がちょいちょい話題になったり10万人に読んでもらえたりもしたアカウントです(ドヤァ)。
「愛菜ちゃんに謝れ!」とファンの人達に言われたら秒速で謝罪しよう。スマン。
しかし批判を承知で言うのなら、芦田愛菜の読書感想文、もとい「愛菜の本棚」という本に書かれている本の紹介はダメなのである。

 お前は何を言ってるんだ。どこの馬の骨とも分からない奴が愛菜ちゃんに失礼だろ。愛菜ちゃんは紅白に出て朝ドラのナレーションも務めたんだぞ。きっと将来は朝ドラのヒロインも大河の主役もする国民的大女優になる娘だぞ謝れと芦田愛菜ファンの人達に言われたら秒速で謝罪する。スマン。そして私も彼女はいずれ朝ドラのヒロインも大河の主役も紅白の司会もするだろうと思っている。将来は戸田恵梨香さんみたいな女優さんになって欲しい。間違っても沢尻エリカみたいにはなってほしくない。色んな意味で。
けれどもやっぱり芦田愛菜さん(ここからは敬称をつける)の読書感想文はやはりダメなのだ。
なぜなら彼女は『読んだ本の感想を書いている』からだ。
・・・

何を言ってんだコイツ?


そう思われていそうだがそうなのだ。
読書感想文とは本の感想を書くものではない。
ましてや「このキャラのここが好き!」と書くものでもない。
芦田愛菜さんは「と思っている」や「このキャラが好き!」と『読んだ本の感想を書いている』。
しかしそれではダメなのだ。
なぜなら読書感想文とは「自分にしか書けない文章」を書くものだからだ。
・・・

ちょっと何言ってるか分からない。


 もう少し待ってくれ。
世の中の「読書感想文」というものの定義は非常にあいまいだ。
あいまいなゆえに、苦手な人間が多いのだ。多分。
何をどう書くのが正解か分からないから夏休みの宿題の中で一番嫌われているのだ。
なんとなくそのフォーマットみたいなものはあるけどそれが示されないから後回しにし世の小学生たちは夏休み終盤になって慌てて図書館に課題図書を借りに行くのだ。きっと読書感想文を書いてるよりポケモンしてたいと思っているに違いない。分かる。
私だってこの十ウン年読書感想文なんてこれっぽっちも書いた事なかった。
なぜなら、書き方が分からなかったから。


 冬休み明けのストーブの効いた教室で、当時小学校4年生だった私は「なん者ひなた丸 空蝉落としの術」という児童書で冬休み中に終わらなかった読書感想文を書いていた。鉛筆を握って、原稿用紙をひたすら汚い字で埋めていた。
「読書感想文の書き方」が分からなかった私は最初から最後まで本の「あらすじ」を書いていた。ひなた丸がお城に行って、ご飯を食べて、敵の忍者にうんぬんかんぬん。

感想は一切書かなかった。


というより、書き方を教わってなかったので「読書感想文とは感想を書く物だ」という事を教わっていなかったのだ。
さっきと言うてること違うやんけ。読書感想文は「自分の文章を書く」もんちゃうんかというツッコミが聞こえてきそうだが待ってくれ。
とにかく私は、本のあらすじを延々と書き続けた。
途中から飽きてちょっと内容をはしょり始めた。最後の敵の忍者との決戦もかなり飛ばした。クライマックスなのに。
そうして原稿用紙10何枚もの「読書感想文」(と、自分では思っていたもの)を書き上げた時私はこう思った。

もう書きたくねえ・・・!


当たり前である。お金ももらえないのに何時間も延々とあらすじを書き続けるなんてもはや苦行だ。そこから私は小中高と迷走を続け、読書感想文とは何か分からないまま、書き方も教えてもらえないまま大学に進んだ。大学では読書感想文の宿題は出なかった。
それから十ウン年。
私は大人の読書感想文コンクールという公募に出会った。
勝てると思った。
大人になった今なら読書感想文が書ける気がした。根拠はない。
ただ根拠のない自信だけで突っ込むほどバカではないので私は歴代の賞を取った作品を読み返した。

合点承知の助。


私は読書感想文とは何かという事を30ウン歳にして理解した(遅い)。
どうやら読書感想文とは本の感想を書く物らしいぞという事が30代になってようやく分かった(遅い)。
しかし待て。
ただ本の感想を書くだけなら『おもしろかったです』『ゾロリがカッコよかった』『ぼくもおしりたんていみたいになりたい』でもいいはずだ。
しかしそれが許されるのはせいぜい小学校低学年までであるだろう。

どうやら読書感想文とは本の感想を書く物ではないらしい。


そう気付いた私は考えに考えてある結論に至った。
それは・・・

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