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エフォートレス思考:努力を最小化して成果を最大化する/グレッグ・マキューン(2021/12/08)【読書ノート】
「エフォートレス思考」——頑張らなくても成果が出せる。これが可能なら、人生はどう変わるだろう?本書は、効率や努力に囚われる現代人の常識を覆し、「少ない力で最大の効果を生む」方法を探る一冊だ。
走っても走ってもゴールが遠ざかるように感じるのはなぜか?やりたいことがあってもエネルギーが足りないのはどうしてか?この疑問に著者が答えるのは、「努力の量ではなく、努力の質を変えるべきだ」という鋭い洞察。
本書は、「何をすべきか」を教えた前作『エッセンシャル思考』に続き、「どうすればラクにできるか」を解明する。複雑な課題をシンプルに、やるべきことをスムーズに進めるための具体的な戦略が満載。特筆すべきは、「頑張らない」を怠惰ではなく「正しい選択」として捉える点。読者は、自分を追い込み続ける日々から脱却し、楽しく、効率的に、ストレスなく生きる道を見出すだろう。本書で紹介されるテクニックを使えば、日々の雑事が減り、重要なことに集中できる。たとえば、
「やらなければ」を「やりたい」に変える思考法
一度の選択で将来の選択肢を大幅に減らす決断術
人間関係のわずらわしさを減らし、協力関係を構築する方法
読後、あなたの仕事や人間関係、果ては人生全体が、よりスムーズに回り出すのを実感するだろう。
「エフォートレス思考」は単なる時短術でも、手抜きの指南書でもない。むしろ、自分の力を最大限に活かしながら、自然体で成果を上げる「生きる技術」そのものだ。この本を手に取れば、これまでの努力の常識を心地よく手放し、まったく新しい成功の形を手に入れられる。
努力は必ずしも良い結果を生むわけではない。無駄を省き、効率的に成果を上げる方法論を模索する中で、40万部を突破したベストセラー『エッセンシャル思考』の第2弾となる『エフォートレス思考』が登場した。この本では、あえて「頑張らない」思考法を採用し、圧倒的な成果を得る方法が紹介されている。
本書の核となるエフォートレス思考の基本的な考え方は、文字通り「エフォート=努力」を「レス=少なく」すること。
具体的には、無駄な努力をゼロに近づけながら、成果を最大限引き出すことを目指す。著者グレッグ・マキューン自身もエッセンシャル思考を実践しながら、「何をするか」を絞り込んだだけでは余裕を得るには不十分だと気づき、さらに「どのように行うか」に注目した結果、この新たな思考法にたどり着いた。
エフォートレス思考の特徴は、エッセンシャル思考との組み合わせで真価を発揮する点だ。
エッセンシャル思考が「何をするべきか」に焦点を当てるのに対し、エフォートレス思考は「どのようにやるか」を重視する。例えば、困難なタスクに直面した際、ただひたすら努力するのではなく、もっと簡単に取り組める方法を模索することを推奨している。
本書で特に重要とされるポイントは以下の3つである。
1. 上限を決める
「最低限これだけはやる」という加減目標だけでなく、「これ以上はやらない」という上限目標を設定することの重要性が述べられている。たとえば、著名な小説家が1日1,000ワード(約3,000文字)の執筆を上限とし、それ以上は書かないと決めることで、長期的な継続を実現しているという事例が紹介されている。また、南極探検家アムンセンの戦略では、毎日一定の距離(約25km)を進むという規則を守った結果、競争相手のスコットよりも早く、かつ安全に目標を達成したという話も挙げられる。
上限を設けることで過剰な頑張りを防ぎ、長期的な安定と成果の最大化を図るのが狙いだ。
2. 時間と場所を固定する
人間の脳には、膨大な記憶容量を持つ「記憶脳」と、目の前の作業に特化した「作業脳」がある。しかし、作業脳は非常に容量が小さく、簡単に負荷がかかるため、環境を整えることが重要になる。時間や場所を固定することで、作業脳が無駄なエネルギーを使わずに済むようにし、本当に重要なことに集中できる。
例えば、副業をしている場合、毎日同じ時間に同じ場所で作業することで、場所探しやタイミングの調整にかかるエネルギーを節約できる。また、仕事の打ち合わせや家族行事などもあらかじめ定期的に固定することで、計画に迷う時間を削減できると提案されている。
3. 疑うコストを払わない
人間関係において、信頼できない相手に対して疑念を抱き続けることは、膨大な精神的コストを生む。本書では、不審な相手とは距離を置くべきであり、信頼できる相手とだけ仕事を進めるよう勧めている。仮に全幅の信頼を置けない相手と仕事をする場合は、契約を活用して互いの役割や目標を明確にしておくことで、無駄なトラブルを避ける方法が示されている。
エフォートレス思考をさらに深く理解するために、本書が提案する考え方やその実践例を補足する。
エフォートレス思考の背景
著者グレッグ・マキューンは、前作『エッセンシャル思考』で提唱した「重要な2割のタスクに集中する」という概念を徹底的に実践した。しかし、それでもなお時間が足りず、精神的な余裕を得ることができなかったという実体験がエフォートレス思考の基盤となっている。彼自身が、エッセンシャル思考だけでは成果の最大化には限界があると悟り、「どのように簡単にタスクを進めるか」というアプローチを追求した結果、この新しい思考法が生まれた。
特に、成果を追求するあまり、体力的・精神的なリソースが限界に達してしまった著者の経験が、エフォートレス思考の本質を物語る。努力そのものが悪いわけではなく、適切に制御されていない努力が余計なコストを生み出し、結果的に効率を損なうことを強調している。
エフォートレス思考の具体的な実践例
日常業務での応用 エフォートレス思考をビジネスに適用する場合、以下のような工夫が有効だとされる。
自動化:繰り返し発生する業務はツールや仕組みを使って自動化する。
優先順位の見直し:重要度が低いタスクを潔く削る。
小さなステップから始める:完璧を目指さず、少しずつ進めることで大きな成果に繋げる。
リーダーシップへの応用
信頼できるチームメンバーに役割を明確に分担する。
進捗を逐一チェックするのではなく、全体の方向性だけを明確に伝えることで効率的な管理を目指す。
「すべてをコントロールする」という考えを手放し、メンバーの自主性に任せる。
プライベートでの応用
日常生活の中で時間や場所を固定することにより、家事や趣味、運動なども無理なく続けられる環境を整える。
家族や友人との時間を重要視し、それを固定化することで質の高い時間を確保する。
思考法の限界と注意点
エフォートレス思考は「頑張らないこと」を強調しているが、それは怠惰や手を抜くことを意味しない。重要なことに対してはきちんと取り組みつつ、その取り組み方を効率化することが鍵だ。しかし、取り組むべきタスクを誤って選んでしまうと、どれだけ効率的に行っても成果は限定的になる。そのため、エッセンシャル思考との併用が推奨されている。
また、すべてが「エフォートレス」に進むわけではない現実も踏まえておくべきだ。一部のタスクやプロジェクトにはどうしても努力や時間が必要であり、それを適切に見極めることも大切である。
人生のバランスを取り戻すツール
エフォートレス思考の本質は、効率を追求しながらも、人生における余白やゆとりを生み出すことにある。著者が語るように、「ただ成果を上げるだけ」ではなく、穏やかで充実した生活を送りながら最大の成果を引き出すことが最終的な目標だ。
例えば、次のような問いかけが読者の意識を変えるきっかけとなる。
本当にこのタスクは自分がやるべきことなのか?
もっと簡単に、少ないリソースでできる方法はないか?
自分が取り組むことでどんな価値が生まれるのか?
これらの問いを通じて、効果的な仕事と無駄な努力を切り分ける視点が養われる。
最後に
エフォートレス思考は、ビジネスや個人生活を問わず、どんな場面でも応用可能な強力なフレームワークだ。その核心は、頑張りすぎて息切れするのではなく、楽に成果を得られる方法を探求すること。努力をただ美徳とするのではなく、賢く使うことで、より豊かで充実した生活を手に入れるための道標となるだろう。。