無敵の病
会社。
デスクで仕事をしてる男性。
「ふ~なんとかここまできた…。
俺、頑張った~!
本当に頑張った~!
これなら…
これから何があっても、
俺なら乗り越えられる!
よっしゃあ!」
「本当に大丈夫ですか?」
「うわっ!何あんた!」
「いえいえご心配なく。
私はあなたの心配をしに、
出てきたんですよ」
「あんたせいで急に不安だわ!
しかも何の心配だよ!」
「あなたは今、
ひと山越えて自分が、
逞しく成長したと思ってませんか?」
「何でわかるんだよ!」
「あなたが言ってました。
思考が口からダダ漏れでしたから」
「恥ずかし~い!」
「まあまあ。
落ち着いて下さい。
俺なら乗り越えられるぞ~!の部分が、
特に聞いてられませんでした」
「めちゃくちゃ恥ずかし~い!」
「まあまあ。
そう言いたくなるのもわかります。
もう5月も今日で最終日。
この期間、本当にご苦労様でした」
「あ、ありがとうございます」
「ゴールデンウィークの家族サービス。
頑張りすぎて疲労困憊。
自分が得たものがなくて悲傷憔悴。
休み明けどん底モチベーションでの激務。
連休中に溜まった仕事の休日処理。
この5月の地獄のロードを休むことなく
ここまで来たのは、本当にお見事です」
「ど、どうも」
「ただひとつ、あなたは勘違いしています」
「何がですか?」
「実はまだ災難は去っていないことに」
「え?!
災難って何?」
「あなたはこの5月の無敵の病、
五月病に打ち勝ったと、
思っているでしょう」
「あ…はい」
「残念。
私は……六月病!!
明日からあなたのデスクに、
居座りますのでよろしくです。
ついでにお茶もよろしくお願いします」
「うそ~~~ん!!!」
チーーーーン。
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お疲れ様でした。