俺の柵を越えてゆけ
真っ暗闇。
男性が二人いる。
「おい」
「ひゃー!
驚かさないで下さいよ、先輩」
「いいか。
俺の言葉をよく聞け」
「はい」
「まず相手をよく見ろ。
こんな不利な状況でこそ、
常に頭は冷静にだ。
わかるな?」
「は、はい先輩」
「人は闇を怖がる。
だが恐れるな…
光はある…必ずな」
「はい、元気出ます」
「そしてお前は俺の後を追うな。
俺の真似では、
いつまでもお前は変われない。
お前は俺の後輩だ。
だがそういう柵に囚われるな。
俺の一歩先を行け…
俺を追い越してみせろ」
「…はい」
「だが何かあれば俺に言え。
いつでも聞いてやる。
俺はいつもお前の側にいるからな」
「先輩…」
ガタッーーーン!!
「ギャァァァーーーー!!
出口!どこ?!出口?!
もうリタイア!!
ギブギブギブ~!!
出せ~!
いますぐこっから俺を出せ~!!」
静寂。
お化け屋敷に、
取り残された後輩。
「先輩…」
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