どうしてバレた?!
23時。
都内マンション。
ガチャッ
「おかえりなさい」
「何だ、まだ起きてたのか。
寝ててよかったのに」
「今日も遅かったですね。
金曜日は決まって、
この時間ですけど、
何をなさってるんですか?」
「仕事だよ、仕事。
仕事の付き合いだ。
お前には関係ないことだ」
「そうですか。
でも、誰とどこへ行ったか、
教えて下さっても悪くないと、
思うんですけど」
「そんなの聞いてどうする?
お前の知らない会社の人間だ。
興味なんてないだろう」
「いえ、興味はありますわ。
あなたがどういった方と、
どのような料理を、
召し上がってくるのか」
「もう疲れてるんだ。
そんなのどうでもいいだろ。
俺はもう風呂に入って寝たいんだ」
「中華ですね」
「え?」
「中華料理を、
召し上がってきたんですね」
「ど、どうしてわかった?!
…そうか!
匂いか!」
「そして召し上がったのは、
拉麺、酢豚、レバニラ炒め」
「なぜそこまで知ってる!!
お前、俺の跡を付けたのか?!」
「そしてその店の名前は、
下町中華 来々軒」
「お前!
やっぱり見てたんだな!
夫を尾行するなんて…」
「あなたの前歯に、
支那竹とパイナップルの繊維、
その隣の歯にはニラが挟まってるわ」
「ハッ!…挟まってるぅ!!」
「支那竹入りの拉麺、
パイナップルの入った酢豚、
そしてレバニラ炒め。
その三品がメニューにあるのは、
今では来々軒だけだからよ」
「そ、そんなことでバレるなんて…」
「今度は私にも、
お持ち帰りよろしくね」
「…は…はい」
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お疲れ様でした。