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世界を統一する人

スタジアムのフードコートで、
オリジナルドリンクを買う女性二人。
 
「思うんだけど」
「何?」
 
「スタジアムって、
 ドリンクにサイズないよね?
「あっ、そうだね。
 言われて今、気づいた。
 他のスタジアムは知らないけど」
 
「これでよくない?」
「何が?」
 
「うちらカフェ行くじゃん」
「そうね」
 
「お店によって、
 サイズの呼び名が違って、
 モヤッとしない?」
「はいはい、わかる。
 確かに店によって違うし、
 初めてだと、ちょっと戸惑うよね
 
S、M、Lがあって、
 レギュラー、ミディアム、ラージ、
 ショート、トール、グランデとか」
「まあ何回か行ってると、慣れるけどね」
 
統一する気はないのかな?
「どうだろうね」
 
「S、M、Lでいいじゃん。
 服のサイズだって…でもないか。
 服にも7号とか11号とかある。
 しかもメーカーが異なると、
 サイズも微妙に違うし。
 バストや肩幅とかも…
 もう~!
 サイズ統一って無理じゃん!」
「それにあれじゃない…
 今は通販で世界中どこからでも、
 お取寄とりよせできるから。
 国によって体型の基準も違うでしょ
 
「そうかあ。
 日本とアメリカだと、
 絶対アメリカの方が、
 ワンサイズ分ぐらい大きいよね」
「基準をひとつにするのは、
 ハードル高くない?」
 
「服は無理でも、
 飲み物のサイズはなんだから、
 できるでしょ?」
「そうね。
 でもどの名前にするの?
 これ決まったところはいいけど、
 他は全部、印刷物や掲示板を、
 作り直さないといけないんだよ」
 
「ん゛ん゛…重版出来じゅうはんしゅったい
「それを言うなら、責任重大せきにんじゅうだいね」
 
「悩むぅぅ~」
「まあまあ、あくまで仮だし、
 どの名前がいいの?
 やっぱり、S、M、L?」
 
「せっかく決められるなら、
 オリジナルがいいと思って、
 すでに考えてた候補はあるの」
「考えてたんだ…」
 
「私が考えた基準サイズは…」
「基準サイズは?」
 
ショート!セカンド!三塁!
「はっ?」
 
「どう?いいでしょ?」
「どこが?!
 しかもなぜ最後だけ日本語?
 
 
「ちゃんと考えられてんだよ。
 一番小さいのはショートでしょ?
 二番目に大きいからセカンド。
 三番目は三塁

「だからそこ!
 何で最後、三塁なの?」
 
「せっかくショートもセカンドも、
 頭文字がSで始まるから、
 最後も統一したいじゃない?」
「ネーミングセンスはともかく…
 あなたのような人、
 きっとサイズ業界にもいると思う」
 

このお話はフィクションです。
実在の人物・団体・商品とは一切関係ありません。 

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二月小雨
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