大人星人を見つけろ!
子供の国。
「大変だ!
この中に大人星人が、
紛れ込んだらしい!」
「何ですって!
あの大人星人が!」
「僕たちの宝。
アンチエイジングの秘密を、
盗み出そうとしてるんだ!」
「すぐ見つけ出して、
追放しないと!」
「それがなかなか見つからないんだ。
どうやらそいつは、
子供に変装してるみたいなんだ」
「え?!
見た目じゃ判断できないの?」
「そうなんだよ。
誰かに化けてるみたいで」
「じゃあ、
同じ人が二人いるんじゃないの?」
「そうだと思って調べてみたけど、
そんな子はいなかった。
そう考えるとその子は恐らく、
捕まって監禁されてるんだと思う」
「拉致監禁!
やっぱり、やることが大人だわ。
何て卑劣な!
じゃあ、大人の体臭……
匂いは?」
「それもダメだった。
加齢臭も香水の匂いもしない」
「そんなあ」
「きっと、超強力な消臭剤を、
使ってるんだと思う。
大人だけに手強いなあ」
「大人の猿知恵…怖い。
ねえ、どうするの?!」
「いや、まだ何か手はあるはずだ。
まずは大会議室に全員集めてくれ」
「大丈夫?
危険じゃない?」
「勝手な行動される方が危険だよ。
よく昔の推理もの映画で、
館で起きる事件もそうだろ?
ひとりになった人間は、必ずやられる。
だからみんなが一緒にいることが、
最大の防御なんだ!」
「そういうことね。
わかったわ!
全員集合ね」
大会議室。
「みんな集まったね」
「何だよ。
こんなところに呼び出して」
「実は…大人星人が、
この中に紛れ込んでるんだ」
「なんだって!」
「やだ、怖い!」
「どうして?!」
「みんな落ち着いて。
この中の誰かに、
なりすましているのは間違いないんだ。
でも、残念ながら外見では判別できない」
「え?!お前じゃないよな?」
「いや、お前か?!」
「違うよ!そういうお前だろ!」
「あなたでしょ?!」
「そういうあなたこそ!
前から怪しいと思ってたわ!」
「静かに!
大人星人の狙いは、
アンチエイジングの秘密だ。
彼らは老いを恐れている。
だから、どうしてもその秘密を、
何が何でも盗み出そうとしているんだ」
「じゃあ、どうするんだよ?
このままじゃ埒が明かないぞ」
「まあ落ち着いて。
みんな動揺し過ぎだよ。
秘密は喋らなければいい。
そして焦らなくても、
やがて彼らは、必ず尻尾を出す」
「そんな悠長なことを言って、
大丈夫なの?
いま、この会話も聞かれてるんでしょ?」
「それも分かっていて、
こうやって話しているんだ。
まあ随分と長話になったし、
みんな立ち話で疲れたろ?
ちょっとみんな落ち着いて、
座って話そうか」
全員が、
自分の後方にある椅子に腰掛ける。
「あ~…どっこいしょうきち」
「あ~…どっこいしょうへい」
「お前だ!
お前が大人星人だな!」
「し、しまった!」
「やっぱり君か!
使う言葉が気になってたんだよね!」
「バレたか~!」