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あなたが好き、それだけで生きていけたらいいのに

何回目の涙だろう
涙が音もなく溢れては消えた
悲しくなんかない
そう言ったらきっと嘘になる
ただこの気持ちだけが真実


私たちは恋をする。
勝手に期待して、勝手に喜んで、勝手に悲しんで
それでも恋をする。
苦しくても、辛くても、これが私の希望だから。


この思いに他の誰かの気持ちなんて関係ない。
私が私の気持ちを分かってればいい。
それだけでよかったのに。


期待をするんだ。どうしても止められない想い。
人は好きになるとなぜ、相手に求めてしまうのだろう。
あなたが好き、それだけで生きていけたら良かった。何も求めることなくあなたが生きているだけで喜べる自分でありたかった。あなたに喜びを与えるのが私じゃなくても、あなたの幸せを喜べる私でありたかった。

いつだって祈っていたよ、あなたの幸せを。
あなたの幸せが私の幸せだと信じていたから。


なのになぜ、涙が溢れるのだろう。
その知らせを瞳に捉えた瞬間、悲しいと思うより先に涙が溢れた。
ああ、私はいま悲しいんだな。
そんなことを頭の片隅でぼんやりと浮かべては、そんな自分に苦笑した。


ほんと勝手だな、自分。


恋をすると必ず訪れるその終わりに、私は何度打ちのめされるだろう。そして性懲りもなく繰り返すのだ。また私は恋をして、私は無残にも打ちのめされるだろう。そして涙するのだろう。悲しいと一言そう思う。感情を理解するより早く涙は勝手に瞳から溢れ、重力に従って落ちていく。
そこで恋の終わりを知るのだ。


なにが悲しいかって、自分のひとり芝居だってことが悲しいんだ。私があなたへ想いを募らせていた瞬間あなたには愛すべき人が既に隣に居たと思うと、やるせないんだ。私はたったひとりで踊っていただけ。なんて哀れなんだろう。勝手に舞い上がって、勝手にドキドキして、思いが通じ合ったなんて思っていたから。
私の中であなたは特別だったんだよ。でもあなたは違ったのだろうか。
それすらも知る術はなくて。

笑うしかない。どうしようもできないことばかりだ。自分の身勝手さに嫌気が差す。
恋はいつも私の醜さを映し出す。その恋を覗き込めばそこに居るのはいつもエゴの塊だった。自分の気持ちばかり。その実態は相手を思ってるつもりの自分に酔ってるナルシスト。相手の幸せを願ってるのにいざ相手にパートナーができたら喜べない自分を、何度私は見てきたのだろう。おめでとう、を口にできない自分。周りは祝福の嵐。おめでたいことだって分かってる。だけどその現実を直視すればする程、自分の中の薄汚れた感情に醜さに私は落ちていく。

いつだって何の躊躇いもなく祝福できる周りが羨ましかった。
私はいつだって鉛の様な感情を持て余す自分を呪っていた。


もうやめにしよう。
そう口にできない自分がいるのは、自分が恋に期待しないでいられる自信がないからだ。
いつだって望んでしまう。もしもという可能性。その希望的観測をやめられないのは、私が私の未来を諦めていないことと同義で。
自分の未来を諦めていないと言えば聞こえはいいが、それはただの妄想だった。自分の欲を満たすためだけの妄想。頭の中でお気に入りの人たちを住ませ、自分の都合のいいストーリーをひたすら繰り返すただの妄想。そこには何も生まれないのは分かっていた。一時の快楽、喜びを貪って生きていくだけの人生。それで私は自分の心を満たしていた。それだけで自分は本当に幸せではないことを知っていた。それで自分は本当に幸せなのか?その問いから私はずっと目を背けてきたんだ。


いまある幸せを見つめることでしか人は生きていけない。その幸せに気付けないならば、作り出すしかないんだ。例え妄想でも幻想でも、そうやって心を保っていかないと生きていけないからだ。


妄想や幻想の何が悪い!


希望がない中で生きていくなんて無理なんだよ、人間は。少なくとも私はそんな強い人間じゃないから自分で自分を満たしていくしかない。
例えそれが幻想でも、妄想でもそれで生きていけるのならば、悪じゃないと私は思う。
その幻想に自分が打ちのめされても、私は私で生きることをやめられないのだ。
どう足掻いたって私は私でしかないのだから。


自分は弱い人間だって認めたら、怖いものなんて何もないでしょ?
自分の弱さから目を晒すそんな自分にはなりたくない。全部受け止めるんだ。例え受け入れなくても、そんな自分を許すんだ。許せない自分を許すんだ。

私は弱い人間だから。
これからも誰かに縋って生きていくよ。自分一人じゃ生きられないから。私の好きな人たちが私をいつだって支えてくれて、私はいま生きているんだ。
心の拠り所がなきゃ生きていけないよ。好きな人は私に力をくれるから。その存在が私の生きる意味に繋がっているから。こんな私を知ったらあなたはどう思うだろう。失望する?軽蔑する?私のこと嫌いになるかな。私は強い人間なんかじゃないんだ。


恋に依存する迷い子。
恋がないと生きていけないんだよ。
こんな私を、どうか笑って。


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