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古橋本棚

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古橋本棚#3『遠野物語』 

古橋本棚#3『遠野物語』 

      

1.はじめに
 名もなき庶民(常民)の歴史や文化を明らかにし、「常民文化の探求」と「郷土研究」の必要性を説いた民俗学の先駆者、柳田国男。今回は作家論を中心に柳田の思想を探り、「遠野物語」主題の普遍性について探っていくよ~。

2.柳田国男の生い立ち
 柳田國男(1875~1962)は、明治八年七月三一日に、兵庫県神東郡田原村辻川付近の農村に生まれました。父松岡操は医者・国学者であり

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古橋本棚#2 『桜桃』

古橋本棚#2 『桜桃』

  こんにちは。
  古橋本棚第2回目は、太宰治『桜桃』です。
  短い話なので、ぜひ読んでみてください。

1.『桜桃』の紹介
 『桜桃』は1948年(昭和23年)、太宰治によって執筆された短編小説です。太宰の忌日である「桜桃忌」は、この作品から着想を得て名付けられました。今回は、『桜桃』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。

2.『桜桃』のあらすじ
 作家の「私」は、妻、七歳の長女、四歳

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古橋本棚 #1『ヴィヨンの妻』

古橋本棚 #1『ヴィヨンの妻』


  ずっとやってみたかった、古橋の本棚。初回は太宰治の『ヴィヨンの妻』にしてみました。

①『ヴィヨンの妻』の紹介

 『ヴィヨンの妻』は1947年(昭和38年)太宰治によって執筆された短編小説です。傷つきやすく破滅的な詩人の姿を劇画化し、妻の立場から批判的に描いています。
 ここでは『ヴィヨンの妻』のあらすじ・解説・感想までをまとめました。なお、引用する本文は「青空文庫」に掲載された「ヴィヨ

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青春と古橋

青春と古橋

サタデーナイトフィーバーを観たのでメモ。
ネタバレあり。

1 ブルックリンのイキる若者

イキる若者、トニー。19歳。労働者の町ブルックリンでペンキ屋として働いている。職場の店長は意地悪だし、はたらけどはたらけど給料は良くならない。家に帰れば失業した父親が母親を怒鳴り散らしている。その反動もあってか、母親は神父としてお勤めをするトニーの兄貴をえこ贔屓。お前も兄さんのようになりなさい!父親からの圧

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