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【本】星の子

【本】星の子

本作は、中学生主人公の家族が強い信仰心を持っており、主人公自身はその信仰と一定の距離をとりながら生活する環境にいた。多感な時期に「自分の日常」と「万人の考える日常」とが大きく乖離していることに苦しみながらも、信仰を拒絶する勇気を封印し、愛する家族が家族でい続ける道を選択するという経緯を丁寧に示した。

他者の影響を受けない自己形成などないように、私達は無自覚に他者の影響を受け日々の意思決定をしている。

人類の歴史と宗教は深い繋がりがあり、私達はなんらかのミームを受け継いでいる。困難なことがあった時、「見えない力」や「人物」、「考え方」を信仰することで精神的・肉体的に救われることは、大量の命を奪い合う戦争よりよほど素晴らしく、そして、沢山ある考え方の中で何を正義とするかを個人が自由に選択できる社会に生きていることを幸福に思う。

ただ、富の搾取により家庭崩壊の原因をつくったり、人殺しを企てたりするような宗教団体が幸福や平和、正義を語るべきではないし、そういう団体とはこれからも距離をとっていきたい。

この考え方もまた、他者の影響を受け継いでいる。

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