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【ハニーボーイ】洗われたのか、えぐられたのか、諭されたのか。
観終わってから色々な感情がぐるぐるめぐって大変。父として親としてどうあるべきかを考えさせられた作品でした。
そもそもシャイア・ラブーフのことをよく知らなかったのでこんな幼少期を過ごしただなんてびっくりでした。きっとこの作品を作ってトラウマを多少消化できたのかなーなんて軽く思っていたら今も散々なプライベートを過ごしている事を知って。こんなにも根深いのかと。子どもにこんな思いをさせちゃだめだよ、ほんと。
「お客様は神様だ」はキングオブ禁句
学校や習い事がなければ基本的に子ども達には家族以外のコミュニティがありません。そんな中で親に見放されると一人ぼっちになってしまいます。
子どもたちはそれを避けようとするあまり、虐待があっても我慢してしまうのかもしれません。
傍から見ると理解できないですし、誰かに助けを求めるべきです。しかし本人からすれば、それでもそこにいたいと思わせる何かがあるのでしょう。
どんな家庭であっても、子ども達からすればたった一つの家族。本心ではその家族を大切に思ってくれているのかもしれません。
そう思ってくれる事自体はとても素晴らしいですが「お客様は神様だ」と客自身が言ってはいけないように、子ども達からの愛に決して親が甘えてはいけないはずです。
この作品では逆に子どもからの愛に甘えまくりの父親像が描かれるので、どっちが親か分からなくなるくらいです。反面教師にしなくちゃいけません。
声に出せば力が宿り、行動する勇気をくれる
この世にはとんでもない事件を起こす酷い親もいます。そんな一部を除いて、ほとんどの親には大なり小なり子どもへの愛情があるものです。(というかそう信じたい)
たとえちっぽけな愛情でもすべて素直に子どもに伝える事が、子ども達と向き合う上で最も大事なのかもしれません。
日頃からそうしていないと、いざ子どもに向き合おうとしても子ども達自身からも周囲からも受け入れらないような気がします。
恥ずかしいとかそんなしょうもない感情や親は背中で語るとか言う訳分かんない理屈は放っておいて、とりあえず「大好きだよ、愛しているよ」と言葉で伝えてハグする事が親子で理解しあえるための近道ではないでしょうか?
じれったいくらいぎこちない親子関係を観ていて、そんな風に感じました。
パパイヤ パパいや パパ嫌
この作品ほどじゃないですが、自分も父親とはビックリするくらい仲良くありません。
怒るとか呆れるとかを通り越して割とどうでもいい存在になっています。もはや無ですね。
裏を返せばきっと親に期待していた時期があるからで、その期待を裏切られ続けた結果なのだと思います。
もちろん彼は彼なりに愛情をかけてくれているとは思うんですが、あまりに自分本位で身勝手かつ大抵道理が通ってない所が正直無理なんです。
よく映画に出てくるダメ親父は “どこか憎めない” ところがあったりしますけど、それってやっぱりその人なりの愛情がきちんと家族に伝わってこそなんだと思います。
そういう意味で言うと、自分の父親は自分に対して興味や愛情を感じさせてくれなかったし、なによりきちんとひとりの人間としてきちんと尊重してきてくれませんでした。
父子仲が悪い原因の1つってそこなんだと思いす。もちろん自分にも原因があるんでしょうけど。
と、つらつら書きましたが、今更どうこうしたいってわけじゃないんです。
こんな父子仲なので息子が生まれた時「息子が成長していく上でどう接すればいいんだろう」とめちゃくちゃ不安になりました。
そこで出会った作品がこの【ハニーボーイ】で、これまで書いたようなヒントをいくつかくれたように思います。
息子も娘も妻も関係なく家族には全力で愛を注ぎ、素直にそれを言葉で行動で示す。嘘をつかず、ひとりの人として尊重する。
これからもこの事をきちんと胸に刻んで生きていけるでしょうか。もしかしたら忘れてしまうときが来るかもしれません。
そんな時は今この記事を書いているときの気持ちに立ち返っていけたらと思います。
観ていて大変痛々しいですが、親としての生き方を学ばせてくれたこの作品。父親になったら一度観ていて損はないでしょう。☆3.4/5.0とさせてください。
見てくれは地味だけど中には色鮮やかな甘い果物の入ったフルーツ大福が合うかもしれませんね。