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首里小屋

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絵:サイトウマサミツ 文:平岡あみ
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朝ごはん

首里小屋の朝は、6時50分にはじまります。 朝にめっぽう強いわたしが、 目覚ましと同時に飛び起きて、 やかんでお湯を沸かしている間に、 ご飯をよそって、作り置きのおかずを盛り付けます。 お湯が沸いたら ハンドドリップでコーヒーをいれます。 コーヒー豆は東京の実家から 送られてくる上等なもの、コスタリカの深煎り。 7時5分に、 かんちゃんを起こして リビングに食事を運んでもらい、 その後小川さんを起こします。 3人が食卓についたら、 濃いめのコーヒー

タイ旅行

小川さんとふたり、 タイ旅行に行ってきました。 那覇とバンコクの往復で、8000円の航空券があったので。 「同じ部屋で寝るのはやめてね」 というかんちゃんの願いを叶えて、 ひとり一部屋の個室に宿泊。 だけど貧乏旅行だから、宿は路地裏のゲストハウスです。 スワンナブーム空港に着いたのは、深夜の1時。 タクシーでバンコクまで行って、夜市の屋台でご飯を食べて、 宿に向かったのは3時過ぎです。 のんきに散歩気分で歩いていたのもつかの間。 道を間違えて、野良犬

猫のえさ代

首里小屋では、なんでも折半しています。 家賃はそれぞれの部屋の面積と、共有スペースの面積を きちんと計って決めているし。 食費は全てレシートをとっておいて 1円単位で割り勘です。 小川さんは、猫アレルギーの猫ぎらいでした。 猫の近くにいると、鼻水や目のかゆみが止まらない。 一緒に住んで治らなければ、病院に通って お薬をもらう予定でした。 ところが、三日と立たずに、猫アレルギーは完治。 猫のそらを、よしよしと撫でるようになっていました。 「ねえ、小川さ

首里小屋会議

私と小川さんは、 友達歴1年。 恋人同士だったこともないし、あんまり深い仲じゃない。 躰で解決できないし、 一緒に過ごした時間で精算もできないから、 全部話し合って生活しようね、というのが首里小屋の決まりです。 話し合いが好きなのが、私たちの唯一の共通点かもしれません。 引っ越してすぐに開催された第一回の首里小屋会議の出席者は、私と、小川さんと、かんちゃん。 洗濯物は、各自でしよう。 家事の分担は、得点制にしよう。 皿洗いは1点、ゴミ捨ては0.5点… 得点王になっ

猫を飼う

沖縄に引っ越してしばらくたって、 私は猫をひろいました。 松田みおのコンサートをおしゃれなカフェで聞いて、いい気分の帰り道。 首里駅と儀保駅の間の、モノレールの下から鳴き声が聞こえるので覗いてみると、手のひらにのりそうな、小さな仔猫がうずくまっていたので、そのまま拾って育てたのです。 首里小屋に引っ越したって、もちろん猫も一緒です。 だけど、私たちが探したところ、ペット可のお手ごろ物件なんてほとんどありませんでした。 これはもう、直談判するしかないね。 私の

首里小屋

沖縄に引っ越して、1年が経とうとしている頃。 年末年始で山形に里帰りしていた小川さんが戻ってきて、久しぶりの日本酒で乾杯しました。 いつもは行かない、私たちにとっては少し高級な居酒屋「炉ばたsakiyama」。 もうすぐ小川さんは大学院を卒業して、就職します。 生活が変わる、これをきっかけに、「一緒に住もうよ!」と提案したのは私です。 小川さんもすぐに同意して、でも、懸念事項がひとつ。 私にはつい1ヶ月前に、彼氏ができていました。それも、小川さんのともだち。