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昭和16年 夏の敗戦  猪瀬直樹 〜意思決定をしないことの恐ろしさ〜

「昭和16年 夏の敗戦」  猪瀬直樹  https://amzn.to/2v1FGEz

この本は、

なぜ日本は、負けるとわかっていた戦争に突き進んでいったのか?

それが猪瀬さんの圧倒的な調査力と深い考察によって書かれている。

昭和16年は、1941年だ。

戦争に負けたのは1945年、つまり昭和20年である。
ではなぜ、タイトルは昭和16年なのか。

それは

「総力戦研究所」が「日米戦必敗」ということを机上演習によって結論づけたのが、昭和16年の夏だったからだ。


総力戦研究所とは、陸軍や海軍、民間から集めたエリートたちによって、国家プロジェクトで戦争の研究を進めていた組織である。

アメリカとの和平交渉の論点は

支那撤退

日独伊三国同盟の破棄
であった。

支那撤退は、陸軍が頑なに認めず、
さらに三国同盟も破棄できなかったため
アメリカとの交渉は結局決裂した。

残された手立てとして
ジリ貧になっていくが、耐え続けるか
戦争するか
の二つに一つだった。

ここで、
戦争をした場合、しなかった場合
の石油残量のシミュレーションを政府は行った。

これは無理やり、
「戦争をやる」という結論ありきでのシミュレーションだった。

いわゆる茶番だ。

なぜ日本は、負けるとわかっていた戦争に向かったのか。

内なる要因は、国務と統帥の二元化。
つまり政府が、統帥部を抑制する術を持たなかったことだ。

統帥部と陸、海軍省などの政府との権力のアンバランスさ。
これに尽きると、この本には書いてある。

外なる要因は、言わずもがなアメリカの石油の禁輸だ。

結論としてこの戦争は、
積極的な意思決定をしなかったことによる戦争だったと言えるだろう。

消去法による戦争。とも言えると思う。

このことからわかること、

それは、意思決定をしないことは、プラマイ0ではない。マイナスなのである。
ということだ。

この本を読むと、それを痛いほど感じる。

意思決定していない時間、それは見えない何かを失っている時間なのだ。

当時の日本は、
物理的に石油を日々失っていた。

もう一度言う。

意思決定をしないことは、プラマイ0ではない。マイナスである。
この教訓は、
国家レベルだけではなく、一人一人の人生にも生かせるものだと思う。

私自身、
消去法による選択をして、人生を全うできないのは絶対に嫌だ。

ハッキリと意思決定をしていく人生にしたい。

そんなことを思わされた。

日本人であるならば、一読の価値がある本なので、気になった方は是非読んでほしい。

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令和の時代が始まる直前のこのタイミングだからこそ、読む意義があるのではないかと思う。

温故知新、
過去から学べるのは、新しい時代が始まる前のこの4月だけだと言っても過言ではないだろう。

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