「パーティション」ではなく「パーテーション」と表記されている「partition」
今回は、「パーテーション」というカタカナ語表記の興味深い点について詳しく掘り下げて考えていきます。具体的には、言語学的背景、他の類似表記との比較、カタカナ語の形成プロセスについて述べていきます。
1. "partition"の英語発音と日本語への取り入れ
英語"partition"の発音は /pɑːrˈtɪʃən/。ポイントは以下の通り:
"par" は「パー」または「パ」に対応する。
"tition" は /ˈtɪʃən/(ティシュン、またはティション)で、アクセントが後半に強くかかる。
最後の /ʃən/ は英語では「シュン」または「ション」に聞こえる。
この発音に基づけば、日本語では「パーティション」が自然ですが、日本語化に際して「パーテーション」という変化が生じています。
2. "-tion"がカタカナ化される際の一般的な変化
英語の語尾"-tion"は、通常 /ʃən/(シュンやション)と発音されますが、日本語では以下のような形でカタカナ化される傾向があります。
(a) 発音に忠実な場合
英語発音に忠実なカタカナ化を目指す場合、「ション」と表記されることが多い。
例: "action" → アクション
例: "station" → ステーション
(b) 音韻的な補正が加わる場合
日本語のリズムや発音に馴染みやすくするため、「テーション」と表記されるケースがある。
例: "rotation" → ローテーション
例: "station" → ステーション(なぜ「シュン」ではなく「テーション」かは後述)
「ション」と「テーション」の使い分け
"-tion"が「テーション」になる例が多いのは、日本語での語感のバランスや発音の流れが関与しています。
「テーション」という形にすることで、日本語話者にとってなじみやすく、リズムが整う(語尾に長音が加わることで発音が安定する)。
これが「パーティション」ではなく「パーテーション」に変化する背景の一つです。
3. なぜ「ション」ではなく「テーション」?
(a) 他の外来語の影響
特に「ローテーション(rotation)」のように、語尾が「テーション」となるカタカナ語が既に存在しており、これが「パーテーション」の形成に影響を与えたと考えられます。
日本語には「類型性」の傾向があり、似た語の音が似た形で取り入れられやすい。
例: "action" → アクション
"station" → ステーション
"partition" → パーテーション
(b) 音韻上の自然さ
「ション」だと日本語として音が短くなりすぎるため、長音を加えた「テーション」が採用された。
日本語の音韻構造では、語尾に長音があると発音しやすく、また、馴染み深くなる。
例: 「パーテーション」と伸ばすことで語感が整い、実際の用途(例えばオフィスの仕切り)にも威厳や専門性を感じやすい。
4. カタカナ語の形成における音韻的特性
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