「広辞苑第7版」において、カタカナで最も多く登場するのは「ン」
『広辞苑第七版』において、カタカナの中で「ン」が最も多く登場するのは、日本語の外来語やカタカナ語の音声的・構造的な特性が関係しています。今回は、この現象について、掘り下げて検討していきます。
1. 外来語の導入と「ン」の増加
日本語の中に取り入れられた外来語の多くは、英語、ドイツ語、フランス語など、欧米由来の言葉が多いです。これらの言語には、単語の中や語尾に「n」や「m」などの鼻音(ビリビリした感じで鼻に響く音)が多く含まれています。日本語ではこの「n」や「m」の音を「ン」で表現することが一般的です。そのため、外来語やカタカナ語として取り入れられた際に、「ン」を含む語が大量に増えることになります。
具体例
ディフェンディングチャンピオン (defending champion)
この語では、もともと英語の「n」の音を「ン」として表現するため、複数の「ン」が使われています。英語にはこうした語尾の「n」を持つ語が多く、その多くが「ン」を含むカタカナ語として取り入れられました。サンフランシスコ (San Francisco)
アメリカ地名や人名も「ン」を多く含むものが多く、特に英語圏の地名は「San」や「Stan」といった接頭辞、接尾辞がよく使われるため、日本語表記に変わるとき「ン」が目立つ表記になります。
2. 日本語の音声体系における「ン」の役割
日本語の音声体系では、「ン」は他のカタカナと異なる特別な立場を持っています。「ン」は子音単独で発音可能な唯一の音で、ほかの音節と独立して使うことができます。また、日本語の音声には「ン」の使用が自然に溶け込んでいます。これにより、「ン」で終わる外来語が発音しやすくなり、普及しやすい面があります。さらに、「ン」は助詞や動詞の連用形の語尾に使われることはありませんが、語の中や語尾として取り入れる場合には支障がないため、どんどん増加しました。
3. カタカナ表記における長音と「ン」の影響
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