日常生活でよく使う「これだけは覚えておきたい『ことわざ』『言い伝え』『故事成語』」(第16回)- - -「見ざる聞かざる言わざる」
Ⅰ「見ざる聞かざる言わざる」ということわざの成立過程・意味・用法について
「見ざる聞かざる言わざる」は、日本の有名なことわざで、「見ない、聞かない、言わない」と訳されることがあります。このことわざは、主に三猿(三匹の猿)として知られ、それぞれの猿が目を覆い、耳を覆い、口を覆う様子を表しています。
成立過程: このことわざの起源は、室町時代(14世紀から16世紀)に遡ります。一説によれば、中国の古典『論語』(ルンユ)や『尚書』(シャンシュ)に由来し、江戸時代に日本に伝わったとされています。江戸時代の初期に、加藤清正が「見ざる聞かざる言わざる」の三猿を好んで使用したことが、広く知られるようになったと言われています。
意味: このことわざの意味は、主に悪口や悪いことを見ないで、聞かないで、言わないで過ごすことの賢明さを教えています。三猿のポーズは、悪口や悪事を知らない・聞かない・口にしないという慎重さや慎重さを象徴しています。このことわざは、不快な状況や他人の悪口から身を守り、平和な心を保つための教訓として広く親しまれています。
用法: 「見ざる聞かざる言わざる」は、特に人間関係や社会生活において悪口や噂話を避け、心の平穏を保つための指針として引用されます。また、時には物事を見逃したり、他人の悪口を聞き流したり、口にしないことで、冷静で建設的な態度を保つことができるとされています。
Ⅱ「見ざる聞かざる言わざる」ということわざを使用した例文について
以下は、「見ざる聞かざる言わざる」を使った例文です:
問題を見ざる、聞かざる、言わざると、心は平穏だ。
彼はいつも他人の悪口を見ないようにし、聞かないようにし、そして言わないようにしています。
仕事の中でのトラブルに巻き込まれないように、同僚の噂話を見ないで、聞かないで、言わないようにしましょう。
子供たちには、「見ざる聞かざる言わざる」の精神を教え、他人の欠点に囚われず、ポジティブな態度を持つように指導しましょう。
難しい状況に遭遇しても、冷静さを保つためには、感情に流されず、「見ざる、聞かざる、言わざる」の概念を実践することが大切です。
これらの例文では、悪口やトラブルから遠ざかり、心の平和を保つために「見ざる聞かざる言わざる」の考え方が応用されています。
Ⅲ「見ざる聞かざる言わざる」と「見て見ぬふりをする」の意味上の共通点について
「見ざる聞かざる言わざる」と「見て見ぬふりをする」は、一見して似たような意味を持つように思えますが、微妙な違いがあります。
「見ざる聞かざる言わざる」(見ない、聞かない、言わない):
このことわざは、基本的には悪口や悪事を見ないで、聞かないで、そして口にしないで過ごすことの賢明さを強調しています。これは、積極的な行動として、悪いことに巻き込まれず、他人の悪口や噂から遠ざかることを指導しています。
「見て見ぬふりをする」:
これは、ある状況や問題を目撃しても、敢えて無視し、無関心を装うという態度を指します。これは時には問題に対して無関心であることを示すだけでなく、時には他人の問題や行動に対して適切に反応することを避けることも含まれます。したがって、この表現は、見ているにもかかわらず何もしない、関与しないという態度を強調しています。
共通点: 共通点として挙げることができるのは、どちらの表現もある種の無視や無関心を示唆している点です。しかし、「見ざる聞かざる言わざる」は特に悪口や悪事から身を守るための態度を教えるのに対し、「見て見ぬふりをする」は広範で様々な状況に適用され、無視や無関心を強調することがあります。
Ⅳ「見ざる聞かざる言わざる」と「言わぬが仏」の意味上の共通点について
「見ざる聞かざる言わざる」(見ない、聞かない、言わない)と「言わぬが仏」にはいくつかの共通点が見られますが、同時に微妙な違いもあります。
共通点:
沈黙と平和: どちらの表現も、沈黙や口を閉じることを通じて平和を保ち、問題を回避することを強調しています。また、不必要な言葉や情報から遠ざかることで、心の平穏を追求する姿勢が共通しています。
違い:
関与度の違い: 「見ざる聞かざる言わざる」は、主に他人の悪口や悪事から身を守るための態度を指すのに対し、「言わぬが仏」は言葉を避けることでトラブルや問題を回避する姿勢を強調しています。言わぬが仏は、言葉を慎むことで自らがトラブルの原因にならないようにすることを指します。
表現の形: 「見ざる聞かざる言わざる」は三猿のポーズを通じて視覚的に示されることがありますが、「言わぬが仏」は特定の姿勢やポーズを伴わず、単に言葉を避けることを強調しています。
総じて言えることは、これらの表現はともに言葉の控えめさや慎み深さを教える点で共通していますが、文脈によって微妙なニュアンスの違いがあると言えます。
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