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社会人に「学び」の意識が薄い日本



今回は、この表を分析し、日本の教育・学習環境の特徴を明確にしていきたいと思います。特に、年齢ごとの学習率の変化、社会的背景、そして生涯学習の傾向について具体的に考えていきます。


1. 年齢ごとの学習率の変化とその背景

この表のデータを見ると、日本では「年齢によって学ぶ人の割合が大きく異なる」ことが分かります。

(1) 15~24歳:義務教育・高等教育を受ける時期

  • 15~19歳:89.467%が学生

    • ほぼ全員が高校・大学・専門学校などに在学。

    • 義務教育(中学校まで)を終え、高校・大学に進学する割合が高いことを示している。

    • 一部の人は就職するが、進学率が高いため、在学率も90%近くに達する。

  • 20~24歳:33.760%が学生

    • 大学・専門学校に進学する人が多いが、卒業して社会に出る人も増えるため、学習率は下がる。

    • 一部は大学院(修士課程)に進むため、学習率が一定割合維持される。

    • しかし、多くの人は22歳で学業を終え、就職するため、25歳以降の在学率は急減する。

(2) 25~29歳:2.161%に急落

  • 25歳以降は、社会人になり学業を継続する人が急激に減る。

  • この年代で学校に通う人の多くは、

    • 大学院生(特に博士課程)

    • 専門職大学院(法科大学院・MBAなど)

    • 社会人向けのリカレント教育を受ける人 など。

  • ただし、数値としては非常に低く、社会に出た後に学び直す人が少ない ことが分かる。

(3) 30~39歳:1%未満に

  • 30~34歳:0.666%(38,901人)

  • 35~39歳:0.504%(22,960人)
    → ここから、年齢とともに学び続ける人の割合が減少する傾向が分かる。

  • 一部の社会人は、

    • 博士課程や専門職大学院(法科大学院・MBA)

    • 社会人大学院(リカレント教育)
      などで学ぶが、割合としては少ない。

  • 30代後半になるとさらに学ぶ人が減る。これは、仕事や家庭の負担が増えるため、学習の優先度が下がる ことを示唆している。

(4) 40~69歳:学ぶ人はほぼゼロ

  • 40代・50代では0.1~0.2%程度の人が在学

  • ほとんどの人が仕事に専念するため、学ぶ人はほぼいない。

  • 一方で、この中には

    • 社会人大学院生

    • 資格取得を目的とした専門学校生

    • 企業派遣で学ぶ人
      などが含まれる可能性がある。

(5) 70歳以上:高齢者でも学ぶ人が一定数いる

  • 75~79歳:1,975人

  • 80~84歳:1,562人

  • 85~89歳:883人

  • 90~94歳:484人

  • 95歳以上:92人
    非常に少数だが、高齢者でも学んでいる人がいる!

  • これは、

    • 大学の聴講生

    • 生涯学習プログラム

    • 趣味・教養目的の学習
      などが関係していると考えられる。

  • 高齢化が進む日本では、定年後に学び直しをする人が増えている 可能性がある。


2. なぜ30歳以上で学ぶ人が少ないのか?

表のデータを見ると、30歳を超えると学ぶ人の割合が極端に減少します。
この背景には、いくつかの要因が考えられます。

(1) 仕事と学業の両立が難しい

  • 日本の社会では、一度就職すると学び直す機会が少ない。

  • 欧米では、キャリアの途中で大学に戻り学び直す文化があるが、日本では**「社会人になったら学業は終わり」**という考えが根強い。

  • 特に、長時間労働が多い日本では、仕事と学業を両立するのが難しい。

(2) 企業の支援が少ない

  • 日本では、企業が社員の学び直しを積極的に支援する文化がまだ根付いていない。

  • 海外(特に欧米)では、企業が従業員の大学院進学をサポートする制度があるが、日本ではそのような制度が限定的。

  • そのため、社会人大学院に通う人が少なくなっている。

(3) 高額な学費の負担

  • 大学院や専門学校に通うには費用がかかる。

  • 日本では学費の補助が少なく、社会人が気軽に学び直すのが難しい。

  • そのため、社会人になってからの進学が進みにくい。


3. 高齢者の学習は増える可能性がある

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