つわりと自律神経のつながり
アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏 より
ここ2〜3週間で立て続けに
「つわりと自律神経の関係性」について質問される機会があり
改めてまとめておきたいと思います。
つわりとは?
つわりとは妊娠初期に生じる吐き気や嘔吐、食欲不振などの症状をいいます。
妊婦さんの60~80%にみられる
とされます。
つわりの症状とは?
吐き気、嘔吐
食欲不振
匂いに過敏になる
眠気
イライラ
頭痛 など
つわりの重症化と関連のある要因
年齢が若い
経産婦(出産経験のある女性)
仕事を持っていない
多胎妊娠(2人以上の赤ちゃんを同時に妊娠すること)
BMIが低い(体重が少ないなど)
不安やストレスなどの心理的要因
つわりがいつ頃に生じるものなのかということについては、以下のように一般的に言われています。
つわり症状の始まりと終わり
始まりの時期:妊娠5週目ごろ
症状のピーク:妊娠8週から9週ごろ
落ち着く時期:妊娠15週から16週ごろ
と一般的に言われています。
そもそも、妊娠している時の自律神経の活動はどのようになっているのか?を知っておく必要がありますね。
妊娠と自律神経活動
妊娠初期:交感神経 低下 ⬇️ / 副交感神経 優位 ⬆️
妊娠末期:交感神経 優位 ⬆️ / 副交感神経 低下 ⬇️
妊娠の経過とともに上記のような自律神経の変化が生じると言われています。
このような自律神経の変化と「つわり」の関係性は少しずつ調べられています。ただ、そもそも つわりの原因がまだはっきりと解明されていないため、つわりを自律神経の働きとだけ結びつけて考えることができないことをあらかじめお伝えしておきます。
つわりの原因には、以下のような要因が関係していると考えられています。
つわりの原因
妊娠した女性だけが作るホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が、胎盤から分泌されて、脳の嘔吐中枢を刺激するため
プロゲステロン(女性ホルモン)が増加することで、体内にガスがたまりやすくなるため
妊娠による環境変化やストレスにより、自律神経が乱れるため
胎児への栄養の供給や、食生活の乱れから栄養不足になるため
上記のことを踏まえた上で、つわりと自律神経のつながりに話を戻します。
つわりと自律神経活動
脈拍および心電図検査によりR-R間隔を測定し、自律神経活動を評価する方法での一つの研究では
副交感神経の働きを表す指標は妊娠8〜11週に最高値を示し、妊娠週数と共に低下することが確認された。
つわりの症状の強さのピークも妊娠8〜11週
症状の強さや長さにおいては、自律神経の活動と単純に結びつけられるような結果は出なかった
精神的な不安状態が強い人ほど、つわり症状が強い
という結果が見られていました。
「つわり」は、自律神経、ホルモン分泌、脳活動、胎児の成長、精神的な不安などのような様々な要素から影響を受けることから、短絡的に一つと結びつけることはできないが、それぞれがどのような働きで関係しているかを知っておくことは、とても大事ですね。
ここは私見です。
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つわりの症状は、副交感神経の亢進(交感神経の活動低下)と繋がりが強いという印象を受けますね。妊娠15・16週ぐらいまで副交感神経が優位な状態が続いている人ほど、つわりが長く続いている可能性があると感じます。妊娠16週ぐらいに副交感神経から交感神経への切り替えがスムーズに行っていない根本的な原因、交感神経にスイッチを入れることを妨げている原因を一緒に探すことが必要ですね。
・痛みや怠さによる運動、活動の制限
・心理的な不安から活動が消極的になる(外に出たり、友人や家族に相談できていないなど)
・食べ物の偏りや食べ過ぎなど
・動くことへの過剰な不安や心配 など
これらのことが絡み合って交感神経へのスムーズな切り替えを困難にしていることが多いと感じますね。家族、友人、医療関係者など周りにいる方が情報共有しながら、妊婦さんをフォローしてみんなでつわり対策ができるといいですね🍀
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今回は、つわりと自律神経の話を中心にお伝えしました。
最後までお読み頂きありがとうございました。
参考文献
・Kuo C D, Chen G Y, Yang M J, et al. Biphasic change is autonomic nervous activity during pregnancy. British Journal of Anaethesia 84(0):323-9, 2000
・Kaleen B, Lundberg G, Aberg A. Relationship between vitamin use, smoking, and nausea and vomiting of pregnancy. Acta Obstetricia et Gynecologica Scandinavica 82:916-920, 2003.
・竹林佳子, 松尾博哉 つわりの推移ならびに重症度と自律神経活動どの関連 神大院保健紀要, 第26巻, 2010
・加子亜紗子,後藤節子,水野妙子,他.つわり症状に対する心理的および生理学的アプローチ.母性衛生 44(1):39-44, 2003
アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏より
日本アレルギーリハビリテーション協会
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【今後の研修会予定】
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自律神経セラピストBasicコース
【アーカイブ配信講座】
②-1「血流(血管)と自律神経」
②-2「内臓と自律神経」
②-3「睡眠と自律神経」
動画公開期間:2024年1月17日〜2024年 3月3日
③-1「神経・筋膜の機能解剖」
③-2「排便の運動学」
③-3「便秘の原因」
動画公開期間:2024年3月13日〜2024年4月28日
※自律神経セラピストBasicコースの概要や講座の内容につきましては、こちらからご確認ください。
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『睡眠障害の予防と改善に向けた理学療法』
日時 2月28日(水) 20:00〜21:30
場所 zoom(後日アーカイブ配信あり)
講師 理学療法士 及川文宏
一般社団法人日本アレルギーリハビリテーション協会
内容
・睡眠障害、睡眠負債とは
・睡眠不足になるとどうなる?
・肥満と睡眠不足
・コルチゾールとメラトニンの役割
・熟睡のための5つのコツ
・睡眠障害者の身体的特徴
・睡眠障害者の評価ポイント
・熟睡できる身体、姿勢分析
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『自律神経障害の病態メカニズムとリハビリテーション 』
日 時:3月13日 (水) 20:00~21:30
場 所:ZOOM(後日アーカイブ視聴あり)
講 師:京都橘大学 健康科学部 理学療法学科
助教 重藤 隼人 先生
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『自律神経の評価と介入(基礎編)』
日時 3月23日(土) 10:30〜16:30
場所 東京都内(申込者に詳細をお伝えします)
講師 理学療法士 及川文宏
一般社団法人日本アレルギーリハビリテーション協会
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