排便に必要な要素とは?
アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏 より
今回は、便秘の原因シリーズ10
便秘には以下のような原因があります。
【便秘の原因】
①食べ物
②胆汁の働き
③水分量のコントロール
④腸内細菌の働き
⑤腸の働きの問題
⑥骨盤底筋群の問題
⑦腰椎・骨盤・股関節の問題
今回は、
⑥骨盤底筋群の問題
⑦腰椎・骨盤・股関節の問題
についてお伝えしたいと思います。
⑥については、前回の補足とまとめです。
前回のブログをご覧にりたい方は、こちらから
⑥骨盤底筋群の問題
ウンチをスムーズに出す際に必要な要素には以下のものが挙げられます。
排便に必要な要素
✅ 内・外肛門括約筋の弛緩
肛門括約筋には2種類あります。内側の内肛門括約筋、外側の外肛門括約筋です
内肛門括約筋:平滑筋であり自律神経によってコントロールされる
直腸に便が溜まっていない場合には、排便反射が生じないため、内肛門括約筋は収縮して閉じた状態(穴が閉じている状態)になっています。つまり、内肛門括約筋は、おしりを締めようと意識しなくても(不随意に)、自律神経のはたらきでおしりを締めてくれています。逆に直腸に便が溜まった時には、排便反射が生じて、内肛門括約筋は弛緩して開いた状態(穴が開いた状態)になります。
外肛門括約筋:体性神経支配の横紋筋で意識的にコントロールできる
手や足の骨格筋と一緒で、自分で締めたり、緩めたり出来ます。内肛門括約筋は、肛門の近くまで便がくると緩みます。その時「便意」を感じるので、便がもれないように、外肛門括約筋を締めることができます。このように肛門の締まりは平滑筋と横紋筋の協調作業で調整されています。
重要なポイント!
便意が生じた際に繰り返し排便を我慢していると、外肛門括約筋だけでなく、内肛門括約筋も緩ませることが難しくなります。
(2つの筋を同時に強く収縮させる機会が多いと筋が硬くなりやすくなってしまい、トイレに行った時ですら、内外肛門括約筋を緩ませることができなくなってしまうからです。)
「仕事の都合などで、便意を感じた時にトイレに行けない、、」
という方も多いかと思いますが、便秘を軽くみては本当にダメです!
☑️ 排便の毎日のリズムを作る
✅ 恥骨直腸筋の適度な弛緩
便の動きを一時的に止めることのできる恥骨直腸筋は、排便時には緩めることが必要ですね。
✅ 骨盤底筋の遠心性収縮
骨盤底筋は、力が入りすぎてはダメなことを前回説明しましたね。排便時には、腹圧を高めていくことに合わせて、遠心性収縮することが求められます。詳しくは前回のブログをご覧ください。
✅ 腹圧の適度な上昇
腹圧に関係する横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤的筋の4つが協調して働く必要があります。
※基本的には、排便姿勢を正しくとって、外肛門括約筋を緩めた状態で、必要最低限の腹圧の上昇で排便できることが理想です。
✅ 排便に関わる筋の選択的収縮
腹圧に関わる上記の筋だけではなく、股関節周りの筋や肩甲骨周りの筋も過剰に緊張している(硬くなっている)と、排便を妨げていることもあるので、注意が必要です。
最後の✅にも繋がりますが、
⑦腰椎・骨盤・股関節の問題
腰椎・骨盤・股関節の動きの偏りは、以下の2点で便秘に関わってきます。
1)排便に関わる筋の収縮や弛緩を制限すること
2)腸の蠕動運動の偏りが生じること
したがって、
・アライメントの偏り、柔軟性低下
・腰椎、股関節の可動性低下
これらを修正するための介入が、便秘改善に繋がることは珍しいことではありません。
便秘の原因について、まとめるのに10回!もかかってしまいましたが、全体的な感じはわかっていただけましたでしょうか?
少しでも便秘について、知ってもらって、読んでくださっている方の便秘解消につながってもらえたら幸いです🍀
最後までお読みいただきありがとうございました🍀
アレルギーとたたかう理学療法士
及川文宏より
日本アレルギーリハビリテーション協会
アレルコア
YouTube(アレリハちゃんねる)とnoteでは、アレルギー疾患や自律神経に対する理学療法についてお伝えしています。
アレルギーや自律神経に対するリハビリテーションの講習会情報につきましては、以下のHPをご覧ください。
無料のLINEチャットでは、自律神経についての情報発信をしています。
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【今後の研修会予定】
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〜生理学から臨床まで〜
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講師 及川 文宏
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全9回講座(90分 × 9回)
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①-2「自律神経を変化させる要因」
①-3「ストレスと自律神経」
②-1「血流(血管)と自律神経」
②-2「内臓と自律神経」
②-3「睡眠と自律神経」
③-1「神経・筋膜の機能解剖」
③-2「排便の運動学」
③-3「便秘の原因」
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