ジャム
イチゴのヘタを取って鍋に入れる。
水と砂糖、蜂蜜を入れて火にかける。
甘ったるい奥にツンと酸っぱい匂いが立ちこめる。
イチゴを潰しながら勝てなかった戦を思い出した。
想いも、思惑も、愛も、努力も、そのピンクの沼の前では何もかも無力だった。
この鍋の中のように煮詰まっていって、しかし本質は変わらなかった。
私はどうして勝てなかったのか。何に負けたのか。どうして勝ちたかったのか。
たぶん私はなんの影響力もなかった。後にも先にもただの人。
きっとイチゴジャムには恋の魔力があると思うの。
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