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仕事は我慢してするもの?

東畑開人さんの本『雨の日の心理学』を読んだ。
昨年購入して、寝る前に少しずつ読み進めていた。
装丁のイラストや中のページのデザインが好みだった。
東畑さんにも関心があった。

「雨の日」と表現しているのは、心のコンディションがよくなくて、ケアが必要な状態のことを指す。

本の中では主に、家族や職場で雨の日の状態な人に対してケアする方法や悩みの解決法をわかりやすく解説している。

雨の日は、突然やってくるので、それに対応するためのポイントの紹介だ。

私は今、大雨の状態のような、ケアが必要な身近な人は、幸いなことにいない。

たまに小雨が降ったり、通年曇りみたいな人はいるかな。

それは、どんな人もきっとそんな状態なのだろうと思う。自分も含めて。

今の私は、何らかの形で、自分の肩の荷を降ろす方法を知りたくて、いろいろな本を読んでいる。
何となく曇りがちな自分を感じているので。

なので、この本を読み終えて、真っ先に思ったのは、「今、私の上には、雨降ってるかも」
だった。

それを見ないふりしている。
そうしないと、毎日会社に行けない。
家族が生活できない。

でも、大雨ではない。
お腹もすくし、眠れるし、仕事も普通にできて、文句言いながら家事もしている。

自分の時間もあるし、好きな本や洋服も買えるし、おいしいレストランにだって行ける。
旅行には時間とお金の関係で、なかなか行けないけれど。

愚痴を言える友人もいるし、心を許せる家族もいるし、安全に眠れる家もあるのに、なぜ雨が降っているように感じるのだろう。
こんなに恵まれているのに、何が満たされていないというのだろうか。
いつも、そこでつまずいてしまう。
それを探すために、本を貪るのように読んでいる気がする。

本だけの供給ではない。
もともと、ドラマや映画も好きなので、そういったものを見るときも、常に頭の片隅がモヤつく自分を感じる。

最近のテレビ局のニュースからも、女性と社会構造について、考えさせられている。
自分事でもあるけれど、それよりも今後必ず社会に出て行くであろう娘達の将来が重なって見える。

仕事って、我慢の連続で成り立つものだと、当たり前のように考えていたし、上司の命令は絶対だと思っていたが、果たして本当にそうなのか?と今は思う。

娘達には、疑問に感じる場面に遭遇したときには、躊躇わず誰かに相談したり、話せたり、逃げたりできる人であってほしいと思う。

そんな話を夕飯後に熱く語り合った週末。
以前から見たいと思っていた、野木亜紀子さん脚本のWOWWOWドラマ「フェンス」を一気見した。

テーマは国際問題にも関わる壮大なものであったが、このドラマからも「女性が社会の中で生きぬく」ための厳しさを感じた。

主役の2人の演技が素晴らしかったのは言うまでもないが、私の中では、特別出演のガッキー(新垣結衣さん)が、印象的だった。

心療内科の先生という役柄自体に存在感があったのだが、ガッキーが出てきただけで、ドラマのシーンに、妙な説得力と存在感があった。安心感も。なぜだろう。
沖縄の方言もよかったし。
すごい女優さんなんだと思う。
ご本人が本来持っている佇まいもあるのだろう。

話が少しそれてしまったが、先日、小川糸さんの『小鳥とリムジン』を読んでいたので(性被害に遭う女性の話だった)、若い女性達がこれから厳しい世の中を逞しく生きていくために、私に何ができるだろうかと考えてしまった。

私が若いときは、セクハラ、パワハラという言葉もなかったし、仕事は全て、我慢のうえに成り立つものだと思っていた。
今も無意識にそのように考えてしまうことがやめられず、苦しんでいるところがある。

「仕事のために我慢しなきゃいけない」の我慢とは、どこまでを指すのだろうか。

その範囲は、人によって違うし、同じ自分でもその時の体調や心理状態によっても変わる。

「我慢するのが当たり前」で、「自分さえ我慢すれば他はうまくいくのであれば、そのまま我慢しておこう」を自分自身がデフォルトにしすぎてしまった。

そんな私から、どんなことを娘達に伝えられるのだろう。
「我慢することも時に必要だけれど、時には逃げてもいい」とは、伝えているつもりだけれど、うまく伝わっているのか。

こんなに毎日、我慢して家事して、仕事して、満員電車に乗って、愚痴ばかり言っている母を見て、反面教師になっているのかな。
でもきっと、私が幸せでいる姿をもっと見せないといけないんだろうなと思う。
答えを探す旅はまだ続く。

日曜劇場の「御上先生」も女性と社会構造がテーマになっている。
もちろん、夢中になって見ている!

少しずつでも、何かを変えていけたらと思う。
娘達の将来のためにも。
我慢ばかりの日々ではなく、自分をもっと優先して、自分をもっと大事にできるように、私自身が実践していかなくては。

年齢のせいかな。
こんなことを考えてしまうのも。