#3: 〈山さんぽ〉烏原貯水池からカフェ、そして日帰り温泉
神戸は山へのアクセスがすこぶる良い。
市街地から坂を登っていくと、いつの間にか登山口に辿り着いている。
家に近いからと、日々気軽に山を歩く方も多いみたいだ。「烏原貯水池」はそんな地元の人々の散歩スポットの一つである。
じっさい、七十をいくつか超えた義祖母は毎日通っているらしい。(彼女は一万歩以上の散歩が日課のスーパーおばあちゃん)
初夏のハイキングはきっと爽やかで気持ちいい。晴れマークが並んだ週末、思い立って行ってみることにした。
10:00 | バスで麓まで、そしてひたすら階段
家から麓まで歩いていくこともできるけど、運動不足の身を案じて念のためバスに乗る。
降りたのは「石井橋」というバス停。振り向くとすでに目前まで山が迫っていて、石井川がきらきらと流れてきていた。
google mapを頼りに、住宅地を貯水池目指してどんどん歩いていく。
と、なにやら急な階段が目の前に。
(こ、これ登るのかあああぁ)
心の中で思わずつぶやいたくらい本気の階段である。
貯水池まではいろんなルートがあるから、階段ではなく坂を登る道もあるはずだ。
でもなんとなく、広島の尾道的な情緒を感じたので頑張ることにした。
…あっという間に息が上がる。
休憩がてら町の方を振り返ると、気づけば海まで見渡せる高さに辿り着いていた。ああ神戸だなあと思う。
やっと階段を登り切ると、広い道路が現れた。犬を連れている人もいるから、やっぱり散歩コースなんだ。
10:30 | 烏原貯水池の周りを歩く
坂を登り切ると、立派なダムを見渡す広場に到着した。
「わー、でっかい…!」
ここまできた甲斐があった!と思える景色が広がる。新緑と水に映る青空がまぶしい。
池の周りは「水と森の回遊路」と名づけられた遊歩道になっていて、一周約2.7km。ところどころベンチや広場、トイレもある。
この日は大きな木の近くで、子ども向けに木登りのワークショップ(かな?)も開かれていた。
自然いっぱいの中で遊ぶのは気持ちいいだろうなあ。
お昼のお弁当もばっちり持ってきた。気合を入れ、よし、歩くぞ!
11:30 | お昼ごはん
のんびり歩いていくと、やがて清流にたどり着いた。
貯水池に流れ込む烏原川は水が澄んでる。そういえばここに蛍を見にきたことがあった。
アップダウンの無い遊歩道は、久しぶりのハイキングにちょうど良い。
お腹もすいてきたので、静かな川のほとりに座ってお弁当を広げる。
知らない小鳥の声があちこちから聞こえてくる。
さっきまで市街地にいたのがうそみたいな自然だ。
ごはんの後はまた、ひたすら木漏れ日のシャワーの中を歩く。
いつのまにかスタート地点の亀の甲広場に戻ってきていた。
体は疲れていたけど、体と心が爽やかだ。暮らしのすぐそばに山があるってすばらしい。また近いうちに歩きに来るぞ。
12:30 | 天王茶屋でおやつ
そして、もうひとつ行きたかった場所へと向かう。
貯水池から市街地とは反対方向の道を降りると、山間の住宅地が見えてきた。
小さな橋を渡ると、また急な坂が現れる。
その坂を登った先にあるのが天王茶屋さんだ。
築百年を超える民家を、店主のご夫婦自ら手を入れお店を開いた。奥には畳の間があり、瞑想のイベントなども行われている。
ここはごはんが美味しいのはもちろんだけど、空間自体が大好きで定期的に来てしまう。
それに、ご夫婦のお人柄もなんとも言えずすてきなのだ。
さらっとしてるのに温かくて、この家と場所にぴったりな二人にわたしはひっそりと憧れている。
夏に向けて冷たいおうどんも始めたみたいだから、暑くなったら食べにこよう。
13:30 | 湊山温泉に浸かり、喫泉でごろごろ
川沿いに下って行くと、あっという間にバス通りにたどり着いた。人の気配にもほっとするけど、もう少し非日常の余韻に浸りたいところ。
ということで、この日の散歩は温泉で締めることにした。
レトロな風情の湊山温泉は、地元の人をはじめハイキング帰りのお客さんにも愛されるアットホームな憩いの場だ。
肩肘張らないローカル感がとても心地いい。
源泉かけ流しの温泉はさっぱりしていて気持ちいい。
思いっきり足を伸ばすと、久しぶりに使った筋肉がしゅわわ〜〜〜とほぐれていった。
そういえばここの2階に、「喫泉(きっせん)」という名のすばらしい休憩スペースがある。
木の温もりを感じる明るい空間で、壁一面の本棚には漫画や本がぎっしり並んでいる。
ハンモックやクッションがゆったりと配置されていて、心ゆくまで読書や昼寝が楽しめるのだ。温泉のあとに、なんて贅沢な時間だろう。
わたしも気になっていた漫画を手に取って読み始めたのだけど、気がついたら寝落ちしていた。ちょっと残念だったけど、それもまたよし。
次はシリーズ全巻読むつもりで来てみようかな。
おしまい | 思ったより自然は近くにあった
ふとした思いつきで、ちょっとした山さんぽに出かけた1日。自然が暮らしのすぐそばにあることの豊かさに、改めて感謝したくなった。
木々や生き物の気配に触れたり、無心で体を動かしたり。たとえ短い時間であっても、リフレッシュ効果は絶大みたいだ。
これからは身近な山や海をもっと日常的に訪れたいな。またいろんな山さんぽについて書きたいと思います。
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