自然災害が空き家トラブルを引き起こす―災害時の空き家トラブルと空き家の劣化対策について―
皆さま、こんにちは。
株式会社フル・プラスnote編集担当です。
今日6月21日、近畿、東海、関東甲信地方が梅雨入りしたと気象庁が発表しました。
関西在住の私は「今年は梅雨のないまま夏を迎えるんじゃ…」とハラハラしていたので、梅雨の到来にホッと一安心しました。
私たちの生活にも、農作物の成長にも欠かせない「水」
梅雨は「恵みの雨」をもたらす大切なものですが、近年は梅雨の大雨による豪雨災害も多発しており、災害に備えた防災対策が重要視されています。
豪雨や台風、地震などの災害に対して、空き家は大きなリスクをはらんでいます。
そして実際に、災害時に空き家が近隣にもたらすトラブルが、今、全国的に大きな問題となっているのです。
災害時の空き家トラブル
災害時においては、倒壊・損壊した空家が近隣の家屋や住民に被害を及ぼす、避難の妨げになるといったリスクがあります。
また、今年1月に発生した能登半島地震では、相続登記がされておらず所有者が不明であったり、権利関係が複雑であったりといった空き家が原因で「公費解体」が進まず、復興の妨げとなっていることが大きな問題になっています。
空き家が原因で近隣へ被害が及ぶのは、大規模災害に限りません。
特に注意すべきは、台風による被害です。
老朽化した空き家の瓦などの建材が強風で飛ばされ、近隣の物を破損させる、人にケガをさせるといったリスクがあります。
また、庭木が落葉し、側溝をふさいでしまって水が流れない、側溝があふれるといったトラブルも報告されています。
居住中の住宅と違い、空家は自然災害で建物に被害が及んでも、すぐには気付かなかったり、対処が遅れたりする傾向にあります。
そうして対応が遅れているうちに建物の劣化が進み、「特定空家」「管理不全空家」といった近隣に被害を及ぼすおそれのある空家へと進行していくのです。
なぜ空き家は劣化するのか
人が住まなくなった住宅は急激に劣化が進みます。
居住中の住宅では、生活の中で換気や空気の流れが自然に発生し、給排水管への通水も行われています。
それが空家となることで、換気不足によるカビや湿気が発生し、木材が腐食します。
そして、給排水管は長期間使用しないことでサビが発生し、破損の原因となります。
また、人の気配のない住宅は害虫や害獣にとって格好の住処です。害獣の糞尿により木材が腐ったり、配線をかじられることで電気がショートし火災が発生するといった危険があります。
空き家の劣化を防ぐ方法
空家の劣化を防ぐ方法の一つとして、「人に貸す」という活用方法があります。
賃借人に使用してもらうことで、日常的に換気や通水が行われ、雨漏りなど建物に異常があればすぐに気付いてもらうことも出来ます。
空家を人に貸す場合、リフォーム工事を行った上で賃貸に出すのが一般的です。
賃貸住宅において、キッチンや風呂、トイレといった「水回り設備」の新しさ・清潔さは重要視されます。
とはいえ、水回り設備の全てを交換するのは費用がかさみます。また、古い住宅の浴室は現在のユニットバスの規格に合わず、交換することが出来ない場合もあります。
しかし、新品へと交換できない場合でも、一工夫加えることで「古さ」を払拭することが出来ます。
例えば、浴室は既存の床や壁、天井を上張りすることで、ユニットバスと遜色のない、現代的な浴室へと生まれ変わります。
水回り設備の他にも、「和室を洋室へ変更」するなど、古い住宅を現代の生活様式に合った様式へとリフォームすることが、空家を賃貸に出す上でのポイントです。
空き家になる前に、家族間で話し合いを
先述のとおり、空家は劣化が進みます。
空家の期間が長くなるほど住宅は傷み、損傷の激しい空家は賃貸に出すなどといった活用が難しくなります。
反対に、空家となる期間が短くなることで、活用・売却などの選択肢が増えます。
空家という「不動産(資産)」を上手に活かすためには、空家になる前から「自宅・実家が空家になったらどうするのか」を家族間で話し合い、意見をまとめておくことが重要です。