約1か月で取材が5件決定!メディアの問い合わせフォーム経由で返信率が30%になった方法と実際の文章を公開
戦略広報の斉藤です。いつもnoteを読んでくださってありがとうございます。今日は私が七転八倒の末、当社代表の瀬川の取材がいくつか決まったことについてお話しします。順風満帆に取材と記事掲載が実現したわけではなく、メディアからの返信すらない暗黒時代を経てようやく定量的な成果に繋がってきました。私がどんな心境の変化を経て、何をして、結果どうなったか、今後の課題をどう捉えているか。まだまだ未熟ですが少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。(あくまで当社のケースですので、「これが正解!」というお話ではありません。参考としてご覧ください。)
企業広報って何すればいいの?
私は2021年11月にフルカイテンに入社し、戦略広報チームのメンバーになりました。チームは私含め3人で、デスク(南)は「FULL KAITEN」のサービスや企業の決算レポートなどに関するニュースを発信する事業広報、きくりん(菊池)はフルカイテン主催のウェビナーや、展示会などを企画・運営するイベント広報です。チームと代表瀬川との話し合いの結果、私は瀬川やフルカイテンで働く社員、会社に関するニュースを発信する企業広報担当に決まりました。
とはいえ、今までは消費財メーカー2社で広報を担当し、主に事業広報(商品に関する広報)をしていたので会社自体や代表を広報することは稀でした。なので「企業広報って何をすればいいの?」からのスタートでした。
最初は瀬川からの提案で、「まずは会社を知ることが優先。あっちゃん(※筆者のニックネーム)なりにインプットしたことをnoteでアウトプットするのはどうかな?」と提案を頂きました。
迷っていた私にこんなに分かりやすい道筋を示してくれた瀬川と広報チームの2人に感謝です。
そして、2022年3月まではボードメンバーや社員へのインタビューなどを通じて会社を知り、noteにコンテンツを投稿する時間にしました。
特に執筆に苦労したのは以下3つのnoteです。
起業で3度の倒産危機、夫婦で月給9万円。絶望の中で生み出した「在庫分析SaaS」と支え続けた家族の物語
瀬川と家族がどんな想いで何をしたのか、当時をヒアリングしながら瀬川と広報チーム総出で書きました。どう書けば読者の心に響くか、研究を重ねました。
社員に聞いた!世界の大量廃棄問題の解決を掲げる「フルカイテン」ってどんな会社?会社案内には書いていないリアルをお届けします。
「これを読めば今のフルカイテンが分かる」をテーマに書きました。最初は自分のインプット情報だけで書きましたが、瀬川から「社員にアンケートを取ったほうがもっと良い記事になると思うで!」とアドバイスを頂き、みんなに協力いただいて完成したnoteです。
儲ける力に直結する「粗利経営」入門_前編・中編・後編
当社が重要性を発信し続けている「粗利経営」について前編・中編・後編に分けてお話ししました。粗利経営は奥深く、当時、私の理解が追いついていないことが原因で、書きたいのに自分の言葉でかみ砕いて書けない状況でした。結果的に瀬川に沢山フィードバックをして頂き、書きながら理解を深めました。
計16本のnoteを公開し、並行して瀬川の年末談話などのプレスリリースを配信し、少しずつ会社や業界に関する知識を深めていきました。
しかし…。
メディアに問い合わせても返信ゼロ
2022年4月になり、今まで作ったnoteのコンテンツを元に記者のTwitterのDMや、メディアの問い合わせフォームに連絡して瀬川の取材を提案しました。送った問い合わせは34通にも上りました。しかし蓋を開けてみると、返信すらありません。
私が所属する戦略広報チームのデスクときくりんの実績を例に挙げると、デスクが担当する事業広報は四半期ごとに25回はメディア掲載があり、きくりんが担当するイベント広報も毎月のウェビナー集客が700人以上(多い時は1000人)という結果を出しているので、余計に焦りました。気持ちも暗くジメジメした暗黒時代は約7か月続きました。
全く返信がない理由を自分なりに考えましたが、瀬川との1on1で「メディアから返信がない理由を空中戦で考えても意味がないんじゃない?」と指摘があり、発想を真逆に変えました。今までメディアからの問い合わせによって掲載に至ったケースを振り返って理由に焦点を当て、「なぜ」を解釈し意味合いを抽出したんです。
すると、商談を取ること自体が目的になっており、アポイント打診の内容に心がこもっていない(相手への研究が足りない=相手に響かない)内容になっていると気付きました。この点を踏まえ、相手選びと送付する文章を相手に合わせてカスタマイズする丁寧さが掲載への王道だと考えたのです。
当社のインサイドセールスが順調にお客様とのアポイントを取れていると聞けば、インサイドセールスがお客様に送った手紙を読み込んで参考にすることもありました。
ですが、それでもメディアから返信はありません。八方塞がりでした。
どうして返信が来ないのか考え抜いた
2022年6月に配信した粗利経営に関する談話プレスリリースをフックに、ようやく数社のメディアと商談を実施することができ、大事なことに気付きました。
商談では、メディアからこんな声が寄せられました。
・粗利経営が重要なのはとても分かるが、それだけだと話が広がりにくい
・SDGs切り口は読者も「またか…。」と思うので記事にしにくい
・切り口が面白ければ記事にできる
このことから、メディアや読者が求めている話なら掲載のチャンスがあると気付きました。今思うと当たり前の事なのですが、当時は視野が狭く気付けていませんでした。
ここで私は1度目のブレイクスルーを体験しました。
今までアポイントを打診する文章は、重要だと思っていた粗利経営を序盤で押し出していましたが、この提案は敬遠されているのでは?と思いました。いきなり「粗利経営」なんて言われても意味が分かりませんよね?
そこで、粗利経営を文末に移動し、先になぜ粗利経営が重要なのか分かるように書いたほうが理解しやすいのでは?という仮説を立てました。
こうして文字にすると大した事ではないのですが、自分としても腹落ちしたので、次はメディア選定が課題になると考えました。
当社と親和性が高いメディアはどこか?と考えましたが、検索してヒットするメディアは自分の検索ワードによって偏ります。
そこで、自分がベンチマークしているSaaS企業のメディア掲載を片っ端から見て、掲載したいと思うメディアを選定しました。
メディアへの提案切り口を考えるポイントは次の通りです。
提案の切り口は決まりましたが、問い合わせフォームにどんな文章を送るか考えるのが一苦労です。
突破口は「この際、自分の思いのたけを書いてみよう。」
ここで私は2度目のブレイクスルーを体験します。
今まで問い合わせフォームに送っていた文章で返信がないなら、試しに自分の思いのたけをぶつけた内容にしよう!と思いきることにしました。問い合わせフォームは無機質な感じがしますが相手は人です。相手の心に響く文章にしたいと思ったのです。
参考にしていた文章などは敢えて何も見ずに、真っ白なGoogleドキュメントに文法などは無視して思うことを書きました。一通り書けたら、相手に送れるよう微調整しますが、あえて直しすぎないようにしました。
すると2022年6月29日、初めて「ぜひ掲載したい!」と返信がありました。メールを送った4時間後に反応があったのです。
メールの通知が来た瞬間、思わずガッツポーズをしました。今思いだすと恥ずかしいです(笑)
この掲載を皮切りに、他のメディアに送っても通用するか反応を見るために、各媒体に合わせた構成に変えて送りました。
すると、21社中6社返信があり、うち5件取材が決まりました。
次章では私が実際に送った文章を解説します。
実際の文章を公開
媒体名「コーナー名」編集ご担当者様
初めまして。フルカイテン(株)で広報を務めます斉藤と申します。
いつも拝見しております。本日は弊社代表瀬川の取材を検討いただきたくご連絡を差し上げました。小売業のDXの切り口で、小売業が抱える「過剰在庫」問題の背景と解決策をご紹介させていただけないでしょうか?
弊社は在庫を利益に変える在庫分析クラウド「FULL KAITEN」の開発・提供を行うスタートアップ企業です。
小売業が過剰な在庫量を持たずに、今ある在庫をAIで分析することで利益を最大化できるサービスです。世界の大量廃棄問題の解決をミッションに掲げ、未来の子供や孫の世代により良い地球を残すために事業を行っております。
弊社は代表の瀬川が2012年に「人を笑顔にしたい。」と起業し今年で10年目を迎えました。
創業当初はベビー服のECをしておりましたが、在庫が原因で3度の倒産危機を経験します。
瀬川とその家族の壮絶な創業秘話をnoteにまとめました。
「起業で3度の倒産危機、夫婦で月給9万円。絶望の中で生み出した『在庫分析SaaS』と支え続けた家族の物語」
https://note.com/fullkaiten_re/n/n5d34cddbea09
その倒産危機から学んだ最適在庫経営の提言を、今年4月日経トップリーダーに取材いただきました。https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19nv/120500136/040700726/
在庫は地味に捉えられがちですが、経営に直結する重要な要素です。FULL KAITENは在庫という経営のど真ん中にアプローチできるサービスで、アパレル競合他社もおりません。小売業界だけでなく、事業を通じて世界の大量廃棄問題にも貢献したいと考えております。
最近、株式会社アダストリア様や株式会社オンワードホールディングス様などのアパレル小売が、値引きを抑制することで純利益が倍増したというニュースがありました。この事実からも分かるように、在庫は経営に直結しており、過度な値引きは企業の生死に関わる大きな課題だということです。この問題に対して弊社は在庫分析によって様々な成果を生み出しています。読者の皆様に粗利経営の重要性もお話しできればと考えております。
ーーー解説ーーー
ではここから解説していきます!太文字にしている箇所がポイントなので、引用表示で説明します。
媒体名「コーナー名」編集ご担当者様
初めまして。フルカイテン(株)で広報を務めます斉藤と申します。
いつも拝見しております。本日は弊社代表瀬川の取材を検討いただきたくご連絡を差し上げました。
小売業のDXの切り口で、小売業が抱える「過剰在庫」問題の背景と解決策をご紹介させていただけないでしょうか?
弊社は在庫を利益に変える在庫分析クラウド「FULL KAITEN」の開発・提供を行うスタートアップ企業です。
小売業が過剰な在庫量を持たずに、今ある在庫をAIで分析することで利益を最大化できるサービスです。世界の大量廃棄問題の解決をミッションに掲げ、未来の子供や孫の世代により良い地球を残すために事業を行っております。
弊社は代表の瀬川が2012年に「人を笑顔にしたい。」と起業し今年で10年目を迎えました。
創業当初はベビー服のECをしておりましたが、在庫が原因で3度の倒産危機を経験します。
瀬川とその家族の壮絶な創業秘話をnoteにまとめました。
「起業で3度の倒産危機、夫婦で月給9万円。絶望の中で生み出した『在庫分析SaaS』と支え続けた家族の物語」
https://note.com/fullkaiten_re/n/n5d34cddbea09
その倒産危機から学んだ最適在庫経営の提言を、今年4月日経トップリーダーに取材いただきました。https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19nv/120500136/040700726/
在庫は地味に捉えられがちですが、経営に直結する重要な要素です。FULL KAITENは在庫という経営のど真ん中にアプローチできるサービスで、アパレル競合他社もおりません。小売業界だけでなく、事業を通じて世界の大量廃棄問題にも貢献したいと考えております。
最近、株式会社アダストリア様や株式会社オンワードホールディングス様などのアパレル小売が、値引きを抑制することで純利益が倍増したというニュースがありました。この事実からも分かるように、在庫は経営に直結しており、過度な値引きは企業の生死に関わる大きな課題だということです。この問題に対して弊社は在庫分析によって様々な成果を生み出しています。読者の皆様に粗利経営の重要性もお話しできればと考えております。
瀬川に暗黒時代の筆者をどう思っていたか聞いてみた
実をいうと長い暗黒時代の中で、瀬川から一度も「結果を出して!」と言われませんでした。
このnoteを書くにあたり、瀬川になぜあの状況で結果を出してほしいと言わなかったのか聞くと、次のように答えてくださいました。
この言葉を聞いて、私をずっと信じて伴走してくださったのだと知り、心と目頭が熱くなりました。日頃を思い返しても、成果が出ない方向に舵を切ろうとしたら、本人が気が付かないくらい自然に軌道修正をしてくださっているのだろうと思いますし、瀬川や広報チーム、社員のサポートがあったからこそ、なんとかここまでやってこれたと思いました。
今後の課題
少しずつ商談と掲載が決まり始めているものの、全く油断はできません。これから今まで以上に成果に繋げるにはどうすればよいか考えています。
これが正しいか分かりませんが、私が考える課題をいくつか挙げます。
取材を打診できる切り口を増やす
・社員と対話し沢山の刺激を得る
・社内のニュースに目を光らせ、読者の参考になるようなネタを見逃さない
・他社の掲載を参考にして「こんな切り口もあるのか~!」と徹底的に学ぶ視点を常に持つ
当社が価値提供できる媒体を見つける
・前提としてどの媒体でもいいわけではないので、常に中長期の世論形成の一翼を担う掲載か?という視点は忘れない
・バーティカルSaaSカオスマップや、東洋経済社「すごいベンチャー100」に載っている企業のメディア掲載も参考にしてみる
・媒体選定は戦略広報チームで案を出し合ってみる
編集後記
今まで色んなnoteを書きましたが、今回初めて広報ノウハウについて書きました。ツッコミどころ満載だと思うのでお手柔らかに願いたいですが、感想やご指摘などお気軽にコメントを頂きたいです。
成果を創出できた際は、喜んで終わるのではなく「なぜこのような成果に繋がったのか?」を解釈し意味合いを言語化すると、上手くいかなくなった際の参考にもなります。そして再現性も上がるので、仕事のクオリティーが上がると感じました。このnoteを通じて「勝って兜の緒を締めよ」の重要性を痛感しました。
ここまで読んでくださってありがとうございました。