お酒好き料理好きのあなたにオススメする小説【#読書の秋2021】
食欲の秋だ。
読書の秋でもある。
職場の先輩から、『何か面白い本、なぁい?』とリクエストがきた。
アラフィフの彼女。
最近目が疲れやすいのか、字が大きくて読みやすい本がいい、という。
加えて彼女の好みは、ハッピーエンド、ほっこりする話である。
明るくて、職場でもみんなのお姉さん的な存在。常に前向きで、いつも周囲に笑いが絶えない人だ。
お酒も大好きで、お料理好き。
以前ご馳走になったパエリアやピザは、見栄えも豪華、味も絶品だったなぁ。
そうそう。
彼女、恋バナも大好きなんだっけ。
そこまで考えて、私がおもむろに取り出したのは、
秋川滝美・著『居酒屋ぼったくり』。
常連客で賑わう居酒屋を舞台にした、あったかい手触りの短編集だ。
『ぼったくり』なんて恐ろしげな店名のくせに、採算すれすれじゃないかと思うような食材を使っている。あくまでも客の舌を満足させることに主眼を置いているー
そんな店を切り盛りするのは、
とりたてて美人というわけでもないが、腕一本で生きている女性の意志の強さが窺える
という若き女店主、美音。
もう、出てくるお料理やお酒の美味しそうなこと!
これから寒くなる季節には、
鶏の手羽元の煮込みからできた、プルンプルンの煮こごり。
鶏肉の唐揚げに梅肉と大根おろしを添えて。
仕上げに、あつあつの茸雑炊
なんて、如何でしょう。
きっと心もお腹も満たされるはず。
そして、忘れてならないのが、美味しいお酒!
そのお酒に合う手のかけ方で、庶民派代表みたいなお酒をも美酒に変えて、舌の肥えた客を唸らせる。
物語のラストで、お酒の紹介が記載されているのも嬉しい。
お料理やお酒を食べて呑んで、語らっている間に、悩みごともあたたかくほぐれていく心地よいシリーズだ。
何気に、店主・美音の恋の行方も気になる。
案の定。
私が勧めた先輩も、このシリーズにハマってくれたらしい。
作品に登場するお料理を、いくつか自分なりに調理してみたという。
きっと美味しくできたことだろう。
読み終えた後も何度も楽しめる作品である。。