"どんでん返し"が好きなあなたに【#ミステリー小説が好き】
人に本をオススメするのが好きな私。
ある時、
「どんでん返しの話が好きなのねー」
と言われた。
確かに。ミステリー小説、好きだもんなー。
最近遅ればせながら、
相沢沙呼・著『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』
を読んだ。
表紙は、蠱惑的な眼差しを向ける美少女が印象的。
書店で気になった方もいるかも知れない。
あるいは2022年、清原果耶さん主演でドラマ化されて話題になったので、そちらでご存知の方もいるかも知れない。
刊行された当初、数々のミステリーの賞を受賞して「絶対読もう!」と決めていたのに、あれよあれよと人気作になってしまい、かえって手に取りそびれていたのだ。
また主人公が霊媒師ってところに、得体が知れなくて胡散臭さを感じていたように思う。
今、流行りの特殊設定ミステリーなんだろうなぁ、と。
特殊設定とは、登場人物が時間を遡れたり、魔法が使えるファンタジックな世界観だったり、何でもアリなのが特徴。
だが、あらかじめ決められた設定の中で事件は起き、解決に導いていかなければならない。
何でもアリだからと言って、ルールに沿っていないミステリーは「アンフェアだ」と責められるのだった。
この話は、死者が視えるという美貌の霊媒師・城塚翡翠と推理作家の香月史郎が難事件に立ち向かう、連作短編集である。
いや、もうね。
死者が視えるって時点で、事件解決じゃん?
だって、その死者に犯人教えてもらえばいいんだからさぁ~、なんて思っていた。
だが死者が視えるったって、実は万能じゃないとか、いろいろ規則がある。いろんな困難を乗り越えて、ふたりで謎解きするというお話。
正直、途中まで「なんでこの作品が、こんなにもてはやされているのかな~」って思っていた。
事件そのものは、どこかで見たことがあるような気がするし…。
あおり文句の「すべてが伏線」っていうのも、ホントかなぁ?って感じだった。
途中、挫折しかかったりして…。
でもこの「すべてが伏線」という言葉を信じて、根気強く読んでいくと…。
最終章に突入したあたりで、これまでと様相がガラリと変わる。
まさに"どんでん返し"。
今まで自分が読んできた話は、いったい何だったんだろう。
何を言ってもネタバレになりそうだ。
注意深い方なら、オチを語られる前に真相に気づいてしまうかも知れない。
でも真相がわかっていたとしても、最後まで読んだら、また最初から読まずにいられない、そんなミステリーだった。
著者のインタビュー記事を読んだら、「読んだ後に読者が話題にしたくなる作品作りを目指した」そう。
納得。これは話題にしたくなる。
私は、なんで"どんでん返し"の物語が好きなんだろう。
日常生活で誰かに裏切られたくないものだ。
だけどフィクションの世界なら…。
やられた!と思う読書が快感となる。
もうかなり有名になっちゃった作品だけど…。
どんでん返し好きの未読の方や、途中で挫折しちゃった方も、ぜひお試しいただけたらと思う。