バズる準備はできていた【#買ってよかったもの】
「KATEの"リップモンスター"って知ってます?」
と、後輩女子から尋ねられたのは、昨年2021年の話だ。
「マスクにつかない口紅で、欲しいんですけど超人気でなかなか手に入らなくって~」
彼女は悔しそうに、そう言った。
およそメイクなんて、最低限の身だしなみでいいじゃないとしか思ってなかった、ズボラな私。
それを聞きながら、正直、
「は?このマスク必須のご時世に、口紅?
見えないんだから必要ないでしょ」
なんて、その時は思っていた。
マスク生活も今年で3年。
最近、マスクをはずした後の自分の表情がくすんでいる。
若い女子みたいにマスクの下でも可愛くしていたいなんて欲求はないけれど、もうちょっと顔が明るくならないものかなぁ。
最近読んだ、
BAパンダ・吉川景都・共著『メイクがなんとなく変なので 友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』で、
再びメイクに興味をもちだしてきたというのもある。
(ちなみに、この本で取り上げられていたのは、ティントリップの使い方)
で、ふと思い出した。
"リップモンスター"なる商品を手に入れればよいのでは?
2021年のバズコスメ1位に輝いた商品だが、オソロシイことに、今年になっても品薄らしかった。ネットでも店舗でも完売になっている。
そういえばなかなか見つからないって、SNS上で、幻の生物・"ツチノコ"に例えられたりしてたっけ。
なかなか手に入らないものは、ますます欲しくなる。
思えば既に、私は"リップモンスター"の術中にハマっていたのかも知れない。
いつしか化粧品売場に行くチャンスがあれば、KATEの棚を覗くようになっていた。
だから、はじめて売場で現物を見つけた時には感動した。
本当に売っているんだ!っと。
まずはお試しで、落ち着いた色味だというロゼベージュの"陽炎"と名付けられた色のミニサイズを買ってみた。
ミニというだけあって、本当に小さい。100均で買った、仕事用のシャチハタより小さい気がする。
早速つけてみる。
ナチュラルな色で、久しぶりに顔が明るく見える。
一度ティッシュでおさえておけば、マスクにもカップにも色がついてない。
唇もカピカピにならないし、落としたい時はスルッと落ちるし、これはスグレモノだ!
…なんだか他の色も欲しくなってきた。
買ったのはミニサイズだし。
しばらくすると、別の店舗で標準サイズのフレッシュオレンジで、"憧れの日光浴"と名付けられた色を手にすることができた。
つけると顔が華やかになって、これまたイイ感じ。
やるなぁ、リップモンスター。
しみじみ感心してしまった。
だってそうでしょ?
コロナ禍で人前じゃ、そうそうマスクを外せないのに、まったくメイクに興味なかった人間に買わせてしまうんですもの。
やっぱり仕掛けがうまいんだと思う。
私は全然知らなかったけれど、この商品、発売前からしきりにSNS上でインフルエンサーを中心に話題になっていたそうな。
いざ発売されても、話題が話題を呼んで入手困難に。
手に入りにくいものは、ますます欲しくなる。
次第に手に入れた人たちが、色の比較とか、パーソナルカラーであなたに合う色とか、動画や記事でレビューを出したりする。
それでさらに興味が出てくるっ。
いつしかメイクに興味ない人間にも、ウワサが耳に入ってくるっ。
さらに色味が豊富で、何よりネーミングにストーリー性があるのも特徴だと思う。
最初口紅の色の名前に、"欲望の塊"とか"地底探索"なんて、イタいなぁなんて内心思っていたのだ。
でもね、話題にする時、ピンクレッドとかブリックブラウンなんて言われても、いまいちピンとこないのだ。
だからネーミングって重要だなぁと思う。
あとは話題性。
新色を追加で出してみたり、ミニサイズを出してみたり。今年になってマットタイプも発売されたとか。
また買った色が合わなくても、手持ちの口紅に重ねるという合わせ技で、似合わせている方もいるらしい。
飽きさせないというか、新たな商品が発売されると話題になって、また欲しくなる顧客の意識をカンペキに理解しているというか…。
コロナ禍で、メイク業界は大打撃だったと思う。
でもいい商品で、仕掛けがうまくハマるとバカ売れする。
リップモンスターは、まさしくバズる準備ができていたのだ。