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うつくしいもの

“Beauty is in the eyes of beholder”
美しさとは 見るものの 目に宿る

この英語のことわざを見た瞬間、
だいすきな2つの詩

「うつくしいものを」相田みつを
「人間の目」まど・みちお


と重なりました。

「うつくしいものを 美しいと思える あなたのこころがうつくしい」

相田みつを

15年近く前に、

ふと立ち寄った
相田みつを美術館で

この詩を見つけた時、

ものすごくハッとさせられて

しばらく
この詩の前に立って

何度も何度も
読み返して

詩を味わっていたのを
覚えています。


この詩と出会ったあとすぐに
教師になって

子どもたちと過ごしていく
日々の中で

いつも心にあったのも
この詩です。

子どもたちを見ていると
いつもこの詩が浮かんできました。

子どもたちの心が動く瞬間が
毎日あちこちであって、

その姿が
この詩と重なって

美しいなぁと

子どもたちにも
この詩を伝えていました。

そして
数年前に
この詩の背景を知って

私の思いと重なっていたことに
感動しました。

「美しいものを見たら、美しいと感動するのが子供本来の心です。 
そして、感動したら自分から動くのが子供です。それが人間です」
(「一生感動一生青春」文化出版局・角川文庫より)

みつをは「うつくしいものを 美しいと思える あなたのこころがうつくしい」の背景をそう語っています。

相田みつを美術館 『うつくしいものを』企画展 説明文より


このことを知った時
同じようなタイミングで

この詩と重なる
詩に出会って

またハッとさせられました。

JT生命誌記念館・名誉館長中村桂子さんが
「子どものからだと心白書 2023」の中で

本質を問う

ということが、
今だれにとっても
大事なことなんじゃないか

と書かれています。

その中で、

まど・みちおさんの詩
「人間の目」

を紹介されていました。

「本質を問う」などというととても難しいことのようですけれども、私は特に子どものことを考えたりするときは、まど・みちおさん(詩人、作詞家)の詩を思い浮かべます。

中村桂子「子どものからだと心白書 2023」

人間の目    まど・みちお

よちよち歩きの小さい子たちを見ると
人間の子でも
イヌの子でも
ヤギの子でも
どうしてこんなに かわいいのか

ひよこでも
カマキリの子でも
おまじゃくしでも
ほほずりさせて もらいたくなる

ほんとに どうしてなのか
生まれたての 生命(いのち)が
こんなに なんでも
かわいくてならなく思えるのは

いや こんなに
かわいくてならなく思える目を
私たち人間がもたされているのは

ああ むげんにはるかな宇宙が
こんなに近く ここで
私たちに ほほずりしていてくれる

お手本のように!

まど・みちお 「人生処方詩集」

こんなに可愛くてならなく思える目を本質的に私たち人間は持っているのです。本質を考えたら、カマキリの子だって可愛く思うような目を持たされているんだと、私は生きものの研究をしていてそう思います。私たち大人はいろんなことを知っているけれど、子どもたちは知らない。だから、教え込んでやらなければいけないと、いつも子どもを上から見がちですけれども、本当は私たちの目は、上からの目じゃないはず。その目を持てば、私たち以上に本当のことを考えているのが子どもなのではないかということが見えてくると思うのです。

中村桂子「子どものからだと心白書 2023」

子どもたちをみていると
子どもたちの方が
大人よりも
純粋に

美しいもの
本当のことを
見る心の目を

もっているのだと

感じます。

でも、
大人だって

こんなに
かわいくてならなく
思える目を

本質的に
私たちは
もっている
もたされている。

この
本質的にもっているはずの
“人間の目”に気づいて、

この“目”で

目の前のものと
向き合っていくことが
できれば

世界が豊かに優しく広がって

もっと心と体が
軽くなるんじゃないか

という気がしました。

かわいくてならなく
思える目

美しいと
思える心を

人間はみんな
もっている。
もたされている。

そのことを
忘れないで

生きていきたいです。