思想の強要と文明の終焉
思想は個人のものであり基本的に自由であるべきだ。しかしながら同時に、思想自体が真理に反さない物であるべきでもある。真理とは常に正しさを追求しながらバランスを取ることであるとするならば、思想が歪んでいないかを常に検証し続けるということである。
そういう意味でも、個人の人間自体完成されたものではないという意味においても、完全な思想などというものは存在しないという事を、他人に対してはよく理解しているのにもかかわらず、自分自身に対して問えないというのが人間の傾向である。
日本人は自らを疑うこと、自省のできる数少ない民族であるという話もあるのだが、現状の社会構造上歳を経るごとに頑固にならざるを得ない事を考慮しても、自分自身の思想を、生きてきた上で身につけた常識を否定できる人間は少ないと言えるだろう。
もちろん、社会的に学問や常識を強要される事が必ずしも悪いことではなく、ある程度の教育無しには社会性も人間性も磨かれない部分はある。しかしながら無自覚に思想を強要する事が当たり前になっている世の中である事もきちんと認識しなければならないという事である。
本来真理を示したはずの宗教も、政治と経済によって歪められただの思想と成り下がり、人々の根幹を学問などという新興宗教によって作り上げられた常識によって支配された上で、ことさら「真理などという幻想」を追う事など諦めた人々が圧倒的な多数となる事があれば、文明の終わりとはそこにあるのかもしれない。
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