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図書館のお仕事紹介(番外編) とある司書の一日

これまで図書館の各業務について個別にご紹介してきましたが、では具体的に私の一日のなかでどういう流れになっているのかを解説してみようと思います。

実際には時期によって業務は異なり、たとえば蔵書点検の時期は朝から晩までぜんぶ蔵書点検だったりしますので、比較的バランスの良い日を想定しています。
また、規模の大きな図書館では担当業務がもっと細分化されていることが多いのでここまであれこれやっていないでしょうし、逆にワンオペの図書室などではひとりですべての業務をこなさなければなりません。


8:40 出勤

たいてい始業の20分前には職場に着いています。
朝は6時過ぎに起きて朝食&お弁当作り、7時半には電車に乗っている感じですね。
ちなみに通勤中は何もしてません↓

実際問題として9時開館で9時に来ていたら間に合わないので、閲覧スタッフを中心にみんな始業前から検索用PC立ち上げやコピー用紙補充、新聞の差し替え、照明点灯、返却ポスト確認などの開館準備作業をしています。
あとはメールチェックと給湯室の湯沸かしですね。
(冷静に考えると時間外労働ですが、じゃあ8:45始業にしてやろうとなった場合、結局もっと早く来るはめになりそうですし…よそではみなさんどうなさっているのでしょうか)

9:00 - 10:00 配架と書架整理

利用者が少ない朝のうちに、配架と書架整理です。

書架整理は複数のスタッフで分担していますが、自分の担当エリアだけで数万冊なので集中しないと終わりません。背ラベルの請求記号順に並べつつ、誤配架や要修理の本をピックアップします。

10:00 - 12:00 新着図書の登録

最近何でも屋と化しているので忘れがちですが、一応これが私のメイン担当業務です。
「どちらかといえば図書整理部門、ゆるっと目録担当」ですね。

新しく受入した本をチェックして書誌データを確定→分類を確定→配架場所・請求記号・資料IDなどの所蔵データを入力、という流れです。

基本的には既存の書誌データに所蔵データをぶら下げるだけなのですが、既存のデータが使えない洋書などではいちいちコードを入力してオリジナルの書誌データを作らねばならず、これに時間がかかります。ややこしい本ばかりだと「2時間で5冊しか終わらなかった…」ということもあります。

12:00 - 13:00 カウンター業務

私は閲覧担当ではないので、カウンターに入るのはシフトの時だけです。
(カウンター担当者の休憩中フォローに入っています)

カウンターでは貸出・返却のほか、予約や購入希望の受付、レファレンス、他館からの取り寄せ依頼の受付・発送といった相互利用業務もしています。

誰も来ない時もぼんやりしていられるわけではなく、たいていは上司に頼まれたリスト作成とか調査業務を持ち込んでやっていて、私はこれを個人的に「内職」と呼んでいますが、結局「この本が見つからないんですけど」とか「マイページにログインできなくなった」とかの利用者がぞろぞろ来て「ぜんぜん内職はかどらなかったな」となることが多いです。

13:00 - 14:00 昼休み

いつも自席でお弁当を食べます。といっても「雑穀米+ふりかけ+塩鮭切れ端+レンチンブロッコリー」みたいな手抜き弁当です。お弁当を作る気力のないときはクラッカー+インスタントスープとかです。昼から豪遊していると午後疲れるうえにお金もかかるので、昼食代は200円以内くらいに収めて残り時間はひたすら読書にあてます。

14:00 - 15:00 装備

データ登録が終わった本を配架できるよう、ラベルなどの装備をします。
私は朝型人間なので、なるべく午前中に洋書の書誌データ作成などの頭脳労働を入れ、午後の眠い時間に装備などの手仕事や本の移動などの力仕事を入れるようにしています。

15:00 - 15:30 選書案作成

私の勤め先では選書をスタッフ全員でやっているので、定期的に新刊案内などの選書資料が回って来て、各人がそれを見て選びます。
ただいいと思うものを選ぶだけでなく、すでにあるものと重複をチェックしたり、類書や旧版の所蔵状況を確認したり、著者の経歴を調べたりして、必要なら推薦理由のコメントをつけて選書責任者(上司)に回します。

15:30 - 16:00 納品図書の検収

発注してあった本が届くので、開梱して検収します。
発注データと照合して、書誌データと現物が一致しているか、破損や落丁乱丁などの不良品がないか、請求書や納品書の記載に不備がないかチェックしています。
問題がなければ請求書を会計へ支払いに回す事務処理をします。
このあたりは普通の事務職っぽい感じですが、本の場合「ISBNは同じだが版が古い本が納品されている」などの独特なミスもあるので注意が必要です。

16:00 - 17:00 発注データ作成、書店とのやり取り

選書された本は発注データを作成しておき、上司からOKがでたら書店に発注します。
別途、書店さんと品切・納品遅延・請求書再発行・見積依頼などについてのやり取りをすることもあります。

17:10 退勤

最近は残業が認められないので定時で帰ります。
サボり疑惑をかけられないように17:00以降にPCを落とし、帰る支度をします。

自宅に着くのが18:30くらいで、途中で夕飯の買い物をして帰ったら洗濯して(朝やれよ、という話ですが)料理して食事して後片付けしてスマホや録画した番組を観たりして入浴して寝る前にちょっと読書して…などとやっているとすぐ日付が変わってしまいますね。

まとめ

便宜上きれいに整理して書いていますが、現実には、随時メールや電話での問い合わせに対応したり、上司から仕事を頼まれたり、ずっとデスクワークだと目・肩・腰が死ぬので適当に館内巡回に出るのですが、そうすると「具合が悪くて倒れてる人がいます」とか「うるさい人を注意してほしい」などの事案に遭遇したりなので、見出しに掲げた業務をその時間ずっと集中してやれるわけではありません。

この生活を悲惨と思うか平凡と思うか楽しそうと思うかは人それぞれでしょうが、自分の感覚としては仕事は楽しいです。仕事以外で楽しいことがあまりない生活とも言えますが。


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