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職業としての図書館員(番外編):給料分の仕事?

図書館で働いていて、一番困るのは「給料分の仕事だけしていればいい」と言われることです。

「そんなこと考えていたら、ろくな仕事はできない」としか言えません。

図書館に限ったことではないでしょうが、目の前に課題(たとえば困っている利用者)があって、自分に一応解決できる能力があるのに「自分の給料でそこまでのことはできない」とは言えないですよね…。実際私自身、給料が安いから手を抜くなどと考えたこともありません。自分の能力を最大限に生かして働きたい、というのも人情ですし。

一方で、やるべき仕事があってベストを尽くしているだけなのに、がんばればがんばるほど「あなたの立場でそこまでする必要はない」と言われてしまう葛藤もあります。

じゃあ上に対して「これだけのことをやっているのだから給料を上げてくれ」と交渉すればいいかというと、そうもいきません。
同一労働同一賃金とのからみで「非正規にあまり高度な仕事を任せないように」と指示が出ているらしく、下手に「これだけやってます」アピールをすると、「じゃあやらなくていい」と言われてしまう恐れがあるのです。
給料は上がらず、仕事はつまらなくなり、利用者に対してはサービスの質が落ちる、という最悪の結果になりかねません。

結局「やってない風」にして、実質自分が調査してまとめたデータでも、正規職員の名前で上に出す、という対応になったりします。
正規職員さんとしても給料分の仕事などと言っていたら現場が回らないことはわかっているので、「せっかく専門知識がある人がいるなら活用しよう」という発想で、「いつもすみません」とねぎらいの言葉をかけたりお菓子を配ったりでお茶を濁すしかないようです。

精神衛生上、「仕事と収入と生活は別物」と割り切るようにしています。
「仕事の価値に応じて収入を得て、その収入に応じて生活するものだ」と無邪気に信じている人もいますが、現実は違います。
仕事は仕事、必要と能力に応じて働くもの。
収入は収入、高い人も安い人もいるけれど、それは仕事の価値とは無関係。
生活は生活、仕事をしていようがいまいが、収入があろうがなかろうが、誰でも人間らしく生活する権利はある。
そう考えたほうがストレスにならないようです。

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