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高尿酸血症は50代以上の男性に多いイメージかと思いますが、最近で30代にも多い疾患となってきました。

痛風以外にも合併症がありますので勉強していきたいと思います。

高尿酸血症になるメカニズム

高尿酸血症は、血液中の尿酸が過剰に蓄積する状態を指します。

尿酸は、体内のプリン体という物質が分解される際に生じます。プリン体は食べ物から摂取される他、体内でも自然に生成されます。

通常、尿酸は腎臓を通じて尿として排出されますが、さまざまな要因によって尿酸値が上昇することがあります。

尿酸の過剰生成
肉類やアルコールなどの過剰摂取や、代謝異常などによって尿酸の生成が増加します。

排泄の低下
腎機能が低下すると、尿酸が十分に排出されず、血中に蓄積します。これらは慢性腎臓病や薬物(利尿剤など)の使用が原因となることがあります。

尿酸値の適正範囲

尿酸値の基準範囲は一般的に以下のように設定されています。

  • 男性: 3.6〜7.0 mg/dL

  • 女性: 2.5〜6.0 mg/dL

7.0 mg/dLを超えると高尿酸血症と診断され、痛風のリスクが高まります。また、尿酸値が高い状態が持続すると、他の合併症のリスクも増加します。

高尿酸血症の合併症

高尿酸血症は、主に以下の合併症を引き起こします。

痛風
尿酸が結晶化し、関節内に沈着することで激しい痛みを引き起こします。最もよく知られた合併症です。

腎臓への影響
尿酸結晶が腎臓に沈着し、腎臓結石や腎不全のリスクが高まります。

代謝性疾患との関連
高尿酸血症は、メタボリックシンドロームや糖尿病、高血圧、心血管疾患との関連が示されています。

尿酸の役割と必要性

尿酸は、「排出されるべき老廃物」というわけではありません。体内で重要な役割を果たしており、その一つが抗酸化作用です。

尿酸はビタミンCと並び、血液中で主要な抗酸化物質の一つとして知られており、強力な抗酸化物質として体内で発生する活性酸素(フリーラジカル)を中和し、細胞の酸化ストレスから保護します。

このように尿酸の抗酸化作用が脳や血管の健康維持、免疫機能において有益であると考えられています。

高尿酸血症と尿路結石の関連

上でも書いたように高尿酸血症は、尿路結石の形成リスクを高めます。尿路結石は、腎臓や尿管、膀胱などの尿路に結晶が沈着し、結石(石)が形成される状態です。この結石が尿の流れを妨げると、強い痛みや炎症を引き起こすことがあります。

高尿酸血症と尿酸結石のメカニズム

高尿酸血症では、尿中の尿酸濃度が高まり、それが結晶化して結石が形成されやすくなります。特に、以下の要因が尿酸結石の形成を促進します。

尿の酸性化
尿のpHが低い(酸性)状態では、尿酸が溶けにくくなり、結晶化しやすくなります。尿酸は酸性条件下で尿酸塩として沈着するため、尿のpHが5.5以下になると、尿酸結石のリスクが大幅に増加します。

尿酸の過剰排出
高尿酸血症の患者では、尿酸の過剰生成や腎機能の低下によって、尿中の尿酸濃度が上昇します。これが結晶化のリスクを増加させます。

脱水状態
脱水になると、尿量が減少し、尿中の尿酸濃度がさらに高くなります。これにより、尿酸が結晶化しやすくなり、結石が形成されるリスクが増します。

尿酸結石のリスクと予防

尿酸結石のリスクは、特に以下のような条件で高まります。

・プリン体を多く含む食品(肉類、魚介類、アルコールなど)の過剰摂取
・脱水や水分摂取不足
・糖尿病や肥満、メタボリックシンドロームなどの代謝異常

そのため水分摂取をしっかり行うこととプリン体の多い食事をできるだけ避けること、アルカリ性の食事(野菜や果物など)を摂取して尿のpHを調整することなどが効果的です。

高尿酸血症を改善する方法はその他にも運動と体重管理、ストレス管理、薬物療法などがあります。
これらを駆使して合併症を引き起こさないことが重要です


いかかでしょうか。
高尿酸血症は生活習慣病という認識が少し薄いですが、リスクを理解し、適切に管理することが重要です。
また尿酸自体は体内で重要な役割を果たしているため、完全に除去することは適切ではありません。
バランスを保ちながら生活習慣を見直すことが、高尿酸血症の予防と健康維持にとって重要です。