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通訳者・翻訳家は裏切り者なのかを定義してみよう
イタリア語で、「Traduttore, Traditore」(翻訳家は、裏切り者である)という意味の成句がある。
が、しかし誰が初めてその言葉を発したのかまでを検索する、私のような語源ハンターは少ないらしい。
何故なら私の周りには、言語学者、記号学者、哲学者や文学・言語学科の講師、教授などが複数いて、何かについて発言をするのは非常に厄介で、話せば話すほど知らないことをバラしてしまい墓穴を掘るようなものだからである。
その為、私の愛用アプリはZinganelli社の「Lo Zanichelli」という国語辞典ではない。Alessandro Parenti監修の「L'etimologico」という語源辞典である。
また、Google検索によれば、一番初めに「Traduttore, Traditore」と書いたのは、なんとイタリア人ではなく、あのジークムント・フロイトが『ジョークと無意識との関係』 (原語 / Der Witz und seine Beziehung zum Unbewußten (1905) )で諧謔的に書かれたフレーズを誰かが、おそらくイタリア語版の翻訳家がイタリア語に翻訳したことに由来する。
お分かりであろうか。翻訳家が裏切り者なだけでなく、その成句をイタリア語由来のものと考えて書いている人たちが皆裏切り者なのである。きっと、これにはイタリア人もびっくりに違いない。得てして、外来語や派生語などは意味がすり替わっていたりすることも多いのが常である。
さて、定義について考えると、
私は、いつも支払いをしてくれる側の弁護人として通訳をし、書類を読む方の人間の身になって翻訳している。
しかし私が好きなのは、否応がなく、逐次通訳と逐語訳だ。
瞬発的な語彙力や、豊富な詩的センスを求められる意訳、は苦手である。
少なくとも、訳すということに時間軸というファクター γ (ガンマ)をプラスしてしまう為。
つまり、私の書く文章は、私の言葉の趣味を投影する可能性が高く、私は亀のように訳すのが遅くて、瞬発性ではChat GPTの足元にも及ばない。
そういう癖のある人間味のある人が訳、ということであれば、
そうですね。断片的に「Chi dice che "Si dice che Traduttore è Traditore", non sa nemmeno che è stato tradotto dal tedesco. (翻訳家は、裏切り者である。というようなことを言う人は、そもそも論でドイツ語からこの成句が翻訳されたことすら知らない)」と言えますね。