入江風子(Fuko IRIE)

イタリア語・フランス語の翻訳家です。当初はコロナ禍で、翻訳したものを載せていこうかと思…

入江風子(Fuko IRIE)

イタリア語・フランス語の翻訳家です。当初はコロナ禍で、翻訳したものを載せていこうかと思っていましたが、随筆の方も欲張ってみたいと思っている次第です。10代でイタリア移住後、10年経って帰国した帰国子女です。 linktr.ee/fukoirie

最近の記事

批評家、という仕事について / 入江風子

今日は携帯から書いています。 批評家という人たちはきちんと仕事しているのだろうか。という疑問について。 恐らく、しているだろう。と思う。 ただ、それは個人的に「いいね!」と思うかとは違うかと思う。 批評家の人たちは、優れたバランスの取れているいまの時代に求められている作品を、良しとする。それが売れる。それがプロの経験値だ。 若いっていいね。とか尖ってて良いんだよ。って話でもないし、 十年かけて書いた渾身の作でも、ある一読者には、エゴの塊でつまらないと思われるかも知

    • エッセイストになりたかった / 入江風子

      世の中には、なりたいものが決まっている人は少ないかも知れない。 ただ、私は好奇心が旺盛で、色んなものになりたかった。 小学生の頃は、花屋になりたかったが、早朝に起きなければいけないと母に言われてあっけなく諦めた。 その後、歌い手になることをハワイのマウイ島に旅行に行っていた際に決意したらしい。が、本人は失念。本人の記憶のキャパにはかなり限りがあるようだ。 という訳で、中学・高校と合唱・文化祭で指揮をして、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)でソロをもらったり、合唱として

      • 通訳者・翻訳家は裏切り者なのかを定義してみよう / 入江風子

        イタリア語で、「Traduttore, Traditore」(翻訳家は、裏切り者である)という意味の成句がある。 が、しかし誰が初めてその言葉を発したのかまでを検索する、私のような語源ハンターは少ないらしい。 何故なら私の周りには、言語学者、記号学者、哲学者や文学・言語学科の講師、教授などが複数いて、何かについて発言をするのは非常に厄介で、話せば話すほど知らないことをバラしてしまい墓穴を掘るようなものだからである。 その為、私の愛用アプリはZinganelli社の「Lo

        • 今、エレナ・フェッランテの「リラとわたし / 原題 (L'amica geniale)」が熱い理由 / 入江風子

          ずっと読みたいと思っていました。ずっと、本屋でビニールカバーが掛けられているのを見て、気持ちでパラパラ捲っては、 長編小説だし、シリーズものだし、読みたいけど纏まった時間が取れないから、と後ろ髪を惹かれる思いで、新宿のKINOKUNIYA INTERNATIONALを後にしていました。 が、この謎の匿名の小説家、エレナ・フェッランテの 連続小説の第一巻が、ニューヨークタイムズ紙で21世紀これまでで出版された中で最も熱い本、The 100 Best Books of th

        批評家、という仕事について / 入江風子

          今、なぜキアラ・ヴァレーリオを読むのか / 入江風子

          先ほどミッシェル・オンフレを凡才に近い、と酷評、というよりは良い意味で人間的と思っているという意味での凡才に近い、と書いたのですが、 2024年のストレーガ賞(イタリアの文学賞のうちの最高の文学賞に値する)の最終候補に選ばれた作品であり、惜しくも3位で受賞を逃した作品、 ー「話す人、黙る人(仮訳)/ 原題 Chi dice e chi tace」 の産みの母のキアラ・ヴァレーリオは、 彼女が LGBTQ+ コミュニティーに属しているか否かに関係せず、今、政治的な混沌のイ

          今、なぜキアラ・ヴァレーリオを読むのか / 入江風子

          ミッシェル・オンフレ、21世紀の哲学者の紹介 / 入江風子

          っ私は、ベジタリアンでも、ヴィーガンでもない。けれどフランス国内や、日本のフランス冷凍食品販売チェーンで有機栽培 bio の文字を見るとつい、買ってしまう。 もちろん、一部の肉や魚を食べるのは好きだ。ペスカタリアンでもない。 動物の権利や、動物を食べることに関して考えを巡らせていた時、何かそう言った仕事ができないか考えていた時に、私に衝撃を与えたのは、またしてもフランスの哲学者ミッシェル・オンフレの言葉だった。彼は、かれこれ10年前からフォローしてきて、フランス語が出来るよ

          ミッシェル・オンフレ、21世紀の哲学者の紹介 / 入江風子

          記号論の効果についての日本語での会話(前篇) 対談 / リエージュ大学FNRS上席研究員セミール・バディール、イタリア・トリノ大学教授、人間・環境学研究科 客員教授マッシモ・レオーネ  訳者 / 入江風子

          セミール・バディール&マッシモ・レオーネ 対談 セミール・バディール: 親愛なるマッシモ、 入江風子さんが記号論者の文章を日本語に翻訳したいらしい。彼女はあまりこれまで記号論に興味がなかった人にも読んでもらえるようなテキストを書くようにと言うんだ。だけど、あぁ、僕はその分野にはあまり明るくはない。そしてその後アイディアとして浮かんできたのが君との対談で、記号論に関する素朴な真実を明るみに出すというものだったんだ。どう思うかな?もし乗り気だったら、会話の口火として大学関係以外

          記号論の効果についての日本語での会話(前篇) 対談 / リエージュ大学FNRS上席研究員セミール・バディール、イタリア・トリノ大学教授、人間・環境学研究科 客員教授マッシモ・レオーネ  訳者 / 入江風子

          「ウィルス時代に教える(生きる)とは」 その3 著者 / ボローニャ大学教授フェデリーコ・ベルトーニ 訳者 / 入江風子

          著者 / フェデリーコ・ベルトーニ 略歴 ボローニャ大学で文学理論を教える。 主な作品には、「疑わしい真実。ガッダと現実の発見」(エイナウディ社、2001年)、「リアリズムと文学。起こりうる歴史」(エイナウディ社、2007年)、「ユニヴァーシィタリー。箱の中の文化」(ラテルツァ社、2016年)。 イタロ・ズヴェーヴォの批判校訂版「劇場と評論」(モンダドーリ社、2004年)を監修。 2017年には最初の小説「4月25日(イタリア解放記念日)に死ぬ」(フラッシネッリ)を出版。過

          「ウィルス時代に教える(生きる)とは」 その3 著者 / ボローニャ大学教授フェデリーコ・ベルトーニ 訳者 / 入江風子

          新型コロナウィルス時代の情熱とは 著者 / リエージュ大学FNRS上席研究員セミール・バディール 訳者 / 入江風子

          著者 / セミール・バディール 略歴 リエージュ大学FNRS(ベルギーフランス語圏の国立科学研究基金)の上席研究員で、記号論を専門とする言語学者。彼の研究プロジェクトは知識の論証的認識論で、最新の著作に「知識の論証的実践」「記号論的およびマグリットの事例と哲学者たち」等がある。 人間の情熱は、モーダル荷重をもたらすことによって私たちの行動を決定します。 新型コロナウィルスの時代は、これ以上に一目瞭然なことはありませんでした。 なぜならこのウィルスは情熱だからです。 人

          新型コロナウィルス時代の情熱とは 著者 / リエージュ大学FNRS上席研究員セミール・バディール 訳者 / 入江風子

          「ウィルス時代に教える(生きる)とは」 その2 著者 / ボローニャ大学教授フェデリーコ・ベルトーニ 訳者 / 入江風子

          著者 / フェデリーコ・ベルトーニ 略歴 ボローニャ大学で文学理論を教える。 主な作品には、「疑わしい真実。ガッダと現実の発見」(エイナウディ社、2001年)、「リアリズムと文学。起こりうる歴史」(エイナウディ社、2007年)、「ユニヴァーシィタリー。箱の中の文化」(ラテルツァ社、2016年)。 イタロ・ズヴェーヴォの批判校訂版「劇場と評論」(モンダドーリ社、2004年)を監修。 2017年には最初の小説「4月25日(イタリア解放記念日)に死ぬ」(フラッシネッリ)を出版。過

          「ウィルス時代に教える(生きる)とは」 その2 著者 / ボローニャ大学教授フェデリーコ・ベルトーニ 訳者 / 入江風子

          「ウィルス時代に教える(生きる)とは」 その1 著者 / ボローニャ大学教授フェデリーコ・ベルトーニ 訳者 / 入江風子

          著者 / フェデリーコ・ベルトーニ 略歴 ボローニャ大学で文学理論を教える。 主な作品には、「疑わしい真実。ガッダと現実の発見」(エイナウディ社、2001年)、「リアリズムと文学。起こりうる歴史」(エイナウディ社、2007年)、「ユニヴァーシィタリー。箱の中の文化」(ラテルツァ社、2016年)。 イタロ・ズヴェーヴォの批判校訂版「劇場と評論」(モンダドーリ社、2004年)を監修。 2017年には最初の小説「4月25日(イタリア解放記念日)に死ぬ」(フラッシネッリ)を出版。過

          「ウィルス時代に教える(生きる)とは」 その1 著者 / ボローニャ大学教授フェデリーコ・ベルトーニ 訳者 / 入江風子