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指定難病紹介 全333疾患の紹介

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NPO法人「希少難病ネットつながる」の理事長・香取久之が難病について紹介。 現在指定難病になっているものをここにすべてまとめようと思います。 RDneTページ→https://…
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2020年10月の記事一覧

難病紹介 巨細胞性動脈炎(指定難病41)

巨細胞性動脈炎は、血管炎と呼ばれる病気のグループに含まれ、高齢の方に起こり、主に頭部の動脈がつまって症状を起こす、珍しい病気。血管を顕微鏡で観察すると巨細胞という核をたくさん持つ巨大な細胞がみられるため、巨細胞動脈炎と名づけられた。別名として側頭動脈炎があるが、現在の正式病名は「巨細胞性動脈炎」。
2015年より厚生労働省の定める指定難病に認定された。1998年の厚生省による調査では、日本の患者数

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難病紹介 高安動脈炎(指定難病40)

高安動脈炎は大動脈やそこから分かれている大きな血管に炎症が生じ、血管が狭窄したり閉塞したりして、脳、心臓、腎臓といった重要な臓器に障害を与えたり、手足が疲れやすくなったりする原因不明の血管炎。炎症が生じた血管の部位によって様々な症状がでる。
わが国の高安右人教授が1908年に初めて報告したので高安動脈炎と呼ばれている。かつて大動脈炎症候群とも言われたが、病変は大動脈以外の全身に生ずることがあるため

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難病紹介 中毒性表皮壊死症(指定難病39)

中毒性表皮壊死症(TEN)はライエル症候群とも呼ばれ、高熱や全身倦怠感などの症状を伴って、口唇・口腔、眼、外陰部などを含む全身に紅斑(赤い斑点)や水疱(水ぶくれ)、びらん(ただれ)が広範囲に出現する重篤な疾患。中毒性表皮壊死症とスティーブンス・ジョンソン症候群は重症多形滲出性紅斑と呼ばれる1つの疾患群に含まれ、大部分の中毒性表皮壊死症はスティーブンス・ジョンソン症候群から進展して生じる。
本邦では

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難病紹介 スティーヴンス・ジョンソン症候群(指定難病38)

スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS)は皮膚粘膜眼症候群とも呼ばれ、口唇・口腔、眼、鼻、外陰部などの粘膜にびらん(ただれ)が生じ、全身の皮膚に紅斑(赤い斑点)、水疱(水ぶくれ)、びらんなどが多発する病気。発熱や全身倦怠感などの全身症状も出現する。スティーヴンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症は重症多形滲出性紅斑といわれる同じ疾患群に含まれ、びらんや水疱など皮膚の剥がれた面積が全体表面積の1

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難病紹介 膿疱性乾癬(汎発型)(指定難病37)

「乾癬(かんせん)」という皮膚病のうち発熱や皮膚の発赤とともに「膿疱(のうほう~皮膚に膿がたまったもの)」がたくさん出現する病型を「膿疱性乾癬」と呼び、尋常性(じんじょうせい)乾癬(最も多いタイプの乾癬)と区別している。膿疱は血液中の白血球が集まったものだが、細菌感染ではない(無菌性膿疱)ので、他人に伝染する心配はない。膿疱性乾癬はさらにいくつかの病型に区別される。膿疱性乾癬の皮疹が体の一部だけ(

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難病紹介 表皮水疱症(指定難病36)

表皮水疱症は、表皮~基底膜~真皮の接着を担っている接着構造分子が生まれつき少ないか消失しているため、日常生活で皮膚に加わる力に耐えることができずに表皮が真皮から剥がれて水ぶくれ(水疱)や皮膚潰瘍を生じてしまう疾患。そのうち、表皮が千切れて水疱ができる病型を単純型表皮水疱症、表皮と基底膜の間で剥がれて水疱ができる病型を接合部型表皮水疱症、基底膜と真皮の間で剥がれる病型を栄養障害型表皮水疱症と呼ぶ。尚

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難病紹介 天疱瘡(指定難病35)

天疱瘡は自分の上皮細胞を接着させる分子に対する抗体により皮膚や粘膜に水疱(みずぶくれ)やびらんを生じる自己免疫性水疱症。厚生労働省の衛生行政報告例の統計によれば、天疱瘡で特定疾患医療受給者証を交付されている患者は日本全国で5500人ほど(平成25年度)となっている。 世界での報告を見ると年間発生率が100万人あたり1人から100人までと人種および地域による差は大きい。南米やアフリカの一部には落葉状

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難病紹介 神経線維腫症(指定難病34)

神経線維腫症Ⅰ型 (NF-1 エヌエフワン)はカフェ・オ・レ斑、神経線維腫という皮膚の病変を特徴とし、そのほか骨、眼、神経系などに様々な病変を生じる遺伝性の疾患。第17番めの染色体17qにあるNF1という遺伝子の変異でneurofibrominという蛋白が正常に働かなくなって起こる。NF1は1882年にドイツの病理学者レックリングハウゼン氏によりはじめて報告されたためレックリングハウゼン病とも呼ば

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難病紹介 シュワルツ・ヤンペル症候群(指定難病33)

Schwartz-Jampel(シュワルツーヤンペル)症候群は筋肉の硬直と骨・軟骨等の異常により動きにくくなる症状がでる疾患。世界で100人以上報告があるが、日本での患者数は把握されていない。パールカンという遺伝子の異常が原因であり、常染色体劣性という形式で遺伝する疾患で世界では血族結婚の多い地域で患者が報告されている。筋肉がこわばったり骨の異常が起こり上手に動けなくなったり、目や口の周りの筋肉も

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難病紹介 自己貪食空胞性ミオパチー(指定難病32)

全身の骨格筋の筋細胞の中に特異な空胞(自己貪食空胞)が出現するきわめてまれな遺伝性の筋肉の疾患(ミオパチー)で、現在のところ、発症のメカニズムは不明、治療方法も確立していない。
代表的な疾患に、1)ダノン病、と2)過剰自己貪食を伴うミオパチー(XMEA)があるが、この他に十分わかっていないタイプが複数ある。
ダノン病は重症の心筋症と進行性の四肢の筋力低下・筋萎縮を来す予後不良な病気。
一方のXME

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難病紹介 ベスレムミオパチー(指定難病31)

徐々に進行する腕や太ももを中心とした筋力の低下や手指、手首、肘、足の関節の屈曲拘縮(曲がった状態で固まってしまう)を特徴とし、Ⅵ型コラーゲン遺伝子の異常が原因でおこる疾患。北イングランドでは10万人あたり0.77人と報告されているが、日本での報告は非常に少なく、大部分が未診断のままと考えられる。人によって程度の差はあるが、乳幼児期から手指や肘、足の関節が屈曲拘縮している、運動発達が遅れているなど、

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難病紹介 遠位型ミオパチー(指定難病30)

遺伝的な筋肉の病気(筋疾患)の一つ。理由は不明であるが、筋疾患の多くは、体幹に近い筋(近位筋)から障害される。ところがこの遠位型ミオパチーでは、体幹から遠い筋(遠位筋)、例えば足首を動かすような筋肉や指先を動かすような筋肉から障害される。そのような遺伝性筋疾患を総称して、遠位型ミオパチーと呼んでいる。
そもそも筋疾患は全て患者数の少ない病気(希少疾病)。その希少疾病の中でも例外的に遠位筋が主に侵さ

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難病紹介 ウルリッヒ病(指定難病29)

ウルリッヒ病は、生まれた時から力が弱い、肘や膝の関節が固くなって十分に動かせない(関節拘縮)、手首や手指の関節が異常に柔らかいなどの特徴をもつ病気。
Ⅵ型コラーゲン遺伝子の異常によって起こり、先天性筋ジストロフィーの一つに分類されている。
日本では、福山型先天性筋ジストロフィーについで2番目に多い先天性筋ジストロフィー。報告されている患者の数は約300人であるが、実際はもっと多い可能性がある。

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難病紹介 全身性アミロイドーシス(指定難病28)

アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれるナイロンに似た線維状の異常蛋白質が全身の様々な臓器に沈着し、機能障害をおこす病気の総称。
複数の臓器にアミロイドが沈着する全身性のもの(全身性アミロイドーシス)と、
ある臓器に限局してアミロイドが沈着する限局性のもの(限局性アミロイドーシス)に分けられる。
全身性アミロイドーシスの代表的なものとしては、免疫グロブリン性アミロイドーシス(ALアミロイドーシス

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