変な話『ブルーマンデー』

 直立の状態から右足を上げ、左手で右耳を掴み、右手をお尻の方から股下を潜らせ、左膝を触る。そして、その格好のまま地面に着いた左足で踵を浮かせひょいひょいと体を上下に動かす。
 そして「あ、ちょいなちょいな。あ、ちょいなちょいな。あ、ちょいなちょいな。」と発しながら池の周りを回った時に世界は変わった。

 この世界から月曜日がなくなったのだ。

 何故かは知らない。でも無くなったのだ。
 いや、正確には無くなった訳ではない。
正確な表現をすると「この世から月曜日の数が減ったのだ」
 月曜日は絶滅危惧種にも認定された。残された月曜日を皆が守った。これ以上、無くならないようにと月曜日に優しくなった。
 しかし、こうなってしまってからでは後の祭りである。人類には、減ってしまった月曜日の増やし方が分からないのだった。

 あの時の月曜日をもっと有意義しておけばよかったなどと嘆いたところで失われた月曜日は戻ってこないのだ。奇跡が起こらない限りは消滅を待つしか無かった。
 そして人類は誓った。
 残された月曜日を大切に過ごそうと。
「ラブマンデー」と呼ばれたこの運動は、世界にも広まった。世界中の全人類が月曜日を失った事により、全人類が当事者となった。その事によって、やっと人類はひとつの共通の目標を手に入れたのだった。


 ある研究結果によると2022年6月は、月曜日が一日も無いと発表されたばかりである。

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