![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/158672127/rectangle_large_type_2_98907cb34d27c77c7ef31b6ea1681469.jpeg?width=1200)
【エッセイ】ノルマ達成より心理的安全性が大切なんです
出勤していると、疲れている人は見ただけでわかります。
そんなときには、「最近、気分はどうですか?」「疲れてないですか?」と、すれ違うときに声をかけたりしてきましたし、その人の座席まで行って声をかけたりもしました。
そういう役職(企業内産業カウンセラー)で職場内では認知されていたので、私が近づいても誰も変な目で見ることはもありませんでした。むしろ、「ようやく来てくれた」「やっと話せる」という表情を浮かべる社員も少なくありませんでした。
みんな、悩みを打ち明ける機会を待っている、不安を誰かに共有したがっている――それが伝わってきました。
そして、そういう社員と会話して感じたのは、ギリギリまで頑張ってしまい、その結果、心身の疲労につながっていることでした。その原因はさまざまで、会社での業務内容や人間人間関係での悩みはもちろん、場合によっては、ご家庭での問題から仕事が手につかない人もいました。
そうしたなか、どんな理由であっても、私が最初にかける言葉はひとつです。それが「無理しないでください」です。
会社は出勤していればいいだけの場所ではないことはわかっています。会社として健全な経営を維持し成長するためには、それぞれの組織や個人が頑張らないといけないことは多々あります。そのためにはノルマや、それを達成するための緊張感は必要だとも思います。しかし――
ひとにはそれぞれ、「できること(やれる)こと」と「できないこと(やれない)こと」があります。それを無視して無理すれば、いつしかキャパオーバーになり、心身とにも追い込まれるのは当たり前です。
ですから、産業カウンセラーとしてキャリアコンサルタントとして、社員に必要なことは、数値達成ではなく、心身のストレス軽減だと考えています。さらにいえば、なんでも自由に話ができる環境、つまり心理的安全性の確保だと考えています。心理的安全性がない職場には、いい職場はないと断言できます。
しかし、残念ながら、そうした職場ばかりではないことも事実です。適度な緊張感をはるかに超えた、トップの意志最優先で動いている組織が少なくありません。そんな組織で、それぞれのキャパを超えた言動や行動を求められても、心理的安全性が減るばかりです。ひいてはそれがメンタル疾患にもつながることにもなります。そうならないためにも、「無理をしないこと」が大切だと考えています。
私の考えは、経営目線からすれば甘いでしょう。でも私は経営層ではなく、ひとに寄り添うことが仕事の人間です。私は医者ではないので心の治療はできませんが、社員の疲れた心に寄り添うことはできると信じてやっています。
「無理しないでください」
この言葉を素直に受け止めてもらうことが、私にとって一番の幸せだと確信しています。
そんな私の会社員生活も、間もなく終わりを迎えます。
もともと技術屋(SE)だった私にとって、50代前半からの社内転職(SEから産業カウンセラー&キャリアコンサルタントへ)は、自他ともに認める ”天職” だったと断言できます。
セカンドキャリアでは創作活動をアナザー天職として、頑張っていきたいと思います。