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印刷会社がAmazonでオリジナル文具を売りはじめるまでの100日間〜クラウド働き方改革のススメ14〜

自社開発した商品を、はじめてAmazonで販売開始しました。思い立って約100日。謎の多いAmazon文法に右往左往しながらようやくストアオープン。地方紙にも取り上げられました。

しかしまたこれをやると考えるとゾッとするので、同じようなことをはじめられる方の何かの参考に備忘録として経過を書いてみることにしました。

「Amazonで文具を販売する!」

「どうやって? 何が必要? いくらかかる?」

今年の7月下旬にそう思い立ったとき、Amazonでの販売について頭には全く情報がありませんでした。

5月にYahooの方にアドバイスをいただいてWEBサイトはリニューアルしたものの、最終的な着地点であるEC部分の構築は手つかずのまま。

Amazon一択なのはわかっているのですが、情報が散らばっていてどこを調べれば良いのかわからない。そんな状態がつづいていました。

クラウドファンディングで締め切りができた

そんなとき、以前知り合った方がMakuakeで備前焼のリサイクルマグカップの予約販売を開始することを教えてもらいました。

「知名度がないメーカーが商品を全国に販売するには、クラウドファンディングの仕組みを使うしかない」

以前は躊躇していたクラウドファンディングも、いろんな縁もつながり挑戦してみる決心ができました。

Makuakeで、新しく開発していた発想力トレーニング文具の「むちゃぶりノート」のプロジェクトを申請。9月からプロジェクトがスタートすることに。

そうなると、リターン発送を行ったあとの11月には一般販売でAmazonストアがあることは必須条件になりました。

苦労の連続だったAmazonストア登録

Makuakeでのプロジェクト登録もリターンの組み合わせや価格設定、PR用の動画作成や記事づくりなどなかなか大変でしたが、Amazonの比ではありませんでした。

理由は一つ。日本のサービスではないからです。

とにかくボタンのクリックひとつ、説明文章ひとつ取っても慣れない。わからない。どこにヘルプがあるかわからない。(Amazon seller central

かろうじてJANコードのない商品を登録するには、大口出品者として有料登録が必要なことだけは理解できたので、早速登録しようとしました。

ここで問題が発生。会社で所有していたJCBカードでは登録できず、VISAかMASTERカードをつくる必要があったのです。これで1ヶ月何も出来ず。。。

ようやくカードが届いてブランド名を登録しようとしたところ、またまた問題発生しました。Amazonでは、ブランド名に商標登録した名称を使うことでオリジナル商品をカタログに登録することが出来ます。(Amazon Brand Registry

そこでたまたま商標登録していた「BLUE SEA ecology」というブランド名を使って登録しようとしたのですが、なぜか英語のブランドとして登録されてしまい、変更もできない状態に。。。

ヘルプからケース登録してやりとりをするという独自のシステムに戸惑いながら、英語で2回やりとりをしたら一方的にケース終了になり、その後は何も進まなくなってしまいました。

「さすがにそれはないだろう!」と、それまで遠慮していた「急ぎ電話で対応」を選択。すると日本のオペレーターの方が丁寧に対応してくれて、あっという間に解決しました。

「Amazonでややこしいことがあったなら、迷わず電話対応を選択!」

これが鉄則だと身にしみてわかった1ヶ月でした。

Amazonストアって何?

ここからは比較的順調にカタログに商品登録を行えて、自社ブランドの商品を一覧できるストア機能を使う手続きをはじめました。

Amazonストアは、Amazonでブランド登録を行ったあと広告用のアカウントを作成することで登録ができるようになるサービスです。

ここでも問題発生。何度やっても登録画面にすら進めないトラブルが起こりました。しかし今回は即電話!オペレーターの方がすぐに対応してくれました。

そして1週間。。。2週間連絡なし。

さすがにおかしいと思って再度連絡したところ、2週間前に「1週間ほどで解決する見込みです」的な通知メールが来ていたのが最終メッセージだったとのこと。

「終わったら連絡あるのかと思っていたよ。。。トホホ」

これも合理的なAmazon文化なのかもしれません。

Amazonの出荷、FBAかマーケットプレイスか問題

この間にMakuakeの予約期間も終了してリターンの制作に入っていました。そのため同時に一般販売商品の出荷段取りも行なうことになりました。

Amazonでの出荷形態は2つあります。

ひとつが、Amazon倉庫にまとめて送ればあとはすべてやってくれるFBA(フルフィルメント by Amazon )というサービス。

もうひとつが自社から出荷するマーケットプレイスという形態。

当初、フルフィルメントを使わないと有料の大口出品にした意味がないというネット情報を頼りにFBAの手続きを進めていきました。

偶然にもFBAへの出荷経験がある物流会社と取引がありましたので、そちらから情報を得つつ、とりあえず出荷商品の詳細情報や梱包形態の入力、バーコードのPDFを物流会社にメールなど手続きを行いました。

しかし、梱包してみないと出荷の箱数や形がわかりません。物流業者で返品されたことはないという話でしたが、明らかに箱数が違う形態になってしまい、出荷をキャンセルすることになりました。

このときはじめてわかったのですが、出荷をキャンセルすると倉庫への発送費用は全額負担となります!

ただ今回はキャンペーンで送料が無料枠内だったので、オペレーターの方にグチグチ言われましたがなんとかタダで処理していただけました。危なかった。。。


こうして再度出荷手続きを進めていたところ、もう一つ大きな認識のズレが見つかりました。それは送料の価格設定です。

結論から言うと、

FBA出品では、販売手数料と送料・ピックアップ費用が販売価格に含まれた税込みの価格設定になります。

マーケットプレイス出品では、商品価格と送料は別ですが、送料も含まれた税込販売価格に対して、一定の割合で販売手数料がかかります。

つまり商品価格が安い(具体的には300円以下などの商品)を出品する場合、送料が500円かかるとすると、FBAでは赤字になり、マーケットプレイスでは手数料で赤字になる可能性があるということです。

せっかく作った商品が売れば売るほど赤字になるのは悲劇です。

特に安価に提供しようとしていた商品ならなおさらです。

そのため500円以下の商品はマーケットプレイスで登録して自社発送が基本です。さらに送料にも自社の手数料を赤字にならない程度上乗せする必要があります。

まとめて出荷できるものへの価格設定も、ネコポスやクリックポストなど細かく発送形態ごとに配送パターンを作り、割り当てることでお客様に損のない送料を設定できます。

このあたりが本当に情報がなかったところでした!

ECはサイトからの終着点。導線も大切。

11/20ストアオープンの前日。ようやく自社サイトのリンクを修正、ギリギリの100日でした。
サイト構築はSTUDIOで構築していて、無料枠でランディングページをつくったのですが、はじめてCMS機能を使ったのでこちらも難航してギリギリになりました。


これはYahoo!の方から繰り返し言われましたが、サイトに来ていただいても、ちゃんとその後の行動(購入する、問い合わせするなど)にまで誘導しないと何のために来ていただいたのかわからないことになります。

このあたりはまだまだ経験不足で改良中ですが、note記事とSTUDIOサイトとの連携は簡単に実装できて面白い機能です。



こうして完成したAmazonストア。
会社のみんなが開発したオリジナル文具やボードゲームも販売しています。

それぞれが自分の好きなことと向き合い、そこから発想して助け合いながら創作するスタイルで、個性的な商品になりました。


いろいろ大変なこともありましたが、無事ストアオープンできて良かった!(まだ何かあるかもしれませんが。。。)

ここまでAmazonストア開設までの道のりをだらだらと書きましたが、何かのお役に立つなら嬉しいです。

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藤井 聡📖発想力で紙モノづくり
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